遺体発見まで平均18日…“年間8万人以上”にも及ぶ「孤独死」の“悲惨な見つかり方”<漫画>

229

2025年01月25日 19:30  日刊SPA!

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

日刊SPA!

写真
 日本における単身世帯の数は年々増加しています。それに伴い、誰にも看取られず、自室でひとりぼっちで亡くなる人の数も、今後ますます増えていくことが予想されます。
 孤独死をする可能性があるのは、独身の人だけとは限りません。今は家族と暮らしている人でも、いずれ離別・死別によってひとり暮らしになることもあるでしょう。また、親族が突然、ひとりで亡くなった場合、状況によってはまったく面識のない親族に、遺体の引き取りや相続の手続きなどが降りかかってくることもあります。

 つまり、孤独死は誰にとっても関係のある問題なのです。

(本記事は『ひとりぼっ死の後始末(マンガでわかる孤独死対策)』より抜粋したものです)

 *  *  *

◆孤独死は誰にでも起きる可能性がある

「孤独死」は、現代社会においてさほど珍しいことではありません。

 孤独死の実態把握のために、警察庁が2024年1〜3月に初めて集計したデータによると、「通報や医師からの届け出で警察が取り扱ったひとり暮らしの遺体のうち自宅で亡くなった人の数」はなんと2万1716人。そのうちの約78%に当たる1万7034人は55歳以上の高齢者でした。この結果から、年間で約6万8000人の高齢者が孤独死していると推計することができます。

 裏を返せば、2万1716人の約22%に当たる、4682人の死亡者は65歳未満。年間にすると、高齢者以外の人でも約1万8000人が孤独死していることになります。

 また、厚生労働省が発表している2023年の「人口動態統計(確定数)」によると、日本における1年間の死亡者数は約158万人でした。前述した警察庁の調査で、3ヶ月に「孤独死」した人全体の数をベースにすると、約8万7000人。これは23年の死亡者数の約5.5%に当たり、実に日本人の20人にひとり以上の人が「誰にも気づかれることなく、たったひとりで亡くなったまま放置されていた」ということになります。

 このように、孤独死はけっして高齢者だけではなく、誰の身にも起こりうる、極めて身近にある問題だといえるのです。

◆発見されるまでの平均日数は18日!

 孤独死は、ひとり暮らしの人が誰にも看取られることなく亡くなることです。つまり、亡くなった時点では、そのことを知る人は誰もいないわけですから、当然、発見されるまでには一定の時間がかかります。

 日本少額短期保険協会「第8回 孤独死現状レポート」によると、発見されるまでの平均日数は18日。3日以内で発見される割合が約39%ある一方で、90日以上発見されない割合も2.2%ありました。

 男女比を見てみると、平均日数には大きな差はありませんが、3日以内に発見される割合が男性38.9%に対して、女性は47.0%と約8%高く、女性の方が早く発見される傾向にあります。

 そもそも孤独死は女性より男性の方が圧倒的に多いのです。ひとり暮らしの男性は、女性に比べて、家族や友人といった周りの人と密に連絡をとることが少なく、仕事以外で社会との交流が少ない傾向にあります。この周囲とのコミュニケーションの希薄さが、男性の孤独死の多さや発見までに時間がかかる要因ではないかと推測されています。

◆「孤独死」はどうやって発見されるのか

 なかなか発見されないことの多い「ひとりぼっ死」=「孤独死」ですが、実際はどのようにして発見されるのでしょうか。それはおおむね3つのパターンがあるようです。

 一つめは、親族や友人、介護施設の職員や仕事の関係者が本人と連絡がとれずに自宅を訪問し、発見されるケースです。比較的、短い期間で発見されることが多いといえます。

 二つめは、近隣住民による通報によって発見されるケースです。人間は生き物ですので、亡くなった後の遺体は数日で腐り始めます。とくに夏場などの暑い時期であれば、腐敗の進みも早くなります。長時間放置されることで発生した異臭や害虫が外に漏れ、管理会社や警察への通報を経て、ようやく発見されるのです。

 三つめは、あふれかえった郵便物や家賃の滞納により、管理会社やオーナーが発見するケースになります。この場合は1ヶ月程度で発見されることが多いようです。

◆警察がしてくれること

 孤独死が発見されると、その後は警察が対応することになります。

 まずは遺体を警察に搬送し、身分証明書などで身元の確認をします。身元が判明すると親族に連絡をとることになります。

 遺体が発見された自宅では「現場検証」がなされます。故人の身分証明書や自宅の鍵、財布、現金などは、もし事件性がある死亡の場合、証拠になる可能性があるので、一時的に警察が回収します。なお、その間は、親族でも警察の許可が下りるまでは中に入ることはできません。

 また亡くなった日時、原因、事件性の有無を判断するために、監察医や警察医によって遺体の状態を確認する「検死」が行われます。その際、親族や発見者への事情聴取も行われます。

 *  *  *

 いずれ訪れる死を避けることはできませんが、そのときに後悔が少なくなるよう、対策しておくことは可能です。少しでも多くの方が孤独死についての理解が深まり、ひとり暮らしの不安が少しでも解消されることを願います。

監修/高良実
漫画/浅田アーサー



【高良 実(タカラ・ミノル)】
司法書士。東京都墨田区・みなみ司法書士合同事務所代表。不動産コンサルタント・ファイナンシャルプランナーの資格を有し、主に相続問題や不動産売却についての相談を取り扱う。近年では「親族が孤独死して困っている人」からの相談も増加しており、財産や債務の調査、相続手続き、故人が残した不動産の売却まで、包括したサポートを行っている

【浅田アーサー】
講談社のちばてつや賞、イブニング新人賞などを経て、2013年に白泉社・ヤングアニマルの新人賞を受賞し商業誌デビュー。青年誌で短編漫画を発表するかたわら、実用マンガも担当。『マンガでわかる!認知症の人が見ている世界』(文響社)はシリーズ累計発行部数が20万部を超えるヒット作に

このニュースに関するつぶやき

  • 90日以上経つともはや死亡日を確認することも不可能でしょうね。デロデロに腐敗してるでしょうから。スマホの履歴やレシートでいつまで生きていたか推定するしかない
    • イイネ!15
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(143件)

前日のランキングへ

ニュース設定