3人死亡でも求刑懲役8年 「危険運転」問えない玉突き事故に判決

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2025年11月03日 08:01  毎日新聞

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初公判後に杉平裕紀さんの写真とともに記者会見する智里さん=東京・霞が関の司法記者クラブで2025年5月20日午後1時50分、安達恒太郎撮影

 首都高速道路で2024年5月、3人が死亡、3人が重軽傷を負った事故で、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)などに問われた元トラック運転手、降籏(ふりはた)紗京被告(29)に対する判決が4日、東京地裁で言い渡される。被告は起訴内容を認め、争点は量刑のみ。ただし、危険運転致死傷に問うことは難しく、6人が死傷した重大事故でも検察の求刑は懲役8年にとどまっている。


 事故は24年5月14日午前7時36分に起きた。埼玉県戸田市の美女木ジャンクション(JCT)付近の首都高5号池袋線下りで、渋滞のために停車していた車列に、降籏被告が運転していた大型トラックが時速75〜80キロで追突。計6台を巻き込む玉突き事故になった。


 検察側は公判で、降籏被告が事故の2日前から38度台の発熱や頭痛などの風邪の症状があり、眠気を引き起こす成分を含んだ風邪薬を服用していたと指摘。事故直前、体調不良の影響で蛇行運転を繰り返していただけでなく、運転中に不倫相手に無料通信アプリ「LINE(ライン)」でメッセージを送る「ながら運転」をしていたと主張している。


 自動車運転処罰法で、過失運転致死傷の法定刑の上限は懲役(現在は拘禁刑)7年。これに対し、危険運転致死傷はより法定刑が重くなる。


 中でも運転に支障を及ぼす恐れがある病気の影響で、正常な運転に支障が生じる恐れがある状態で人を死傷させた場合は、法定刑の上限は同15年となる。遺族側は今回の事故はこのケースに該当すると主張してきた。


 しかし、検察側は被告の病気の症状や風邪薬の服用では危険運転致死傷を適用できないと判断。体調不良のまま運転した過失による事故として起訴した。


 被告は過失運転致死傷に加えて児童ポルノ禁止法違反(法定刑懲役1年)にも問われ、検察側は二つの罪を合わせて懲役8年を求刑した。


 弁護側は被告が深く反省しており、勤務していた運送会社の勤務管理にも問題があったとして、情状酌量を訴え、寛大な判決を求めている。


 事故で夫の杉平裕紀さん(当時42歳)を亡くした智里さんは「懲役8年の求刑は決して十分とは言えないが、少しでも重い量刑が言い渡されて事故が一件でも減ってほしい」と願っている。【安達恒太郎】



このニュースに関するつぶやき

  • 薬服用、ながら運転、明らかに過失事故。これで8年と軽微な判決。軽くても無期が妥当だな。
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