5月4日『RIZIN男祭り』で朝久泰央と対戦する、現役フジテレビ社員ファイターのウザ強ヨシヤ (C)ORICON NewS inc. 今年で10周年を迎えた『RIZIN』にとって2回目の東京ドーム大会となる『RIZIN男祭り』(5月4日)で、元K-1王者の朝久泰央と対戦することが決定したウザ強ヨシヤ。“現役フジテレビ社員ファイター”という異色の経歴を持つ男は今回、社員としてのキャリアの進退をかけた勝負に臨むことになった。
【動画】“現役フジ社員”ウザ強ヨシヤ、“強敵”朝久泰央に宣戦布告「油断すんなよ!」【RIZIN】
大学時代にキックボクサーとしてプロデビューを飾るも、RIZINへの出場経験は2017、18年の過去2回のみでフジテレビに入社以降、目立った戦歴はない。元K-1王者の朝久との試合も、SNSのアンケートで「勝利は0%」という圧倒的不利な下馬評だが、本人は「覚悟は決まっている」と不敵な笑みを浮かべる。フジ局内の体質をめぐる一連の問題が明るみになる中、ORICON NEWSではそんな“渦中”のウザ強にインタビューを敢行した。
■ファイターとフジテレビ社員の二足のわらじ 謎に包まれている“ウザ強”の理由
――インタビューに入る前に確認したいのですが、ウザ強選手は本当にフジテレビ社員なのでしょうか?
【ウザ強】そんなこともあろうかと社員証と名刺をしっかり持ってきましたよ(笑)。入社当初はバラエティーの部署に入り、お笑い番組のADをしていました。入社7年目になりますが、スポーツ番組のディレクターとして働いています。
――過去に2017年と2018年にはRIZINに参戦されていますが、当時は大学生ファイターとしての活動もされていたんですね。
【ウザ強】はい、実は2度参戦しています。高校3年の時に格闘技を始め、大学2年の途中でプロデビューして、新人王のトーナメントに出させてもらいました。RIZIN初参戦の対戦相手はシュートボクシングの海人選手だったんですが、対戦相手が前日に体調不良になり、代役を探しているという話がジムに舞い込んできて、ほとんどノリで計量前日に出場することが決まったんです(笑)。実力で出ていたわけでもないし、本当運良く出場させてもらっただけでした。
――大学卒業後は一般企業に就職するキャリアは当初から考えていたんですか?
【ウザ強】友人の父親がテレビ局で働いていて、楽しそうで自分も働いてみたいという目標もあったので、格闘技と同時並行で進めていました。社会人になってもファイターを辞めるつもりはなかったですし、両立できたらいいなと思っていたんです。
――リングネームでもある「ウザ強」はどういった意味が込められているのでしょうか?
【ウザ強】気が弱いので、無意識に練習中とかでもウザい動きをしたりオラつきキャラを憑依させたりしたんですよ。それで審判に激怒されたこともあったんですけど(笑)、自分のリングネームにした方がこの個性が生きるんじゃないかと思って「ウザ強ヨシヤ」でデビューさせてもらったんです。すごくキャッチーな名前で、当時のジムの会長には感謝しています。
――現在もフジテレビ社員ですが、練習はどの程度しているのでしょうか?
【ウザ強】試合がなくてもコンスタントにずっと練習はしていて、自分は諦めが悪いので社会人になってからも辞めないようにしていました。練習拠点はいろんな選手が集まってくる「ファイトクラブ渋谷」で、赤田プレイボイ功輝くんとか篠塚辰樹くんとか、一緒に練習しています。
――ほかに交流のあるファイターは?
【ウザ強】昔、平本丈くんとスパーリングしたんですけど、平本蓮くんの弟だと思わずボコボコにしていたら、その後に蓮くんにめちゃめちゃボコボコにされました(笑)。それで少し蓮くんとも仲良くなりましたね。
――ウザ強選手、もしかしてブラックローズなんですか?
【ウザ強】ブラックローズではないんですけど、メンバーとも仲良くさせてもらっていますし、めっちゃかっこいいなと思っています。それこそ朝久選手がブラックローズに入ったじゃないですか。結構絶妙な感じではあるんですけど、ブラックローズの内輪の試合とかでは全くなくて、K-1を背負ってきている朝久選手と、誰にも許可取らず出ちゃいましたけどフジテレビを背負ってやる自分の試合っていう部分で見てほしいですね。
■「正直、会社残るか、試合に出るか」―。RIZIN参戦への熱い思い
――そもそもなぜ、今回の『RIZIN男祭り』に参戦できたのでしょうか?
【ウザ強】今回は会社(フジ)の状況もあったし、自分自身も変わりたい気持ちがあったので、関係者を通じて榊原信行CEOに「いろんなこと失ってもいいので、5月4日、東京ドームで戦わせてください」って、人生で初めて直訴しました。RIZINは6年半ぶりぐらいの参戦になりますが、社会人をやっていたらいろんなことで諦めが生まれてくると思うんですよ。僕も実際諦めかけたし、もう格闘技辞めようかなと思った時期もあったんですけど、そういう時にやっぱりチャンスは来るものだと思いましたね。自分、諦めが悪いんですよ。
――東京ドーム大会のオファーを聞いた時、どう思いましたか。
【ウザ強】本当にうれしかったです。もうどんなことがあっても、出ないわけにはいかないなって。気持ちが先行してしまったので、フジテレビ社員として段階を踏んだ確認ができていない反省はありましたが、ファイターとしては二つ返事でした。
――このインタビューは参戦会見から1週間ほど経過していますが、会社との話し合い状況は?
【ウザ強】正直、会社に残るか、試合に出るか、みたいな話になっています。試合に出たらフジテレビを辞めなければいけない、という可能性もあります。
――それはすごく大きな決断ですが、フジジテレビ社員という立場を捨ててでもRIZIN『男祭り』に参戦したい?
【ウザ強】もちろんです。人生をかけた戦いなので。本当にそう思っています。
――ご家族の反応は?
【ウザ強】当初は「社会人にもなってフジにも入って何言ってんだよ」といった感じだったんですけど、自分の熱量を知って「全力で応援するよ」と言ってくれています。親もうれしそうで。実はここ1〜2年くらい精神的にも肉体的にも大変な時期が多くて、親にもすごく心配をかけていたんですよね。会見でも言ったんですけど、僕は褒められた人間じゃない。自分のことが嫌いだったし、クズなこともしたし、すごく親にも迷惑をかけたんです。このままじゃいけないし、今回の試合で全てをクリーンにできるとは思わないけど、人生を変えるきっかけになればいいなと考えています。もう覚悟は決まっている。試合に向けて、努力して勝つことが、今の人生の僕の目標だし、全てです。
――専業ファイターでも立つことが難しい東京ドームという舞台に、ウザ強選手が話題性だけで立つことに批判の声もありますが、どう受け止めていますか?
【ウザ強】ファイターだけで生活している人にはすごいリスペクト持っていますし、そこに関しては真摯に受け止めなきゃいけないです。でも今回は本気で人生を変えたいし、本当にフジテレビをクビになってもいいと思っている。俺も一端のファイターなので、批判を受け入れながらでも、自分の生き様を見てほしいなと思っています。
――対戦相手の朝久選手とは圧倒的な実績差があります。自分が勝っている部分はありますか?
【ウザ強】SNSの勝利予想投票では朝久選手のKO勝ちが90%、判定勝ち10%ぐらいで、自分の勝利予想が0%だったんです。だからこそ、逆にめちゃめちゃ燃えているし、本当に朝久選手やファンにも言いたいんですけど、油断すんなよって。周りが思っている以上に差はないと思っているし、どんな修羅場もくぐり抜けてきた自信があるので。東京ドームは異空間だし、普通の格闘技の試合とはまた違う。簡単に勝てるなんて全く思ってないんですけど、そういった環境下で、差はかなり埋まるんじゃないかな。
――会見のフェイスオフ撮影では、朝久選手に首を絞められていました。
【ウザ強】自分がポーズを変えた時に手を握られた瞬間があって、その時に「温ったかい…」って頭に浮かんできて笑っちゃったんです。その瞬間に首つかまれて焦りました(笑)。でもよく考えてみたら、朝久選手もK-1を背負っているし、多くの人に見られたいっていう中で会場を盛り上げてくれていたんだろうなって気持ちが伝わってきて、今では感謝していますね。恐怖は一切ないです。計量のフェイスオフでは何が起きるか楽しみにしてください。
■「朝久選手との試合は大けがぐらいで済まない可能性がある。だから先のことは考えない」
――現在フジテレビ自体が大きな問題を抱えて、世間からも厳しい目で見られています。こうした背景もウザ強選手のチャレンジにつながっていますか?
【ウザ強】もちろんです。フジテレビに問題があったし、自分は今回の一連の問題に関連しているわけではないですが、自分も変わらなければいけない人間だと思っています。だから今回は「俺に今できることはこれだな」という気持ちがすごくあって、今回こんなチャンスをもらったなら、試合を通して笑顔とか頑張れる気持ちを届けられたらなって思います。
――もちろん公共性や信念を持ってお仕事されている社員の方も多いと思います。
【ウザ強】本当はそういった方ばかりなんです。夢を持って入社した若手の中には悩んでいる子たちもいるので、人生は自分で切り開けるよってことを見せてあげたいです。今回の自分の挑戦に関して社内では怒っている人もいると思うんですけど、中には応援してくれる人もいます。世間の人はもちろん、社内の人にも少しでも勇気を与えたいので、いろいろ背負って戦おうと思います。恐怖はあるんですけど、もうやるって決めたからにはやるしかないんで。覚悟は決まっています。
――社員としての立場が今後どうなるかわからない中で、東京ドームの試合が終わった後の展望はありますか?
【ウザ強】先のことは一切考えてないです。5月4日に本当死ぬつもりで臨みます。会見で額に銃のポーズを当てていたんですけど、あれはハチマキを指していたわけじゃなくて、「5月4日に死ぬぞ、もうここで俺はピリオド打つぞ」という気持ちを見せたかったんです。朝久選手は強いから、本当に大けがぐらいで済まない可能性だってある。いろんな覚悟を見てほしいし、格闘技なんて生きるか死ぬかだと思っているんで、後先考えずにぶっ飛ばしにいきます。
――過去にRIZINを放送していたフジテレビの社員として、格闘技やRIZINへの思いを改めて教えてください。
【ウザ強】あくまで僕の立場からの考えしかお伝えできないのですが…。会社の中にも格闘技が好きな人、嫌いな人っていると思うんですね。今回の試合をすれば、僕がフジテレビに残れるのか残れないのか分からないし、僕自身のキャリアが消されちゃうんじゃないかって、それぐらい怖いんです。でも格闘技って必要なものだと思う。だから格闘技は地上波に戻ってきてほしいし、戻せたら本当に最高だなって僕は思っています。
◆『RIZIN男祭り』5月4日・東京ドーム
会場チケット・PPVチケット発売中
【対戦カード】
・フェザー級タイトルマッチ
クレベル・コイケ vs. ラジャブアリ・シェイドゥラエフ
・RIZIN MMAルール:5分 3R(66.0kg)
朝倉未来 vs. 鈴木千裕
・RIZIN MMAルール:5分 3R(66.0kg)
萩原京平vs.西谷大成
・RIZIN MMAルール:5分 3R(59.0kg)
神龍誠vs.伊藤裕樹
・RIZIN MMAルール:5分 3R(66.0kg)
高木凌vs.秋元強真
・RIZIN MMAルール:5分 3R(71.0kg)
中村大介vs.桜庭大成
・RIZIN MMAルール:5分 3R(57.0kg)
ヒロヤ vs. 篠塚辰樹
・RIZIN MMAルール:5分 3R(61.0kg)
ダニー・サバテロ vs. 太田忍
・RIZIN MMAルール:5分 3R(57.0kg)
ジョン・ドッドソン vs. 征矢貴
・RIZIN MMAルール:5分 3R(57.0kg)
山本アーセン vs. 冨澤大智
・RIZIN MMAルール:5分 3R(57.0kg)
平本丈 vs. 田丸辰
・RIZINキックボクシングルール:3分 3R(63.0kg)
朝久泰央vs.ウザ強ヨシヤ
・オープニングファイトMMA特別ルール:5分2R(66kg)
上田貴央vs.ヴィニシウス
・同キックボクシングルール:3分3R(57.5kg)
赤平大治vs.橋本楓汰
●RIZIN WORLD GP 2025 ヘビー級トーナメント
・スダリオ剛 vs. ジョゼ・アウグスト
・イズラムベック・バクティベック・ウルー vs. アレクサンダー・ソルダトキン
・マレク・サモチュク vs. ダニエル・ジェームズ
・上田幹雄 vs. シビサイ頌真
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