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はなまるうどんを運営する「はなまる」は2025年1月1日付で、本社を東京都中央区から、創業地の高松市に移転した。今後は香川県産の食材を使ったメニューの開発に取り組むなど、香川の食文化についての魅力発信を強化。“本場”との結び付きを押し出していくという。1月8日に開かれた発表会を取材した。
【画像】香川県のマスコットキャラクター「うどん脳」も登壇 発表会の様子はこちらから(計8枚)
●“発祥の地”との結び付きを強化
はなまるうどんは2000年5月、高松市に1号店を開店。天ぷらなどのトッピングを自分で取りながらうどんを注文し、会計後に自分の席へ持っていく「セルフうどん」システムのうどんチェーンとして拡大し、2012年に吉野家ホールディングスの完全子会社となった。店舗数は2020年2月期末の時点で522店舗に上っていたが、2024年12月末の時点では、418店舗に縮小している。
本社が高松市から東京都内へと移ったのは2005年のことで、今回の移転は約20年ぶりの「里帰り」となる。讃岐うどんの魅力発信を目的に、同社が2025年に始動した「おいでまい!さぬきプロジェクト」の一環であり、「原点回帰」に向けた決意表明という位置付けだ。
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プロジェクトのその他の施策としては、香川県で開発され、県が普及に力を入れるうどん用小麦「さぬきの夢」を、県内の全14店舗で提供開始する。発表会に際しては香川県の池田豊人知事も「香川県産の小麦を使用した讃岐うどんの魅力が、いっそう県内外に広まれば」と期待するコメントを寄せた。
また、県産品を使用したメニューを開発したり、県内5店舗を全面改装したりする予定だという。“地元”との結び付きを強めることで、ブランド力の強化を図りたい考えだ。
マーケティング本部 CMOの高口裕之氏(「高」ははしごだか)は「香川県の伝統食でビジネスをさせていただいているので、『讃岐うどんが常に魅力的であること』は企業にとって最も重要なこと。文化を守ると同時に、われわれ自身のファンを増やすことにもつながる」とその意図を話す。
●讃岐うどんの「多様性」
また、「はなまる」が「原点回帰」と同時にキーワードとして挙げたのが「多様性」だ。同社の前田良博社長は「そもそも讃岐うどんの魅力は、店主の数だけ存在する多様な個性。こうした個性や、うどんにとどまらない地場産品の魅力を、はなまるを通じて県外に伝えていきたい」と話す。
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順次全面改装する県内の5店舗についても、「1店1店同じような店にはしない」という。高口CMOは“非セルフサービス”の店舗や、うどんの手打ち体験などができる“体験型”の店舗、閉業した“名店”の味の再現メニューなどにも意欲を示し、「『県内ではなまるうどん巡りができる』というくらい、個性のある店作りを一丁目一番地にしたい」と意気込んだ。
県外においても、オリーブや希少糖、かまぼこといった、うどんにとどまらない県産品の販売や、都内でのイベント開催を予定している。「讃岐うどんの多様性を感じて頂き、『香川に行ってみたい』という気持ちになれる場を積極的に作っていきたい」(高口CMO)
2024年にはすかいらーくホールディングスの傘下に入った「資さんうどん」が全国進出に乗り出しており、800店舗以上を構える最大チェーン「丸亀製麺」の成長も続く。うどん業界の競争が激しくなる中、はなまるうどんの新たな方針は、消費者の支持を獲得できるか。
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