「希望のともしび」はある 福井・中3殺害、再審法廷に響いた言葉

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2025年03月06日 15:41  毎日新聞

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毎日新聞

福井中3殺害事件と再審請求の主な経緯

 福井市で39年前、中学3年の女子生徒(当時15歳)が殺害された事件で、殺人罪で服役した前川彰司さん(59)のやり直しの裁判(再審)が6日、名古屋高裁金沢支部(増田啓祐裁判長)であった。「たった一つだけ、私が知っている真実があります。この事件は冤罪(えんざい)である」。前川彰司さん(59)は6日、法廷に立ち、力を込めて語った。


 前川さんが再審を求めたのは2003年に服役が終わった後から。この道のりについて「そのハードルはあまりにも高く、険しく、ほとんど絶望に近いものがあります」。ただ、過去に再審無罪を勝ち取った人々に思いをはせ、「希望のともしびがあるのも事実だ」と振り返った。


 陳述では検察側の対応にも触れた。「適切に対応すると述べたのであれば、無罪を主張すべきだった」。そもそも起訴すべきではなかったとし、「私に対する偏った見方が大きな問題だった」と強調した。


 逮捕から一貫して関与を否定し、一度は無罪判決が出たものの有罪が確定。1回目の再審請求はいったん扉が開いたが、再び閉ざされた。待ちに待った再審。「39年にわたる長い年月を事件のために犠牲にした。人生のむなしさを覚えるのも正直なところです」と訴えた。


 2回目の再審請求が認められたのは24年10月下旬。父親に「(再審の扉が)開いたよ」と伝え、固く握手を交わした。「まだ無罪が決まったわけではない」と気を引き締めて暮らした4カ月超だった。


 無実の訴えは多くの人が支えてくれた。24年12月には名古屋市で開かれた集会で登壇。支援者への感謝を伝えるとともに「冤罪事件の救済を広げる後押しができた」と胸を張った。2月には支援者らによる1400筆以上の署名が高裁支部に提出され、「最後まで見届けてほしい」と呼びかけていた。


 「今、前を向いて歩いている自分がここにいます」。法廷でこう述べた前川さん。今年に入ってから週4回、福井市内の就労支援事業所で検品などの軽作業を始めた。「少しずつ人間らしくなってきた」と手応えを感じている。社会復帰に向けて動き出しており、今後の判決に期待を込めている。【萱原健一、木島諒子】



このニュースに関するつぶやき

  • 冤罪と言い切る証拠はあるのかな (´・Д・)」 冤罪ブームに乗っかってるわけじゃ無いよね
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