モスの「690円バーガー」が1700万食を突破 バーガー戦国時代に”新王者”誕生か

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2025年05月05日 06:20  ITmedia ビジネスオンライン

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モスの新とびきりシリーズは、第3の柱になるか

 モスバーガーの「新とびきりシリーズ」が好調な売れ行きを見せている。物価高で節約志向が強まる中、パティに国産牛を100%使用するなど、「プチ贅沢(ぜいたく)」を楽しみたい消費者ニーズをとらえ、旧シリーズから販売数を約2倍に伸ばした。なぜ、これほどの支持を集めているのか。


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 新とびきりシリーズは、バンズからはみ出るような大きなパティが特徴だ。定番商品として、北海道産チーズを含むブレンドチーズと和風バーベキューソースを合わせた「新とびきりチーズ〜北海道チーズ〜」(690円)と、「ダブル新とびきりチーズ 〜北海道チーズ〜」(980円)を販売している。


 旧シリーズでは合挽きだったパティを国産牛100%に変更したことで、肉の食感が強く、食べ応えのある商品に。2024年3月の発売から1年で1700万食を販売した。


 モスバーガーでは、2024年4〜12月の全店売上高が前年同期比で104.7%となったほか、客単価(同101.5%)、客数(同101.8%)でも前年を上回っており、同シリーズの好調が経営面でもインパクトをもたらしていることがうかがえる。


●「プチ贅沢」ニーズを捉えたことが要因


 物価高騰で財布のひもが堅くなっている状況だが、プチ贅沢のニーズも強い。コロナ禍以降、食事に対する考え方も変化し、「頑張った自分へのご褒美」として外食を利用するシーンが増えているという。


 「そのニーズを捉えたことが、販売好調の要因の一つ」とモスフードサービスマーケティング本部長の千原一晃氏は分析する。


 評価で特に目立つのは「ボリューム感」だ。パティの大きさを実感できる仕様にしたことで、通常の「モスバーガー」(470円)より価格が高いものの、1個で満足できるボリュームとなり、コストパフォーマンスに優れた商品と捉えられている。


 その結果、夕食需要の取り込みにも成功。「昼だけでなく、夕方から夜にかけての販売も好調」と千原氏は手応えを語る。


 当初は男性客を中心に支持を得ていたが、2024年11月にアボカドを使った商品を販売したところ、女性客の割合も増加。2025年春からは「新とびきりトマト&レタス 〜和風ジンジャーソース〜」(670円)を期間限定で販売している。


 体を温める効果のある生姜を使った和風ソースで、女性層への訴求を図っている。


●モスバーガーは「和」をテーマに差別化を図る


 ハンバーガー業界では、各社が自社の強みを生かした差別化戦略を展開している。マクドナルドは、500円台のセットや時間帯別メニューの提供のほか、販売チャネルを連携させ、利便性を高めて顧客獲得を図っている。近年では、「サムライマック」など、ボリュームや素材にこだわった高付加価値のバーガーにも力を入れている。


 ただし、グローバルチェーンであることから、パティなど食材のほとんどは世界各国からの調達を基本方針としている。


 一方、モスバーガーは「和心エンジョイ」をキャッチフレーズに、日本生まれのハンバーガーチェーンとして「和」の要素と季節感を強調した商品を販売している。今回の「新とびきりシリーズ」では、国産牛100%のパティや北海道産チーズなど国産素材にこだわって差別化を図った。


 また、物価高を受けて各社が値上げを実施したことで「品質は良いが、高い」とされてきたモスバーガーの相対的な割高感は薄れつつある。この変化も、国産牛100%のパティによる「プチ贅沢」訴求が消費者に受け入れられた背景といえるだろう。


●「新とびきりシリーズ」を第3の柱に


 客数は対前年比(101.8%)で増加するなど、モスバーガーの戦略は評価されていることがうかがえる。しかし、物価高が続く環境下では「価格と価値のバランス」が常に課題となる。


 プレミアム価格帯である「新とびきりシリーズ」が継続して支持を得るためには、適切な価格設定と商品価値の両立が欠かせない。また、ボリューム感のある商品を女性客にどう訴求するかも課題だ。


 これらの課題に対応するため、今後も2カ月おきに新商品を提供していく方針だ。「新とびきりシリーズ」の期間限定メニューも継続的に展開し、顧客層の拡大を目指す。


 モスバーガーは、「新とびきりシリーズ」を「モスバーガー」と「テリヤキバーガー」に次ぐ第3の柱とする考えだ。「モスバーガー」と「テリヤキバーガー」の二枚看板には、それぞれにファンがいるほどの人気だが、「新とびきりシリーズ」はこれらに続く看板商品となれるだろうか。


(カワブチカズキ)



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