「若返り」は夢じゃない?=老化細胞の除去、企業の研究活発―植物成分効果に期待高まる

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2025年05月05日 08:01  時事通信社

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イベントで展示されたキンミズヒキの花の写真パネル=3月6日、東京都渋谷区(ファンケル提供)
 若返りや老化防止の研究に企業が力を入れている。注目されているのは、体内に蓄積し、全身に悪影響を及ぼす「老化細胞」の除去だ。植物成分の効果が確認されており、技術や関連商品の開発が進めば、健康維持や若さを取り戻す強力な武器になると期待される。

 老化の原因の一つは、細胞自体の老化にあるとされる。分裂を停止した細胞が体内にとどまり、周りの細胞の老化を促す物質を分泌。この結果、認知機能や骨、肌といった心身のさまざまな部位に影響が及ぶ。

 これまでの改善策は、個々の痛みや機能低下への対処が主流だった。こうした中、ファンケル(横浜市)は多年草「キンミズヒキ」に含まれるポリフェノールの一種「アグリモール類」が、老化細胞の除去に効果を発揮する可能性を発見。臨床試験の結果、アグリモール類の成分を摂取した男性のグループは、摂取しなかったグループに比べて血液中の老化細胞の減る量が約4%多かったという。同社はこの成分を含んだサプリを開発し、中高年の活力維持をサポートしたいとしている。

 資生堂みらい開発研究所の加治屋健太朗センター長は「年齢は老化と必ずしも相関しない」と話す。肌のトラブルを防ぐ免疫機能の研究を進める中で、免疫細胞のメモリーT細胞が多いほど、老化細胞が少ないことを確認。ツバキ油の搾りかすを発酵させた抽出液がメモリーT細胞の活性化に寄与し、皮膚の老化細胞を除去する効果を高める可能性が分かったという。

 同社はこの抽出液をスキンケア商品に採用しているが、加治屋氏は「肌だけでなく、体や心の状態も良くする製品を提供したい」と今後の研究に意欲を示した。

 米国では、イーロン・マスク氏もスポンサーを務める非営利団体Xプライズ財団が「10年若返れば賞金1億100万ドル(約145億円)」を掲げ、心身の機能を大幅に回復させる技術の大会を主催するなど民間投資が活発だ。国内のある健康食品業界関係者は「日本は産官学の取り組みが中心で、予算のかけ方やスピード感が遅い」と指摘。民間を含め、研究開発を加速させる必要性を訴えている。 

キンミズヒキの作用に関する発表会=3月6日、東京都渋谷区(ファンケル提供)
キンミズヒキの作用に関する発表会=3月6日、東京都渋谷区(ファンケル提供)

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  • 若返ったとしても、過去に戻ってやり直す事は出来ないんですよ…
    • イイネ!14
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