国内の3Gサービス完全停止まであと1年 「ケータイ」はどうなる?

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2025年05月01日 17:11  ITmedia Mobile

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ケータイよ、永遠なれ!!

 国内で3G(第3世代移動体通信システム)に基づくモバイル通信サービスが完全停止するまで、あと1年となりました。ITmedia Mobileの読者の皆さんの多くは既に5Gあるいは4G(LTE)に移行済みだと思いますが、3Gケータイ(フィーチャーフォン)を使うために契約を続けているという話もちらほら聞きます。


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 今回は、主要な携帯電話事業者(キャリア)における3G通信サービスの状況を確認しつつ、今後の「ケータイ」の行方を考えてみましょう。


●いち早く3Gサービスを取りやめたau


 国内のキャリアで最も早く3Gサービスを停止したのは、au(KDDI/沖縄セルラー電話)で、他社に先駆けて2022年3月31日をもって「CDMA 1X WIN」のサービスを終了しました。その背景として、auは他社とは異なり3Gにおいて「CDMA2000」方式を採用していたことがあります。


 auがCDMA2000による通信サービスを開始したのは2002年2月のことでした。これはauが採用していた2G(第2世代移動体通信システム)の規格「cdmaOne」との互換性を考慮した結果です。


 ただ。CDMA2000はパケット通信を高速化をいち早く実現し、その恩恵からauは他社よりも早いタイミングで通信速度の高速化やデータ定額オプションの提供を実現し、「着うた」のような当時としては画期的なサービスを展開できました。


 その反面、世界的にみると、CDMA2000規格は思うように広がりませんでした。auも端末調達の面で苦労が多かったと思われます。


 通信速度という観点では、確かにCDMA2000の高速化規格(EV-DO)は当時の携帯電話としては高速な部類でした。一方で、ライバルが導入した3G規格「W-CDMA」は、初期こそ通信速度が最大384kbpsとEV-DO比で遅めでしたが、規格のアップデートで「HSPA(HSDPA/HSUPA)」という高速通信オプションが用意され、時がたつにつれ高速化が進みました。ソフトバンクやイー・モバイル(現在のソフトバンク)では、最終的に下り最大42Mbps/下り最大5.7Mbpsにまで到達しています。


 auは「WIN HIGH SPEED」において下り最大9.2Mbps/上り最大5.5Mbpsまで増速に成功しましたが、EV-DOを使ったさらなる増速はコストなどの面で困難だと思われました。


 端末調達と速度向上に困難を来す――そこでauは「au 4G LTE」としてLTE規格に注力することになり、VoLTE(Voice Over LTE)の導入を機にCDMA2000(3G)に“対応しない”端末を増やしていきました。


 CDMA 1X WINで空いた周波数帯(バンド)は、4G LTEサービスに流用されています。


●「能登半島地震」で3Gサービス終了が遅れたソフトバンク


 ソフトバンクは「J-フォン」時代の2002年12月、W-CDMA規格の3Gサービスを開始しました。これは当時の同社の親会社だったイギリスVodafoneが、GSM(2G)との親和性の高いW-CDMAを採用したことも背景にあります。


 3Gサービスを始めて17年が経過しようという2019年12月、同社は「より高速で高品質なLTEサービスが普及した」ことを理由に、2024年1月下旬をもって3Gサービスを終了することを発表しました。


 しかし、2024年1月1日に「能登半島地震」が発生したことに伴って終了時期を遅らせることになり、石川県以外は同年4月16日、石川県は7月31日をもってサービスを終了することになりました。


 同社は3Gで使っていた帯域の4G LTE/5Gへの転用を進めており、3Gのサービス終了で使わなくなった帯域も順次4G LTEまたは5Gに転用されるものと思われます。


●最後に残るはNTTドコモの「FOMA」


 NTTドコモは、3Gのデファクトスタンダード(事実上の標準)となったW-CDMA規格を提唱した会社です。そのこともあってか、同規格が国際規格として確定する前の2001年10月に「FOMA」というブランド名のもと商用サービスを開始しました。


 そんな同社も、「4Gの普及に伴う市場環境の変化に伴う契約数の減少」と、「5Gに経営資源を集中するため」にFOMAサービスを2026年3月31日をもって終了することになりました。ドコモの3Gサービスの終了は、大手キャリアの中では最も遅い終了時期です


 同社では5GサービスにおいてFOMA(3G)エリアで通信できないような措置を実施しており、5Gサービスへの移行が進むほどに3Gでの通信量(トラフィック)は減ります。2023年度末の時点において、FOMAサービスの契約数は約715万(うちモジュールが376万)となっており、ピーク時には約5800万契約だったことを考えると移行はおおむね順調に進んでいると思われます。


●実はauよりも早く3Gをやめたキャリアがある?


 3G通信サービスを真っ先に停止したのはau……なのですが、日本で3G用にバンドを割り当てられたキャリアで、一番早くサービスを終了した所があります。2015年にソフトバンクモバイル(現在のソフトバンク)に吸収合併されたワイモバイルです。


 ワイモバイルのルーツは、2007年にW-CDMA(HSDPA)規格による携帯電話サービスを展開し始めた「イー・モバイル」です。イー・モバイルには同社には3G用に1.7GHz帯(バンド9)が割り当てられ、「指、きたっす」という印象的なCMでデータ通信からサービスを開始しました。その後、2008年には音声通話サービスを開始しています。


 その後の沿革は割愛しますが、ソフトバンクが保有するバンド9の帯域は旧ワイモバイルに由来するものなのですが、同社は2018年1月をもって同帯域での3Gサービスを終了しています。


 これにより、Y!mobile(旧イー・モバイル→旧イー・アクセス)独自のバンド9を用いる3G通信サービスは利用できなくなりました。この帯域はソフトバンクにおけるLTEサービス(SoftBank 4G LTE)用に転用されました。


●ところで「ケータイ」はどうなるの?


 スマートフォンが市場を席巻する以前に主流だった「ケータイ」は今後どうなるのか、という点にも触れておきます。


 この記事をご覧の方の多くがそうであるように、現在の携帯電話端末の主流はスマホです。いわゆるPDA(Personal Digital Assistant)ではなく、“スマホ”として国内で初めて登場したのは、ソフトバンクが2008年に発売した「iPhone」、あるいはドコモが2009年に発売したHTC製の「HT-03A」でした。ドコモがLTE通信サービス「Xi(クロッシィ)」を始める1〜2年です。


 それから16年弱が経過したわけですが、今は「携帯電話といえばスマホ」という感じです。従来型のケータイを使う光景を見かけることは少なくなりました。


 しかし各キャリアは、今でも10キーを備えたケータイスタイルの携帯電話を販売しています。OSはAndroidベースで、中のチップセットもAndroidスマホ向けのものを使っていますが、使い勝手を極力ケータイに寄せていることが特徴です。


」(京セラ製)は、シニア層に向けたケータイです


 一方で、携帯電話ショップ「テルル」を運営するピーアップは、オリジナルAndroidスマホ「Mode 1シリーズ」のラインアップとして、ケータイと同じテンキー付きの折りたたみボディーのモデルを用意しています。2017年9月に初代、そして2023年10月には2代目が登場しました。


 こうした流れをみると、ケータイ型を使い続ける(求める)層は、高齢者やビジネス用途を中心に根強く残っていることは確かです。ニーズに合わせてデバイスを供給し続けられるメーカーがいれば、引き続きケータイに近い使い勝手の携帯電話を使い続けることもできそうです。


 ただ、繰り返しにはなりますがスマホとは異なり、成長市場ではないので、多数のメーカーから多くのデバイスが発売されて、豊富な選択肢から選べる――そういう状況になることはないでしょう。



このニュースに関するつぶやき

  • ガラケーは相手にかざすと威嚇になるけどスマホではサマにならないなぁ��������
    • イイネ!0
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