40代で忠告された「歯でイーッって袋を破ったら…」 経験者続々「2本折れた」「もう、やめよう」 これって年齢のせい?…歯医者に聞いた

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2025年03月11日 07:20  まいどなニュース

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昔は気兼ねなくできたことが、今は歯にダメージが!? ※画像はAIで生成されたイメージです(praewpailyn/stock.adobe.com)

「歯医者の友達に『40歳過ぎたら、歯で何かの袋をイーって破るのとか絶対やっちゃダメ!昔できたからってやって前歯が折れる歳なんだから本当に気をつけてね!』って言われたからキッチンバサミは常備しているし、無かったら探しに行く。イーってやらない。約束」

【写真】友達に止められた、歯によくない行動とは…実際の投稿

は * るさん(@PlasterStar999)がXにつぶやいたところ、経験者や思い当たる節のある方からのコメントが次々と寄せられました。

「昔、コンビニの煎餅を噛んだ瞬間ボロっと欠けた」
「商品タグの紐も『イーッ!』とやってたけど、もうやめよう」 
「ついやってしまって、ヤベっ!折れた!?ってヒヤッとする時ちょいちょいある」 
「塗料ビンのフタを歯で開けたワシ、無事欠けて歯医者に行くことになったのでこれは本当」 
「それやったら20代で2本おれた。最近その横も粉砕した」
「先日チュッパチャプスの包みを歯で開けようとしてバキ折れしたうちの夫」
「勢いよくプロテインバー齧ったら前歯しにかけた過信しちゃいかん」 
「歯で釣り糸を切っている時に何回か歯が欠けて、歯医者さんに叱られました。やっちゃだめですよ」 
「ヤベ。 やってるw で、既に前歯4本折れてるw」 
「31歳でストレスによる食いしばりで寝てる時に前歯が欠けたし、ちょっとだからと放置してたらせんべい食べてる時にそこに引っかかって更に欠けた。」
「40超えて知らぬまに前歯に虫歯が出来てて、あずきバーで前歯折れた」

みなさん、ついつい軽い気持ちで様々なものをイーッとやってしまっている様子。

今回の投稿主、は * るさんと、歯科医師・博士(歯学口腔内科学)の手塚充樹さんに取材しました。

散歩中に、犬のおやつの袋を開封したくて…

歯科医の友人がは * るさんにこの忠告をしてくれたのは愛犬の散歩中。公園で犬のおやつの袋を開封するのに手元にハサミがなかった時の忠告でした。

は * るさんはセラミックの歯が1本あり、普段から定期検診に通いながらハミガキにも気をつかっているとのことですが、その友人に会うといつも歯の話になるので、あらためて「近いうちに検診に行こう」という気持ちになるのだそう。

「歯磨き粉は、予防歯科に焦点を当てた『コンクール』が綺麗になるのでお気に入りです。あと電動ブラシは歯茎をえぐるらしいので、強く当てないように気をつけています。歯科検診に行くと衛生士さんに細かく相談できるので、皆様にも定期的な検診をおすすめします。成長期のお子様もですが、加齢を感じてきた年代の方も絶対行った方がいいです!!」と、は * るさん。いかに日々の習慣が歯の健康を保つために大事かが伝わってきます。

実際に、無理やり硬いものを歯で動かそうとしたり、強く噛むことで歯にどのような影響が及ぶのでしょうか?

東京都港区新橋にある「ヘルシーライフデンタルクリニック」院長で歯科医師・博士(歯学口腔内科学)の手塚充樹さんに詳しくお聞きしました。

年齢によって歯の丈夫さは変化します

――強く噛んだり、嚙みちぎることは歯にとってどんな影響が?

食材の硬さを超えるものを噛みちぎる行為は、歯に過剰な負担をかける可能性があります。特に、繰り返し強い力をかけることで、歯に亀裂が入ったり、欠けたりするリスクが高まります。

有名な事例として、建築関係のお仕事の方が釘を前歯でくわえて作業をしていると、長年の使用によって歯が釘の形に削れてしまうという報告もあります。これは、歯が特定の負荷を受け続けることで摩耗が進む典型的な例です。

また、服のタグや缶の蓋など、弾性のある繊維質や硬さと弾力があるもの(ゴム、ビニールなど)を噛み切る行為は、歯に捻挫のような軽い脱臼(歯根膜へのダメージ)を引き起こす可能性があるとされています。こうした習慣を続けると、歯が動揺しやすくなったり、歯の寿命を縮めることにつながるかもしれません。

そのため、「イーっとしながら何かを噛みちぎる」ことは、できるだけ避けたほうが歯の健康を守る上で望ましいと言えます。

――みなさん思い当たる節があるようで、実際に欠けた、折れたという方も大勢いらっしゃるようです。

年齢を問わず、噛んで歯が欠ける・折れることは起こり得ます。特に、噛む力が強い方や、食いしばり・歯ぎしりの習慣がある方はリスクが高まります。また、歯に亀裂が入ると、その部分から細菌が侵入し、歯の神経(歯髄)が炎症を起こし、しみる痛みなどの症状が出ることもあります。

そして、年齢によっても歯の丈夫さは変化します。例えば、6〜12歳頃の永久歯が生えたての時期は、歯の組織がまだ未成熟で柔らかいとされています。一方、成人になると歯の組織が成熟し、硬さが増します。ただし、加齢とともに歯の神経(歯髄)の領域は狭くなり、象牙質が厚くなることで、歯自体の硬さは増しますが、同時に弾力性が失われ、欠けやすくなることもあります。

また、噛み合わせや顎の筋力、噛む際の力のかかり方、食材の硬さなども関与するため、年齢だけでなく個々の口腔環境によっても歯の丈夫さは異なります。

――万が一、歯が欠けたり折れたりした場合は?

できるだけ速やかに歯科医院を受診することが大切ですが、それまでの間に応急的にできる対処法もあります。

1.温度の刺激を避ける
歯の内部にある神経(歯髄)への刺激を防ぐために、熱すぎるものや冷たすぎるものの飲食は控えましょう。

2.糖分の多い飲食物を避ける
清涼飲料水やジュース、お菓子(チョコレートやクッキーなど)には糖分が多く含まれており、細菌が繁殖しやすくなります。これにより、欠けた部分からの細菌感染が進行する可能性があるため、摂取は控えるのが望ましいです。

3.硬いものを避ける
さらに欠けることを防ぐために、ナッツ類や氷、フランスパンなどの硬い食べ物を噛むのは避けるようにしましょう。

――歯が欠けてしまった時、歯そのものに何か起きている可能性は?

明らかに欠けている部分だけでなく、歯の表面にあるエナメル質(歯の表層を覆う硬い結晶構造)にも、目には見えない小さな亀裂が入っている可能性があります。

特に、強い力が加わることで、エナメル質の下にある象牙質にまでダメージが及んでいることも考えられます。さらに、ひどいケースでは歯の神経(歯髄)にまで影響が及び、痛みやしみる症状が出ることもあります。

―― 子どもの頃は「硬いものを噛むと身体に良い」と聞いたこともあったのですが。

適切な科学的知見は持ち合わせていませんが、一般的に硬いものを噛むことで顎周りの筋力が鍛えられるという考え方はあります。

特に幼少期の成長発育期においては、咀嚼回数を増やすことが口腔機能の発達に良い影響を与えると考えられています。また、正しい姿勢での食事も重要であり、足の裏をしっかり床につけて食べることで、噛む力や回数に影響を与えるという報告もあります。

さらに、食材の硬さだけでなく形や大きさも重要な要素です。例えば、噛みつく動作が必要な食べ物(例:りんごを丸かじりする)や、種を口から出す動作を伴う食べ物(例:スイカやブドウの種を取り出す)は、口腔機能の発達を促し、咀嚼機能や舌の使い方を鍛えることにつながると考えられます。

――姿勢や食材の形状も歯やその周りの筋肉のために大切なのですね。歯のためのケアや摂取したほうが良い栄養素などあれば教えてください。

日頃のケアとしては、正しい歯磨きの方法を身につけること、歯ブラシでとり切れなくなった汚れであるバイオフィルム(細菌などの微生物によって形成される薄い層・膜)を歯科医院で定期的に除去すること、歯ブラシを一般的には1か月に1回程度のペースでこまめに取り換えることなどがあげられます。

また、日頃のケアに加え、以下の栄養素を含むようなバランスの良い食事を心がけることで、歯の健康を長く維持することができます。
・マグネシウム、鉄分、亜鉛
 歯を支える歯周組織や歯の内部(象牙質)の形成に関与します。
・ビタミンD
 ミネラル(特にカルシウムやマグネシウム)の吸収を促進し、歯や骨の健康を維持するために重要です。
・たんぱく質、ビタミンB群
 歯肉の健康を支えるとともに、傷の回復や組織の修復に関わります。
・ビタミンC、コエンザイムQ10
 歯肉の健康維持に役立ち、歯周病の予防にも貢献します。

◇   ◇

手塚さんのお話から、歯がとても繊細な構造をしていて、日常生活の動作からの影響をダイレクトに受ける器官であることがとてもよく分かりました。一人ひとり口腔環境が異なるため、歯の強さも千差万別なのですね。手塚さんは、著書「非常識な口腔予防学」(2024年発売・ゴマブックス・電子書籍1430円)で、歯や口のトラブルがどのように体の不調に結びつくのか、予防法を紹介。また、X(@Mitsuki_Tezuka)でも随時、歯や口腔、体との関係性について発信しています。

やはり、年齢問わず定期検診に通いながらケアしていくこと、若い頃から大丈夫というわけでもなく、また昔は平気だったからといって過信してはいけないこと、無理やり硬い物を噛まないことが大切だとあらためて感じました。

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・太田 真弓)

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  • 「芸能人じゃなくても歯は命」 今日は歯医者へ。治療を終えても、アチラ‥コチラ…と、数か月とか一年くらい通い続けるコトもある。皆さん、お大事に。
    • イイネ!15
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