トランプ関税、「プラス」影響がある産業・業種は? 東京商工リサーチが調査

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2025年04月14日 16:21  ITmedia ビジネスオンライン

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東京商工リサーチは、関税引き上げの影響について企業対象のアンケート調査を行った

 東京商工リサーチはトランプ米大統領による「相互関税」の影響について、企業を対象にアンケート調査を行った。相互関税によって「マイナス」の影響があると回答した企業は52.3%と半数を超えた。「マイナス」の影響があるとした回答の内訳は「少しマイナス」が30.3%、「大いにマイナス」が22.0%だった。「影響は生じていない」と答えた企業は46.2%、「プラス」と答えた企業は1.3%にとどまった。


【画像】トランプ関税、マイナス影響・プラス影響がある業種は? 回答結果(東京商工リサーチ調べ)


 「影響は生じていない」と答えた企業を規模別でみると、比較的内需型の企業が多い中小企業が46.9%(4896社中2300社)で、大企業の37.5%(418社中157社)を9.4ポイント上回った。


 「マイナス」影響があると回答した産業の最多は「製造業」で64.4%だった。「卸売業」が56.4%、「運輸業」が51.5%、「農・林・漁・鉱業」が51.2%と続き、上位4産業でマイナスと答えた企業が半数を超えた。東京商工リサーチは「規模の大きい企業では、アジア諸国など他国に生産拠点を持つ企業も多く、高い関税が課せられる国についてはサプライチェーンの見直しを迫られる懸念も高い」と分析している。


 一方、「プラス」影響があると回答した産業の最多は「小売業」で3.6%、「不動産業」と「卸売業」が各1.8%だった。産業を細分化した業種別(回答母数10以上)では、「プラス」影響があると回答した業種の最多は「飲食料品小売業」で5.5%、「映像・音声・文字情報制作業」が5.2%、「繊維工業」が4.1%だった。


●関税にどう対応する?


 米国による関税にどう対応するかについて、951社から回答を得た。最多は「特になし」の65.1%で、10産業全てで最多となった。自社への影響を精査している企業が多く、現時点では対応を決めかねている企業が多いようだ。


 何らかの対応を行うと答えた企業からは、「保有する原材料、仕掛品、在庫の量を減らす」が9.7%、「設備投資、拠点開設を取りやめる(または規模を縮小する)」が9.0%で構成比が高かった。


 為替に関しては社内の想定為替レートを「円高方向に見直す」とした企業が5.3%で、「円安方向に見直す」の1.0%を4.3ポイント上回った。金融機関からの借り入れは、「減らす」が5.6%、「増やす」が3.5%だった。借入を増やして資金繰りを維持したい企業よりも、過剰債務や返済不能リスクを軽減する意向の企業が多いようだ。


 ほかに、「今年度の賃上げを取りやめる」2.7%、「来年度の賃上げを見送る」4.8%と、賃上げの実施に弊害が出るとした企業もあった。


 調査元の東京商工リサーチは、トランプ米大統領の相互関税に関する発言について「日本経済にも影響が広がることが確実で、行政や金融機関が企業とコミュニケーションを取り、寄り添った支援を行うことが必要になる」とコメントしている。



このニュースに関するつぶやき

  • 長い目で見れば庶民は国際的価格競争をやめる事ができる。 世界中で、一斉にやらないとならんけど。
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