保育の現場にもスキマバイト “スポット保育士”が普及「スポットであれ責任は変わらない」現場の工夫と葛藤【news23】

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2025年09月30日 12:16  TBS NEWS DIG

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スキマ時間を活用して働く“スポット保育士”がいま広がっています。柔軟な働き方が注目される一方、子どもの命を預かる現場ならではの悩みも見えてきました。

【写真を見る】“スポット保育士”利用したことがある割合は?

スキマ時間活用 “スポット保育士”

神奈川県藤沢市にある保育園。1日に200人以上の子どもを預かる“マンモス園”です。

0歳児のクラスで子どもをあやしているのは保育士の中村由季さん。実は週に1、2回ほど勤務する“スポット保育士”です。

単発の求人と働き手を繋ぐスキマバイトアプリを使い、2025年4月からこの保育園で働き始めました。

スポット保育士 中村由季さん
「短時間で入れるところを私は逆に優先的に選ぶようにしています。居心地がいいというか、先生たちの気遣いだったり、保育の魅力を感じているので繰り返し来ています」

起きてきた子どもたちと慣れた様子で遊ぶ中村さん。それもそのはず、保育士歴20年以上のベテランです。

スポット保育士 中村由季さん
「(保育士以外の)新しい仕事を始めたんですが、やっぱり保育士っていう魅力っていうところもまだ感じているので、この4月から、合間を見ながら両立しています」

この園では、50人以上の保育士が在籍していますが、人手が手薄になる時間帯を中心に、“スポット保育士”の力を借りています。これまでに利用した人数は100人近くに上ります。  

キディ湘南CーX 戸島翔平園長
「頻度としてはほぼ毎日いずれかのワーカーさんが来ていただいております。平均すると1日に2〜3人っていうところ」

そのなかには“スポット保育士だからこそ復帰できた”という人も。

スポット保育士 越田祐加さん
「(自分の)子どもメインの生活っていうのが、今は自分の生活のベースになっているので、そうなると決まった日に行くっていうことでは難しいところがあって」

越田さんは約10年間、幼稚園の教諭として働いていましたが、結婚を機に退職。その後、子育てが落ち着いてきたことをきっかけに、現場へ復帰しました。

スポット保育士 越田祐加さん
「すごく新しい時代の新しい働き方っていうので、私はすごく自分に合ってるなと思う」

キディ湘南CーX 戸島翔平園長
「スポット保育士の働き方は、潜在保育士さんたちがまた現場に戻ってくるための手段の一つだなっていうのはすごく痛感をしております」

命預かる現場…“スキマ”悩みも

しかし、こうしたスポット保育士には課題も…

普段から園で働いている常勤保育士たちに負担が集中しやすくなっていると、保育学の専門家は指摘します。

保育研究所所長 村山祐一さん
「スポット保育士を活用するためには、常勤保育士の指導のもとでやらなくちゃならないっていうのがまず第一。常勤保育士がスポット保育士を活用できるゆとりがないと駄目」

こうした指摘を踏まえ、先ほどの保育園では、保育士たちが互いに気持ちよく働けるよう独自のルールを設けています。

キディ湘南CーX 戸島翔平園長
「子どもたちを見ているのがスポット保育士だけということは絶対ないようにしています」

園では、業務に関するマニュアルを作り、作業内容も常勤保育士のサポートに限定しています。さらに、履歴書などを通じて、過去に問題を起こしていないかも確認しています。

保護者
「正直そんなに厳格な審査を経て働いているっていうことを知らなかったので、そういったことを知れて、とても安心できる材料にはなりました」

保護者
「ちゃんと今まで対応してくれた保育士の方も、一緒に付き添って見てくれるっていうのは聞いてますので、大きな不安感はないかな」

一方で、“スポット保育士”だからこそ、子どもたちと向き合う際には、より慎重になるとの声も聞かれます。

スポット保育士 中村由季さん
「スポットで入る分、その日に入って『目の前の子をお願いします』と言われて扱うっていう部分では、今まで所属してたとき以上に、やっぱ責任と難しさと気の遣い方っていうところは感じています」

スポット保育士 越田祐加さん
「やはりお子さんの命を預かるという仕事なので、そこの責任っていうのは、スポットであれ、常勤であれ、パートであれ、変わらないと思って私はやっている」

人手不足に対応も…預ける側は?

喜入友浩キャスター:
今広がりを見せている“スポット保育士”。2025年5月に株式会社コドモンが行った保育施設へのアンケート調査によると、「スポット保育士を利用したことがある」と答えた施設は12.4%という数字でした。日常業務の人員確保、急な欠員対応、イベント時の増員の際に利用したということです。

一方で、こども家庭庁は、「子どもとの安定的・継続的な関わりが重要。(スポットワークは)望ましくない」と慎重な姿勢です。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
私もたまに孫の送り迎えをしたことがありますが、保育士の仕事は本当に大変ですよね。安心して働ける環境を作ることは、絶対に大事だと思います。

そのために常勤保育士を増やすことが重要ですが、人手が足りない場合の手段としてスポット保育士はあると思います。人件費の削減ばかりに目が向くようでは困るので、保育士の働く環境作りを最優先してもらいたいと思います。

小川彩佳キャスター:
一生懸命働かれているスポット保育士の方のためにも、このルールが悪用されないようなシステム作りが大切ですよね。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
例えば、非常勤やスポット保育士の割合を定めたり、ガイドラインを作ったりすることもいずれ必要になってくると思います。

喜入キャスター:
もう既に広がっているので、しっかり考える時期に来ていると思います。

小川キャスター:
ルールがまだ追いついてない部分もあるかも知れないですね。

預ける側としては、どういった審査を行い、どういった方を迎え入れているのかという、保護者側への説明をしっかりしていただいて、納得を得た上で進めていくということも必要だなというふうに思います。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
地域によってもニーズが違うので、そのあたりもきめ細かく対応する必要があると思います。

スポット保育士について「みんなの声」は

NEWS DIGアプリでは“スポット保育士”について「みんなの声」を募集しました。

Q.スポット保育士 どう思う?
「人手不足解消に繋がる」…16.0%
「安心のためのルールが必要」…30.5%
「待遇改善を最優先にすべき」…37.9%
「望ましくない」…12.8%
「その他・わからない」…2.9%

※9月29日午後11時23分時点
※統計学的手法に基づく世論調査ではありません
※動画内で紹介したアンケートは30日午前8時で終了しました

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<プロフィール>
星 浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身
政治記者歴30年

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  • 子供を直接相手にする業務と、それ以外を明確化分業化を。教室に作品を貼るとか工作の準備をするとか資格無くともできる業務は、いたしません!的な。
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