将棋の指し手記録の「棋譜」を盤面図に再現した動画が著作権侵害だとして削除されたのは不当だとして、男性ユーチューバーが、放送事業者「囲碁将棋チャンネル」を相手取り削除申請の撤回などを求めた訴訟の控訴審判決が30日、大阪高裁であった。森崎英二裁判長は一審大阪地裁判決を変更し、男性の無許可配信を「営業上の利益を侵害する違法なもの」だとして、男性側逆転敗訴とした。
一審判決は「棋譜情報は公表された客観的事実で、自由利用の範囲に属する」として、同社に削除申請の撤回や約120万円の支払いを命令。同社側が控訴していた。
二審判決で森崎裁判長は、同社の放送について、主催者の日本将棋連盟が利益を上げるためのビジネスモデルに組み込まれたものだと指摘。無料で棋譜情報が得られるようになれば「ビジネスモデルが阻害され、現状規模での棋戦の存続を危うくしかねない」と判断し、男性の訴えを退けた。
判決などによると、男性は2020年9月〜23年1月、同社が配信した将棋の「王将戦」などの実況中継を基に、自身が作成した盤面に指し手を表示する動画をユーチューブなどで配信。これに対し、同社は著作権侵害を理由に削除を要請し、配信が一時停止された。