大分市のごみ収集運搬業務委託の指名競争入札を巡り、予定価格を業者側に漏らすなどしたとして、市前環境部長ら4人が官製談合防止法違反(入札妨害)などの疑いで逮捕された事件で、足立信也市長は17日夜、記者会見を開き、謝罪した。市が民間に委託などする業務契約を調べたところ、事件以外にも不自然な点があったことから、足立市長は今後弁護士らで構成する第三者委員会を設置し、検証していく考えを示した。
「公正性が高い入札に関し、市民にご心配とご迷惑をおかけしておわび申し上げる」
会見冒頭で足立市長は謝罪し、今回逮捕された業者側の早川幸治郎容疑者(68)が部落解放同盟大分支部の支部長だと明かした。また、外部の学識者から「入札で談合が行われている可能性が高い」との指摘を受け、2023年度の業務契約を見直した結果、一部で解放同盟やその関係者が経営する企業との間で慣例的な随意契約などがあったと公表する異例の展開となった。
市で逮捕されたのは、前環境部長、池永浩二(61)▽パスポートセンター所長、塩地広行(62)▽障害福祉課長、三原徹(57)の3容疑者。県警が公表した逮捕容疑では、4人は22年5月〜6月30日ごろ、共謀の上、秘密事項である入札予定価格を漏らし、これに近い価格で早川容疑者が関係する企業に落札させたなどとしている。
足立市長は、容疑の入札は就任(23年4月)前のため、詳細を把握していないとした。一方で、伝聞と前置きしたうえで、市職員は過去に早川容疑者らから「かなり高圧的な要求をされてきた」と語り、市には就労対策の条例もあったことから「(業務委託などへの)配慮が過度になっていったのではないか」と推測した。早川容疑者の関係企業との契約は23年度だけでも50件以上あったという。
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また、談合の可能性を指摘する連絡は、24年2月、京都大教授ら3人の連名で総務部にあったと説明。その後の調査結果を受け、市は随意契約を競争入札へ変更するなどの見直し策を解放同盟側に示し、同10月に合意したという。
毎日新聞の取材に応じた部落解放同盟大分県連の清田昌助委員長は「(足立市長が)突然会見を開き、団体名などを出して驚いている。市とは昨年10月に合意し、競争入札になることについて、ある程度の整理はできていた」と話した。【神山恵、山口泰輝】
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