池袋・法律事務所で男性刺殺　容疑者は50歳同僚「以前から恨み」

　1日午前11時50分ごろ、東京都豊島区東池袋3の高層ビル「サンシャイン60」の31階にある「アディーレ法律事務所」で「男性従業員が男性に刃物で刺された」と110番があった。事務所の従業員、芳野大樹さん（36）＝豊島区南長崎5＝が首を刺され、搬送先の病院で死亡が確認された。警視庁は同僚の渡辺玲人容疑者（50）＝新宿区新宿2＝を殺人未遂容疑で緊急逮捕した。

　逮捕容疑は1日午前11時45分ごろ、事務所内で芳野さんの首を折りたたみナイフ（刃渡り約9センチ）で複数回突き刺すなどして殺害しようとしたとしている。「（芳野さんに）以前から恨みを持っていて我慢の限界がきた。自宅から持ってきたナイフで刺し、痛みを味わわせたかった。死んでも構わないと思った」と容疑を認めているという。警視庁は容疑を殺人に切り替え、トラブルの経緯などを調べる。

　警視庁巣鴨署によると、渡辺容疑者は芳野さんが椅子に座っているところを背後から刺したとみられる。その後徒歩で移動し、正午ごろ、現場から約500メートル離れた池袋駅東口交番に出頭した。所持品のリュックサックからは他にナイフ2本が見つかったという。

　アディーレ法律事務所は過払い金返還訴訟を多く手掛けていることで知られる。ホームページによると、サンシャイン60に本店を置き、全国65の拠点に235人以上の弁護士が所属する。

　一方、過払い金返還請求の着手金の無料キャンペーン期間について事実と異なる宣伝を繰り返したとして、2017年に東京弁護士会から業務停止2カ月の懲戒処分を受けた。

　今回の事件を受け、事務所は「亡くなられた従業員のご冥福を心よりお祈り申し上げる。捜査に誠心誠意協力するとともに、事実関係が明らかになり次第、速やかに報告する」とのコメントを出した。

　現場と同じ階に勤める20代の女性会社員は「上司から、事件があり犯人が逃げているから外に出ないようにと言われた」と当惑した様子だった。【朝比奈由佳、山本康介】