東京女子医大=東京都新宿区 東京女子医大の関連工事を巡る背任事件で、東京地検は21日、背任罪で同大元理事長の岩本絹子容疑者(78)を起訴した。松丸典義1級建築士(68)と森洋美元職員(52)についても同罪で在宅起訴した。いずれの認否も明らかにしていない。
一連の捜査は、大学資金2億8000万円超の不正支出を認定し、区切りを迎えた。
起訴状などによると、岩本容疑者ら3人は2018年7月〜21年9月、新校舎や新病棟建設工事の建築アドバイザー報酬などとして、計37回にわたり、松丸建築士に対し計約2億8300万円を不正に支出させ、同大に損害を与えたとされる。
捜査関係者によると、岩本容疑者と松丸建築士は事前に相談し、支出額のうち税引き後の金額の3分の2を岩本容疑者、3分の1を松丸建築士が受け取っていた。岩本容疑者への還流額は計約8700万円に上った。
還流資金は松丸建築士が口座から現金で引き出し、岩本容疑者の側近の森元職員を通じ、複数回にわたり同容疑者に手渡していた。資金の移動は徹底して現金で行われており、金の流れが見えにくかったが、警視庁捜査2課は口座の履歴や関係者の供述を積み上げ、背任容疑での逮捕にこぎ着けた。