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<バスケットボール男子Bリーグ1部(B1)プレーオフ:宇都宮73−71琉球>◇チャンピオンシップ決勝(2戦先勝方式)◇第3戦◇27日◇横浜アリーナ
宇都宮ブレックス(東地区1位)が亡き監督に優勝をささげた。琉球ゴールデンキングス(西地区1位)との激戦を制し、史上最多3度目、リーグ戦最高勝率のチームとして初の頂点に立った。今年2月、ケビン・ブラスウェル監督が46歳の若さで急死。動揺と悲しみがチームを覆ったが、「ケビンを日本一の監督に」を合言葉に結束。チャンピオンシップで千葉Jら強豪を次々と倒し、約束の地にたどりついた。エースの比江島慎(34)らの目には涙が光った。MVPには宇都宮のD.J・ニュービル(33)が選ばれた。
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比江島がブラスウェル監督の遺影を掲げた。勝ちどきを上げる選手たちの目には涙がにじんでいた。苦しかった。追い込まれた。それでも、誓いを果たすために全員で「ハビット」(習慣)を貫いた。
第2Q終わって12点のビハインド。じりじりと追い上げ、第4Q残り1分15秒でニュービルが逆転の3点シュート。いったんは勝ち越されたが、残り33秒、ここまで不調だった比江島が再逆転の3点シュートを決めた。「気持ちで打った。ケビンが僕の背中を押してくれた」。
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昨年8月、全員そろっての最初の練習開始前、ブラスウェル監督は選手たちにある映像を見せた。昨季の千葉Jとのチャンピンシップ(CS)準々決勝第3戦。3点リードの第4クオーター(Q)残り1分24秒から、連係にちょっとした緩みが出て2度リードを保てず、延長戦に持ち込まれて負けた。
「勝てた試合を自分たちで手放した。苦しい時こそコミュニケーション。それをハビットにしていかないと成長はない」。千葉Jとの開幕節こそ連敗してしまったが、その後に12連勝。東地区を快調に飛ばしていた1月17日朝、チームのラインに一報が入った。
監督が倒れた−。心臓に疾患が見つかり、緊急手術したのち、合併症を発症。前日16日の練習では、いつもように笑顔で冗談を言っていただけに、チームに衝撃が走った。2月24日、同監督は帰らぬ人となった。宇都宮市内の病院の霊安室に次々と選手が集まった。「今にも笑って冗談を言いそうな顔。現実味がなかった」(副主将の渡辺裕規)。ケビンはそこにいる、ケビンを日本一の監督に。みな、固く誓った。
恒例のシャンパンファイトにもブラスウェル監督の遺影は持ち込まれた。泡と涙と汗でぐちゃぐちゃになりながら喜ぶ選手たち。その様子に、遺影の中のブラスウェル監督もほほえんでいるように見えた。【沢田啓太郎】
▽宇都宮・比江島(第4Qに逆転の3点シュートを決め)「最後、ケビンが僕の背中を押してくれた」
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