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フィギュアスケート女子で4大陸選手権と全日本選手権の優勝2度を誇る紀平梨花(23=トヨタ自動車)が、アイスダンス挑戦を電撃表明した。
29日、インスタグラムを更新。男子のアイスダンサーとして全日本ジュニア選手権を2連覇し、シニアでも4大陸選手権やグランプリ(GP)シリーズ出場経験のある西山真瑚(しんご、23=オリエンタルバイオ)とカップルを結成する。
「この度、西山真瑚さんとアイスダンスカップルを結成することになりました。私はアイスダンスに挑戦します。この挑戦を後押ししてくれた家族や所属先、スポンサーの皆様、私にもう一つのスケート人生の機会をくれた西山真瑚さんには感謝しています。これからも夢に向かって全力で取り組んで参ります」
世界でも名が知れたトップスケーターが、新しいフィールドに足を踏み入れる。紀平はジュニアだった16年にトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を決め、女子で世界7人目の成功者に。年齢制限で18年平昌五輪(オリンピック)の代表資格は持たなかったが、選考会となった17年全日本選手権で五輪切符をつかんだ宮原知子、坂本花織に続く3位で注目された。
翌18−19年シーズンにシニアへ転向。破竹の勢いで世界トップレベルに駆け上がった。転向1季目の18年にGPファイナル初出場初優勝。同年2月の平昌五輪で金メダルだったアリーナ・ザギトワ(ロシア)を上回った。19年2月の4大陸選手権も制した。
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同年からは全日本選手権も2連覇。日本のエースに成長し、国際スケート連盟(ISU)非公認ながら02年の安藤美姫以来となる4回転サルコーも成功させた。
21年から、羽生結弦らを指導してきたブライアン・オーサー・コーチに師事。カナダ・トロントに拠点を移したが、以後は故障に悩まされた。いよいよ資格も持ち、メダルも期待された北京五輪シーズンの21年に、右距骨疲労骨折が判明。全日本選手権を欠場し、初の五輪出場への挑戦を断念した。
22年は競技復帰してGPシリーズや全日本選手権に出場したものの、翌23年から2シーズンは再び治療優先で競技会を欠場。今季に関しても9月16日に全日本選手権の予選となる中部選手権の欠場を表明し、シングルでは26年ミラノ・コルティナ五輪出場の可能性が消滅していた。
痛めていた右足の影響で「あと一歩で完全には回復しておらず、高難度のトウジャンプを複数回行うと痛みが出ることもあり、十分な準備を整えることが難しい状況」「苦渋の決断」などと説明。一報で「今は、新たな挑戦に向けても前向きに取り組んでおります」とも記していた。
それが、衝撃のアイスダンス挑戦だった。パートナーは、早稲田大(早大)通信教育過程の1学年先輩でもある西山。ジュニア時代から活躍し、直近では田中梓沙(19)とのカップル“あずしん”の愛称でミラノ・コルティナ五輪を目指していた。しかし、今季に突入した直後の7月11日に解散を緊急発表していた。
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アイスダンスは男女2人1組で滑る種目でジャンプがなく、スケーティング、リフトや表現などを極めていく。シングルの実力者では10年バンクーバー五輪男子銅メダル、世界選手権優勝の高橋大輔(39)が挑戦し、村元哉中(32)との“かなだい”で22年北京五輪出場を目指したことが話題となった。
紀平、西山ともに、これまでもカナダを拠点に競技に取り組んできた。西山もこの日、インスタグラムを更新。「紀平梨花さんとアイスダンスカップルを結成することになりました。紀平さんと共にアイスダンスに取り組めることを嬉しく思います。家族や所属先の理解と共に、目指すべきものがハッキリしているので、最大級の努力で、二人の目標を掴み取りたいです」とつづった。
新種目でミラノを諦めないとみられる、新カップルの歩みが注目される。
◆紀平梨花(きひら・りか)2002年(平14)7月21日、兵庫・西宮市生まれ。4歳で競技を始める。15年に全日本ノービス選手権Aで優勝。17年全日本ジュニア選手権、18年GPファイナルも制覇。4大陸選手権、全日本選手権ともに19、20年と2連覇。155センチ。
◆西山真瑚(にしやま・しんご)2002年(平14)1月24日、東京都生まれ。6歳で競技を始め、12年に全日本ノービス選手権Bで優勝。中学3年の16年1月にカナダ・クリケットクラブへ拠点を移す。高校1年で3回転半を跳ぶも、右足首負傷や腰の疲労骨折に苦しんだ。そのリハビリ中にアイスダンスの魅力を知る好機に多く恵まれ、転向を決断。英ロイヤル・バレエ団に所属するプリンシパル(トップ階級)のバレリーナ高田茜は母方の親戚。173センチ。
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