限定公開( 19 )
芦田愛菜(21)が、細田守監督(57)4年ぶりの新作アニメ映画「果てしなきスカーレット」(11月21日公開)に主演することが3日、分かった。父の復讐(ふくしゅう)に失敗するも、再び宿敵に復讐(ふくしゅう)を果たそうと死者の国を旅する中世の王女スカーレットを演じる。現代の日本から来てスカーレットと旅する心優しい看護師・聖を長編アニメ作品初挑戦の岡田将生(35)が演じる。ともに細田監督作品への参加は初めて。
スタジオ地図が、米ハリウッドメジャーのソニーピクチャーズと初の共同製作&出資し、12月12日の米国公開をはじめ全世界配給される大作の主演を、芦田が張る。スカーレットは、父の国王を目の前で殺されたことから復讐(ふくしゅう)に取りつかれていく狂気をはらんだ、これまでの芦田のイメージにはない役どころだ。
役の設定と同じ19歳で演じたが、細田監督からは「現代の19歳と中世を生きる19歳は違う。一国の王女としての自覚や覚悟がある感じがほしい」と演出され、ジャンヌダルクやエリザベス1世などを調べて役作りした。「演じることがとても難しかったです。復讐(ふくしゅう)とはどのような気持ちなのか。叫ぶシーンでは、少し戸惑いもありましたが、全力でやってみて『これだ!』と吹っ切れた瞬間がありました」と振り返った。
岡田は「長編アニメの声優に初めて挑戦しましたが、声だけでの表現はとても難しく、感情がこんなにも伝わりづらくなることを今回初めて知りました」と率直な感想を語った。演じる聖は、現代の日本で日々、命と向き合う看護師。ある日、死者の国で目を覚まし、ボロボロに傷ついたスカーレットに出会うと、何の見返りもなく手を差し伸べる。なぜ自分が死者の国に迷い込んだのか、分からないままスカーレットの旅を支え、最初は反発していたスカーレットとの関係も変化し、バディとなっていく。22、24年のテレビ朝日系ドラマ「トラベルナース」でも看護師役を演じており「いろんな仕事が地続きに繋がって(経験が)生きていることを実感しています。」と感慨深く振り返った。
今回は声を先に収録し、製作側が後からアニメーションを製作するプレスコを、細田作品では初めて採用し、キャラクター全体に2人の動きを取り入れた。芦田と岡田は1年前にプレスコを行い、さらにシーンに合わせて改めてアフレコも実施。20年の映画「星の子」(大森立嗣監督)以来5年ぶりの共演となった2人が、アフレコは一緒に行った。芦田が「2人一緒に演じさせていただけて、聖とスカーレットの対比がとても演じやすかったです。一緒にアフレコができてよかったなと思っています」と言えば、岡田も「今回の経験は僕にとってすごく大きいことで、大好きな細田監督とご一緒できて良かったと実感しています」と振り返った。
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芦田、岡田、細田監督のコメント全文は、以下の通り。
芦田愛菜 スカーレットは、中世の王女で私と同世代の19歳という設定ですが、根底にあるものや価値観が違う部分がたくさんあり、演じることがとても難しかったです。監督から「現代の19歳と中世を生きる19歳は違う。一国の王女としての自覚や覚悟がある感じがほしい」と言葉をいただき、ジャンヌダルクやエリザベス1世など、動乱の世を生きた女性たちのことを調べ、少しずつ役作りしました。“復讐(ふくしゅう)”とはどのような気持ちなのか、きっと大きな声を出さないと立ち向かっていけないだろうと想像しながら演じました。叫ぶシーンでは、少し戸惑いもありましたが、全力でやってみて「これだ!」と吹っ切れた瞬間があり、どんどん役が体になじむ感覚がありました。スカーレットは、復讐(ふくしゅう)に燃えて狂気的に見える部分もありますが、そうせざるを得ない状況を思うと、いとおしく、まっすぐ駆けていく姿は、見てくださる方々も応援したいと思ってもらえるのではないかと思います。混沌(こんとん)とした世界の中で一生懸命に生きようとする人々が描かれた作品ですが、それは現代世界にも通じる部分があり、また、苦しいことや絶望してしまうことがたくさんある中、それでも一生懸命前を向いて生きようとする人々に、いち観客として心打たれました。そのような明日への希望を感じていただける作品になっているのではないかと思います。
岡田将生 長編アニメの声優に初めて挑戦しましたが、声だけでの表現はとても難しく、感情がこんなにも伝わりづらくなることを今回初めて知りました。いろいろなアニメを観させてもらっていますが、声優さんのすごさを改めて実感しています。僕が演じた聖は、困っている人たちに何の見返りもなく手を差し伸べるような人で、簡単に言うととても理想主義者です。復讐(ふくしゅう)に燃えるスカーレットのさやのような存在となれるよう、彼女の支え方や寄り添い方、聖の優しさや誠実さを伝えられるようにキャラクター像を作っていきました。スカーレットから反発されるシーンもありますが、今この世界でとても必要な人だと思います。スカーレットが抱えている問題や彼女が導き出す答えを、皆さんも彼女とストーリーに沿って考えながら、聖を通して、優しさや人に対して誠実さを求めてはいけないのか、求めるべきなのか…感じ取っていただけたらうれしいです。細田監督の作品をいつも楽しみにしていましたが、自分がその内側に入れてもらえたことはうれしくもあり、不思議な感覚です。正直、まったく内容を知らないまま、映画館で観たかった…と思ってしまう“細田作品ファンな自分”もいます。いちファンとして作品が完成するのを楽しみにしています。皆さんも是非、楽しみにお待ちください。
細田守監督 (芦田について)スカーレットをここまで表現できたのは芦田さんのおかげです。すさまじい演技の連続で、なんと素晴らしい俳優なんだ、と収録中、何度も驚きました。復讐(ふくしゅう)に取り憑かれた中世の王女に、芦田さんは全身全霊で憑依(ひょうい)しています。彼女のかわいらしい外見からはとても想像できないほど、本番中は迫力に満ちています。圧倒的な狂気と、身もだえするほどの葛藤、そしてその奥に隠れた清らかな人間性が、十二分に表現されています。芦田さんのお芝居は、この映画の大きな見どころのひとつです。
(岡田について)岡田さんは、演技がうまくて誠実で、でも謙虚で控えめな方でもある。聖ってこういう人かもなと、聖の人物像を、岡田さんを通して理解したような感覚がありました。聖は、命に関して真摯(しんし)に向かっていく能動的な力もあれば、スカーレットのように復讐(ふくしゅう)という怒りと狂気を持った人物にそっと寄り沿って慰める優しさもある。この両面性は、岡田さんご本人の人間性とも通じるものがある、と感じます。役と俳優がぴったりかみ合っている、と強く思わせられました。
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