限定公開( 1 )
Appleは3月5日(日本時間)、M3 UltraチップおよびM4 Maxチップを搭載した新型「Mac Studio」を発表した。価格は32万8800円から。同日から予約を受け付け、12日に発売する。
Mac Studioはプロフェッショナルクリエイター向けのデスクトップ製品で、これまでタワー型のワークステーションでこなしていたようなワークロードを実行できるパワーをコンパクトなモジュラー型ボディーに収めているのが特徴だ。
今回の新型で搭載された最新チップと、大容量化されたユニファイドメモリによって、クリエイター用途はもちろんのこと、オンデバイスでの大規模言語モデルが実用的に動作することが期待される。
Mac Studioは2023年にM2 Ultraチップ搭載モデルが登場してから更新されておらず、搭載メモリ容量などでの優位性があるとはいえ、GPUのパフォーマンスが向上したM4 Maxチップ搭載Macに絶対的なパフォーマンスで追い抜かれていた。
|
|
今回は上位にM4 Maxチップを搭載したモデルが用意されたことに加え、新開発のM3 Ultraチップを選択できるようになった。“Ultra”がM3ベース(M3 Maxを2つ結合している)なのは意外だったが、コンパクトサイズながらタワー型デスクトップと同等、あるいは上回るパフォーマンスを発揮できそうだ。
モジュラー型で拡張スロットを備えていないMac Studioにとって、Thunderbolt 5に対応したことも大きな進化点といえる。毎秒120GBの転送速度を実現するため、従来モデル比で最大3倍の高速化となる。
M4 Maxチップに関しては、既にMacBook Proへの搭載実績があるため、あらためてその実力やスペックには深く言及しないが、最大16コアCPUと最大40コアGPUを備え、毎秒500GB以上の統合メモリ帯域幅と、M1 Maxチップと比較して3倍以上高速なNeural Engineを搭載している。
GPUは、Dynamic Cachingやハードウェアによるアクセラレーテッドメッシュシェーディングとレイトレーシングなど、Appleの先進的なグラフィックスアーキテクチャに対応する。メモリは最大128GBまでカスタマイズ可能だ。
しかし、注目はやはり久々に2つのチップを接続した“Ultra”バージョンだ。
|
|
●M3 Ultraチップの圧倒的性能
M3 Ultraチップは久々に登場した2チップを結合した最高性能版のAppleシリコンチップだ。UltraFusionで2つの3nmM3 Maxダイを組み合わせ、合計1840億トランジスタを統合している。
従来のMac StudioでM2 Ultraは選択できたが、CPUやGPUなどの世代が古く、例えばGPUはダイナミックキャッシング、ハードウェアアクセラレーテッドメッシュシェーディング、レイトレーシングエンジンなどが搭載されていなかった。
最新世代からは1つ遅れることになったが、M3世代は新しいGPUコアが採用されている上、当然ながらCPU性能も強化されている。実機でのテストが待ち遠しいが、M3 Maxが2つ結合され、共有メモリアーキテクチャで連動するのだから、その性能の高さは想像に難くない。
Appleはメモリ大量に消費するワークロードにおいて、M4 Maxチップの約2倍の性能を発揮するとしているが、それはM3 Ultraチップに接続できるユニファイドメモリが96GBに始まり、最大512GBの構成を選べるためだ。
|
|
例えば、オンデバイスでさまざまなAIモデルを動かせるLM Studioでは、600億パラメータを超える大規模言語モデル(LLM)をオンメモリだけで実行可能になる。AppleシリコンはGPUがCPUと同じメモリ空間に等しくアクセスできるため、LLM開発においては大きな助けになるだろう。
CPUは最大32コア(24パフォーマンスコア)の構成で、GPUは最大80コアとなる。Neural Engineは2つ同時に搭載されているため32コアになる。なおユニファイドメモリの帯域は毎秒800GBとなっている。
高速な外部ストレージだけではなく、外部に性能や機能を強化する周辺機器を選べるようになる。MacBook Proでも対応しており、将来的にはこの高速インタフェースが大いに活躍するだろう。
MacBook Air、Mac Studioともに、実機での評価は発売までにお届けしたい。
|
|
|
|
Copyright(C) 2025 ITmedia Inc. All rights reserved. 記事・写真の無断転載を禁じます。
掲載情報の著作権は提供元企業に帰属します。