トランプ氏政策、市場への影響は=米新政権発足で識者インタビュー

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2025年01月21日 19:02  時事通信社

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時事通信社

インタビューに答える大和証券の坪井裕豪・日米株チーフストラテジスト=21日、東京都千代田区
 トランプ米新政権が「米国第一主義」の下で推進するとみられる高関税政策などは、日米の経済や金融市場にどのような影響を及ぼすのか。大和証券の坪井裕豪日米株チーフストラテジストとニッセイ基礎研究所の上野剛志上席エコノミストに聞いた。

 



 ◇市場、ひとまず楽観=坪井裕豪・大和証券日米株チーフストラテジスト

 ―トランプ米大統領が就任した。

 就任演説では移民による犯罪への対応などに厳格な姿勢を示す一方、物価高に伴う国民の負担軽減も訴え、バランスに配慮した。感情を荒らげない話しぶりで、市場はひとまず楽観度合いを強めただろう。

 ―メキシコ、カナダへの関税引き上げ検討を表明した。

 25%の関税率も違法薬物流入などの理由も事前報道通りで、新たな悪材料ではない。市場が恐れていたのは、就任初日に世界各国に一律20%、中国に60%といった高関税を宣言する事態だった。

 ―金融規制の緩和も予想されている。

 銀行の自己資本規制緩和やM&A(合併と買収)承認手続きの簡素化、暗号資産ビジネスの拡大などを通じ、米国の潜在成長率を高める施策を打ち出すのではないか。

 ―今年の株価は。

 日米の株式市場は規制緩和を歓迎し、企業業績の改善なども背景に3年連続で上昇に向かう。日経平均株価は年末にかけて4万5000円を目指すだろう。

 ―リスク要因は。

 米国による高関税で中国の景気不安が長引けば、日本の自動車や半導体、電子部品といった産業が打撃を受けかねない。米国の一律関税に各国が報復措置で応じれば、世界経済全体が押し下げられ、株価は抑えられる。

 



 ◇円安修正、緩やかに=上野剛志ニッセイ基礎研究所上席エコノミスト

 ―トランプ氏の政策が米経済に及ぼす影響は。

 メキシコとカナダからの輸入品に対する25%の関税を検討すると表明したが、米経済への影響は大きく、大規模に踏み切る可能性は低い。揺さぶりやけん制だろう。ただ、中国への追加関税と不法移民の強制送還は今年の早い段階で発動し、年後半に米国のインフレ率が高まるとみる。連邦準備制度理事会(FRB)の利下げは3月と6月に実施された後、停止する。

 ―日銀の金融政策は。

 米経済を巡る不確実性は残るが、国内の経済・物価動向は想定通りだ。高めの賃上げが見通せており、過度な円安進行を阻止するため今月利上げするだろう。年内は参院選後の7月を含め計2回の利上げを想定している。市場はやや不安定化しているが、許容範囲内だ。

 ―円相場はどう推移。

 年後半の米国の利下げ停止により米長期金利はそれほど低下せず、円安の修正は緩やかなペースにとどまる。年末に1ドル=150円と予想する。

 ただ、関税引き上げによる米経済の減速懸念が高まれば、リスク回避の円買いが入りやすい。一方、米利下げ停止観測が強まるタイミングでは投機的な円売り・ドル買いが膨らみ、昨年の最安値の161円台後半を試す場面もあるとみている。 

インタビューに答えるニッセイ基礎研究所の上野剛志上席エコノミスト=東京都千代田区
インタビューに答えるニッセイ基礎研究所の上野剛志上席エコノミスト=東京都千代田区

このニュースに関するつぶやき

  • NHKはやっぱりトランプ批判をニュースにあげる。使用する写真は悪い写真や映像を使う バイデン政権は中共の賄賂漬けだったから今後米国市場は正常化して緩やかに上昇するよ
    • イイネ!3
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