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埼玉県八潮市二丁目の県道54号交差点で28日に発生した道路の陥没事故。29日には現場付近で新たな陥没が発生するなど復旧の見通しは立っておらず、12市町の住民に対する下水道使用の制限要請も続く。県は、事故現場の上流部から下水を川に直接流す「緊急放流」の準備を進めており、影響の長期化が懸念される。【鷲頭彰子、田原拓郎、武田良敬】
陥没事故を受け、県は29日朝から緊急の対策会議を開催。大野元裕知事は報道陣に対し「下水の利用を完全に止めるわけではないが、大量に使う風呂や洗濯などは可能な限り(自粛に)ご協力をいただきたい」と述べた。
県によると、県内にある流域下水道管の長さは計約440キロ。多くが使用開始から40年を超えているという。国の指針では下水道管の耐用年数は50年とされている。
今回、陥没の原因となったとみられる下水道管も供用開始から40年以上が経過しているが、2021年度の調査ではすぐに補修が必要な状況ではないと判断されていた。だが、上流約500メートル地点の下水道管は20年度の調査で、モルタルがはがれ鉄の管がむき出しになっていることが発覚、補修に向けて計画策定や設計を進めている最中だったという。
県の担当者は、下水道が破損する要因について「一般論として硫化水素の発生による浸食などが考えられる」と説明。県は今回の陥没の原因を調査した上で、県内の下水道管の緊急点検を実施する予定。修繕の必要がある水道管があれば、費用を新年度当初予算に組み込む考えも示した。
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自治体も対応に追われた。陥没のあった八潮市は29日早朝に危機対策本部を設置。地下のガス管が破損した恐れがあるとして一時避難指示を出し、市役所などに住民ら最大185人が避難した。また、現場近くにある保育施設2カ所を臨時休園とした。
大山忍市長は同日、大野知事を訪ね、早期復旧や原因究明、下水道管の点検などを要望。「被害に遭われた方の救出と無事を祈る。避難や通行止めなど市民生活でご迷惑をかけおわびする」とのコメントを出した。
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