
京都市右京区にあり、京都で2番目の高さを誇る「愛宕山(あたごやま)」。
登山者からも人気の山だが、春〜初夏、秋の登山シーズンは「ツキノワグマ」が多く目撃されており、入山の際は厳重な注意が必要だ。
そんな愛宕山の中腹に位置し、国の重要文化財も多く安置されている『鎌倉山 月輪寺(つきのわてら)』。
愛宕山の登山ルートにある月輪寺の公式アカウント(@tukinowatera)が先日、こんな注意喚起をX(旧Twitter)に投稿した。
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「犬を連れて登山なさる方にお願いです。リードを外して登山なされておられる方がおりますが、大変危険です。犬が山にいる動物を見かけ、突如走り出し(鹿・猪・クマ出没など)、追う・追われて、そのまま山奥に入り帰って来なくなるという、犬の遭難がよくあるため、絶対に下山するまではリードは外さないで下さい」
(月輪寺【公式】のXの投稿より)
愛宕山で犬が遭難したら…「保護はほぼ不可能」
月輪寺の広報担当の方に詳細を伺ったところ、数年前まで月輪寺にも看板犬兼番犬がいたこともあり、「犬」を連れて参拝すること自体は可能なのだそうだ。
「ただし、現在の月輪寺は愛宕山に生息する野生の鹿が多く出没する”鹿の楽園”になっておりますため、犬のリードだけは絶対に離さないことが前提となります」(月輪寺・広報)
だが現実は、リードを離したりリードが外れるなどで、犬が失踪、遭難する事案が後を絶たないという。
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「多い年では年間、約10件程度『犬の遭難』が発生しています。春と秋は登山シーズンですので、犬を連れての参拝者や登山者も愛宕山に多く来られますが、山の獣たち(鹿・猪・クマ・猿など)も活発なシーズンになりますため、遭難率が高くなります。とくに月輪寺周辺にはたくさんの野生の鹿がいるため、犬が本能的に鹿を追いかけ、さらに山奥に入ってしまい見失う……という状況です。
登山中に犬が遭難しますと、捜索時間は日没前までとなり、安全のため飼い主は下山しなくてはならず、犬は飼い主がいない奥深い山中をさまようことになり、そうなると犬はほぼ見つかりません。山で迷子の犬を見かけましても、興奮状態だったり危険な場所にいたりなど、捕獲が困難な場合が多く、保護はほぼ不可能なため、登山者の方には、遭難した犬を見かけたら警察に連絡して下さい、と注意喚起をしております」(月輪寺・広報)
リードは「犬の命綱」
愛宕山では2012年の集中豪雨で土砂崩れが発生。月輪寺も愛宕大権現堂の堂内が土砂に埋もれ、全壊。また、2018年の台風でも大きな被害を受けたそうだ。
「近年の異常気象による影響もあり、愛宕山の斜面は至るところ、土砂崩れが発生しております。人手不足により、全壊した本堂の復興作業もままならない状況です。
そんな状況もありますため、愛犬とご自身の安全を第一に、登山や参拝をしていただきたいと思っています。犬が苦手な方もいらっしゃいますから、人がいる場所など、外出時には犬のリードを絶対に離さないことは飼い主の義務だと思っています」(月輪寺・広報)
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(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・はやかわ リュウ)