年明け初日から、凄惨なテロ事件で幕を開けた2025年。今年は、世界を揺るがす様々なリスクが予想されます。
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対立に拡大…2025年に世界が抱える“10大リスク”ユーラシアグループ イアン・ブレマー社長(7日)
「アメリカや中国は、自分たちのことばかり考えている」
こう語るアメリカの国際政治学者のイアン・ブレマー氏は、世界的なリスク分析を専門とする調査会社「ユーラシアグループ」を率い、2024年10月には、各界リーダーが世界の様々な課題を議論する国際会議を日本で開催。
そして1月6日、毎年世界が注目する、恒例の「10大リスク」を発表しました。
ユーラシアグループ イアン・ブレマー社長
「メキシコがこの問題を早く終わらせることは難しいだろう」
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第10位にランクされたのは、「アメリカとメキシコの対立」。
トランプ次期大統領は、アメリカへの移民と麻薬の流入を止めなければ、メキシコに新たな関税を課すとしていて、両国の関係悪化が予想されます。
第9位は「統治なき領域の拡大」。
アメリカがグローバルなリーダーシップを放棄する中、中東やアフリカなどの対立や混乱はより深刻となり、テロ組織などがはびこる事態を懸念しています。
第8位は「制御不能なAI」。
いまや急速に進化するAI。デマの拡散が広く行われる中、チェックが少ない状態で利用され、AIの“暴走”リスクが高まると警告。また兵器への利用も進むとされます。
第7位は「世界経済への負の押し付け」。
他国に高い関税を課そうとするアメリカに、経済が低迷する中国。その影響が世界に波及し、世界経済の回復を妨げると懸念しています。
第6位は「追い詰められたイラン」。
近年、イスラエルとの紛争などで弱体化したイランが、アメリカなどとの外交が最終的に失敗した場合、核兵器製造に乗り出す可能性もあると指摘。
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第5位は「ならず者国家のままのロシア」。
ロシア プーチン大統領(2024年12月31日)
「新年を迎え、我々は未来について考えている。すべてはうまくいくと確信している。我々は前進するだけだ」
仮にウクライナとの停戦が成立しても、事実上、征服した領土を支配し続けるだろうとしています。
「深まるGゼロ世界の混迷」も“日本がリーダーシップを発揮できる部分”ここからは日本にも影響を及ぼす、トランプ次期大統領がらみのリスクです。
第4位は「トランプノミクス」。
関税引き上げはアメリカ国民の生活コストを押し上げ、しわ寄せは低所得者層に。
また不法移民の大量送還は労働力の縮小につながり、アメリカの成長を圧迫するとしています。
こうした状況は、アメリカに依存する日本経済を直撃。アメリカでインフレが再燃すれば、日本の円安や物価上昇につながる可能性があると指摘します。
そして第3位は「米中決裂」。
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トランプ次期大統領(11月)
「彼ら(中国)に関税をかけてやる」
就任早々、中国製品に高い関税を課すとするトランプ氏。両国の対立は先鋭化し、軍事的・経済的に予期せぬエスカレーションのリスクが高まるとしています。
そして日本は、こうした米中の関係悪化の“巻き添え”を食う可能性が高いと指摘。
順天堂大学 藤原帰一 特任教授
「アメリカと対立関係にある国の関税を引き上げるというよりは、むしろ言うことを聞かせることが容易な、アメリカに近く、経済的、軍事的に弱い国に言うことを聞かせる。日本に対しては遙かに容易に譲歩を引き出せる。
さらに『誰のおかげで安全を享受していられるんだ、もっと金を払わなかったら軍隊を撤退するよ』と、安全と引きかえにお金・負担を要求する」
第2位は「トランプ氏の支配」。
忠誠を誓う人物を政権中枢に据えることで、法の支配が弱体化するといいます。
そして第1位は…
トランプ次期大統領(2024年1月)
「(NATO加盟国に)こう言ったんだ。『もし金を払わないのなら、あなたたちを守らない』とね」
第1位は「深まるGゼロ世界の混迷」。
世界をリードする国がいない今の状況を「Gゼロ」と呼び、トランプ政権のアメリカが指導的な役割を放棄することで、世界の秩序は崩壊しつつあると指摘。
そうした中、日本はどうしたらいいのか。
順天堂大学 藤原帰一 特任教授
「Gゼロという言葉は、アメリカも他の国も世界でリーダーシップを発揮する国がないという状態。地域ごとに安全が実現するような信頼関係を構築していくしか方法はない。
日本の大きな力は軍事以上に経済。多国間の通商秩序では大きな信頼を獲得している。それは日本がリーダーシップを発揮できる部分であり、大変重要だと思う」
世界に警鐘を鳴らした10大リスク。それは、避けることができるのでしょうか。