「病院には8回行きました」幼児3人と200日で世界一周したママに聞いた“子への影響“に納得

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2025年08月01日 09:00  女子SPA!

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おかんトラベラーさんと、家族のみなさん。ペルーのマチュピチュにて(以下、写真はすべておかんトラベラーさんからの提供)
 こんにちは。コラムニストのおおしまりえです。

 旅行は好きだけど子どもと一緒はハードルが高いーー。そんな気持ちから、旅を後回しにしている家庭も、多いかもしれません。筆者もその一人。でも、「いつか行きたい旅」は、だいたいタイミングが先延ばしになりがちです。

 今回は「やっぱり海外に行きたい!」という自分の気持ちに気づき、3人の子どもを連れて200日・14か国の世界一周を果たしたおかんトラベラーさん(37歳・@okan.momtraveller・以下おかんさん)に話を聞きました。

 おかんさんは当時、5歳、3歳、1歳のお子さんを連れて、家族5人で世界一周旅を実行しました。こう聞くと、もともと旅好きで海外経験も豊富だったのかと思いきや、おかんさんにはバックパッカーの経験はなく、英語もほとんど話せなかったそう。また、初めての子連れ海外旅がこの世界一周でした。

 最終的に、旅は1か国目のタイをスタートに、そこからヨーロッパの国々を満喫。北アメリカ大陸へ移動し、キャンピングカー移動もしながら南アメリカ大陸へと突入。エクアドル・ペルー・ボリビアと大自然を満喫し、合計14か国の旅を終えています。

 おかんさんは旅の最中、「旅育」といった子どもへの影響はそこまで考えていなかったそうですが、実際の影響はどうなのでしょう。3本目となる今回は、世界一周旅の最中の、子育て事情や子どもへの影響について聞きました。

◆「大変だけど楽しい」は、子どもも一緒

 3人の子どもを連れて200日間旅をする。想像するだけで大変さで目が回りそうですが、まず、旅に対する子どもたちの反応はどうだったのでしょう。

「子どもたちは、行くって決めた際も『行きたいー』ってポジティブでした。保育園休める、ラッキー! くらいの感覚ですね。道中もトラブルなどありましたが、『もう帰りたい!』みたいなSOSは意外とありませんでした。でも、海外の食事は口に合わないことも多く『ご飯またこれ〜?』とか、『この場所くさいっ!』みたいな文句はありました」

 例えば、現地の香辛料が強い料理や、ローカルマーケットのにおいには、子どもたちもギブアップ気味だったそうです。そんなときには「頑張ったらラーメン食べに行こう!」と、マクドナルドやラーメン店に連れて行くなど、子どもがリフレッシュできるよう工夫していたといいます。意外と日本でのご褒美と手段が変わらないのには、驚きます。

「子どもたちが旅の最中に帰りたがることはありませんでしたが、あくまで無理強いはさせないようにしていました。具体的には、行きたくない場所は二手に分かれて対応するなどです。モロッコではサハラ砂漠をラクダに乗って移動するツアーに参加しましたが、大嵐に見舞われ、砂が舞い続ける状況でした。

そうしたら、当時5歳の長男だけが絶対行きたくないとなったので、相談した結果、二手に分かれました。ツアー場所までは、長男と次男はガイドさんと日本人の知人と一緒に車で移動し、娘と私たちは嵐の中ラクダに乗ることにしました。『本当に嫌な時は自分で選択できるんだ』ってことは、子ども自身が感じられるよう意識していましたね」

◆1歳児との旅は、授乳とバナナで乗り切る

 ところで、この子連れ旅で気になるのが、1歳児(次男)の存在です。出国時は1歳直前の旅だったそうで、そうなると、離乳食やおむつの問題がついて回るはずです。正直かなりハードルが高い印象ですが、どうやって乗り切ったのでしょう。

「確かに、1番下の子のオムツは取れてないし、離乳食もまだ途中段階です。旅に出る前には、旅仲間にもいろいろと相談もしました。そうしたら、中華料理店に行けば子どもが食べられそうなものがあるから、だいたいなんとかなる、と教えてもらいました。あと当時は、母乳育児をしっかり続けていたので、『おっぱいとバナナがあれば大丈夫』という信念のもと、何かあれば授乳できると思っていました。実際旅の最中も、場所関係なく授乳をした記憶があります」

 母の底力と判断力。そして“完璧じゃなくていい”という柔軟さがあったからこそ、1歳との旅も成立したのかもしれません。

 とはいえ、子連れ旅は楽しいことばかりではありません。200日の旅では、なんと病院に8回も行ったというおかん家。海外で病院にかかるって、ちょっとパニックになりそうですが、おかんさんは「だんだん慣れるんです」と笑います。

「8回の内訳は、トルコで2回(夫婦)、メキシコで3回(すべて子ども)、グアテマラで1回ペルーで2回(すべて子ども)です。メキシコでは末っ子が泣きすぎて痙攣を起こしたり、娘が頭をケガして出血したりと、本当に大変でした。海外で病院にかかるのは大変なのですが、それでも回数を重ねるうちに、慣れてきます」

◆マチュピチュ村での病院探しも経験

 おかんさんいわく、病院受診の前は準備が重要なのだとか。まず、病院に行く前に話したい内容を日本語でまとめ、それを翻訳アプリで現地語に変換しておきます。

 それを見せながら翻訳アプリを使ってやり取りをすれば、現地の言葉が話せなくても、きちんと受診はできるという。また費用面の不安は、海外旅行保険やクレカ付帯保険も活用したため、ものすごい高額請求が来ることもなかったといいます。

「病院受診で印象に残っているのは、ペルーのマチュピチュ村の病院を探すときです。基本的に、旅の途中で病院受診をする際は、クレジットカードの海外問い合わせ窓口に電話して、日本語対応可能な病院を探してもらいます。でもマチュピチュ村では場所がローカルすぎてそれができず、宿のオーナーさんに村の病院を紹介してもらいました。医療の質については若干心配になる部分はありましたが、とても親身になって対応していただき、温かさを実感しました」

◆体験は子どもたちの“感覚”として残っている

 世界のあらゆる場所であらゆる経験をして育つ子どもたち。稀有な経験をした彼らも、現在は帰国して1年以上が経ち、普通の生活を送っています。当初「彼らにこの旅の記憶が鮮明に残ることは、ほぼないだろうと思っていました」と語っていたおかんさんですが、実際旅の記憶は、子どもたちにどんな影響を与えるのでしょうか。

「一番上の子は、旅を経験して日本の良さを改めて実感しています。蛇口をひねって水が飲めること、ご飯がどれも美味しいこと、それがどれだけ恵まれているかは、旅を通して理解したようです。

真ん中の子は、もともとの性格が自由で順応性が高く、わりと海外向きでした。そのせいか、帰国直後は日本のことをいろいろ忘れていましたね(笑)。今では日本が大好きな生活に戻っていますが、それでも三角を見れば『ピラミッドだね』って言うし、紅葉を見ては『カナダのマークみたい』と、“世界”を自分のものとして感じています。

1歳だった末っ子は、まったく人見知りをしない子に育ちました。いろんな国でいろんな人からハグされ、可愛がれ、人に対する愛みたいなものを感じ取っているんだと思います」

 三者三様の成長をしているおかん家の子どもたち。改めて、「旅って、子どもにどう影響すると思いますか?」と聞くと、こんな言葉をもらいました。

「今回の世界一周旅は、私が行きたいところから始まっているので、子どもへの影響はそこまで考えていませんでした。でも体験は“記憶”じゃなくて、“感覚”として、ちゃんと残るんだなって、子どもを見ていて感じます」

 子どもたちの中には“世界の空気”が、じんわりと染みこんでいるといいます。大人になったとき、その感覚が、視野の広さや自信になっていくのか、今から楽しみです。旅が子どもにあたえる影響について、皆さんはどう感じたでしょうか。

【おかんトラベラー】
1988年生まれ、大阪在住。正社員を辞め、夫と3人の子どもを連れてローンを抱え世界一周へ。英語力ゼロ・バックパッカー経験なしで、200日間14カ国を巡る旅に挑戦。「子連れには今しかできない旅がある」をモットーに、旅で子育てを楽しむお母さんを増やすべくInstagramやVoicyで発信中。著書『子育てはしんどい。だから私は子どもと一緒に旅にでる』はAmazon人気度ランキング総合1位。

<取材・文/おおしまりえ>

【おおしまりえ】
コラムニスト・恋愛ジャーナリスト・キャリアコンサルタント。「働き方と愛し方を知る者は豊かな人生を送ることができる」をモットーに、女性の働き方と幸せな恋愛を主なテーマに発信を行う。2024年からオンラインの恋愛コーチングサービスも展開中。X:@utena0518

このニュースに関するつぶやき

  • 親が遊びたいからって子供を連れ回すのは虐待だよ。エクアドルで激貧の子を見て優越感に浸れたか。無事でいられたのは結果でしかない。バッカパッカーを養成すんなよ。
    • イイネ!7
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