限定公開( 1 )

SNS(交流サイト)上で人種差別をあおるような投稿をされ、名誉を毀損(きそん)されたなどとして、在日コリアン3世で会社役員の李香代(イヒャンデ)さん(59)が、添田詩織・泉南市議に550万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が24日、大阪地裁であった。山本拓裁判長は、添田市議に慰謝料など55万円の支払いと投稿内容の削除を命じた。
弁護団によると、SNS上で不特定多数の差別発言を誘発する「犬笛型ヘイト」の違法性を認めた判決は初めてとみられる。
判決によると、添田市議は、李さんが勤務する会社が泉南市と業務委託契約をしていることを問題視。これに関連する形で2024年2月、李さんのいとこの男性が韓国で捏造(ねつぞう)されたスパイ事件で死刑判決(後に無罪確定)を受けたことや、李さんが朝鮮学校無償化を求める運動にかかわっていたことについてSNS上で言及し、李さんの顔写真も投稿した。
判決は、一連の投稿が「李さんの社会的信用を低下させ、名誉を毀損(きそん)する」とし、プライバシー権や肖像権も侵害すると判断した。
さらに添田市議がSNS上で数万人のフォロワー(閲覧者)を持つ点に着目。相手を差別する言葉を直接使っていなくても「一定の政治的思想などを持つ人による李さんへの攻撃を誘発する危険を含むものと言える」と指摘した。
|
|
|
|
一方で、「添田市議の投稿は人種差別に当たる」とした李さん側の主張については「個人の親族関係や活動に言及したもの」として認めなかった。
判決後の報告集会で、李さんは「おかしいことにNOをつきつけるという意味で裁判を闘ってきた。支援してくれた方に感謝したい」と語った。田中俊弁護士は「人間の尊厳の問題に国籍は関係ない。排外主義が横行する中で勝訴できた意義は大きい」と評価した。
判決を受け、添田市議は「私は排外主義に陥ることには反対で、外国人との秩序ある共生が望ましいと考えている。過去の投稿には言論活動として行き過ぎたところがあったとのことなので、判決を真摯(しんし)に受け止めたい」とコメントした。【鵜塚健】
|
|
|
|
|
|
|
|
Copyright(C) 2025 THE MAINICHI NEWSPAPERS. 記事・写真の無断転載を禁じます。
掲載情報の著作権は提供元企業に帰属します。