サービス開始から9年経過し、社会現象となった当時と比較するとプレイヤー数は減ったが、ナイアンティックの三宅さんに聞くと「2016年のローンチ当時と比較すると、ポケモンを捕まえる楽しみに加えて、ポケモンとAR写真撮影ができる「GOスナップショット」、「Pokemon GO Fest 」や「Pokemon GO ワイルドエリア」といったリアルイベントなど、楽しみ方は多様化しており、実は今もたくさんのトレーナーが日々『ポケモン GO』をプレイしています」と話す。確かに最近、筆者も街中でスマホの画面と睨めっこする人だかりを見かけ、なんだろう?と気になり様子を見ると老若男女問わず『ポケモン GO』をプレイしていたことがあった。
新型コロナが落ち着き世界中で外出禁止令が解除されると、『ポケモン GO』に勢いが戻り、積極的にリアルイベントなどを開催。2024年に仙台、マドリード、アメリカの3都市で開催した「Pokemom GO Fest 2024」では合計120万人以上のトレーナーの方々が現地で参加し、経済効果は驚きの約288億円(2億ドル)。仙台単体でも約74億円の経済効果をもたらし、参加者のうちの91%が仙台市以外の人で、市内の繁華街や地元の商店街などもかつてない賑わいを見せた。(Nianticが委託したStatista社の調査レポート)
また、2024年11月に初の九州開催イベントとなった『Pokemon GO ワイルドエリア:福岡』も、世界各国から計3.6万人のトレーナ−が集まり、経済効果は42億720万円に。アンケート調査によると、遠方からの参加者のうち31%が12ヶ月以内に福岡市を再び訪れたいと考えており、その理由は「食」が最も多く次いで「観光」で、『ポケモン GO』が、トレーナーと地域社会に大きく貢献した結果になった。
コロナ禍が転機となり、再び活気を見せているが、三宅さんは「「Pokemon GO Fest」や「Pokemon GO ワイルドエリア」などのリアルイベントをきっかけに、参加者が開催都市を訪れ、観光やショッピング、飲食を一緒に楽しむことで、地域の魅力発見や地域経済の活性化をもたらすことができました」と手応え。
『ポケモン』という老若男女に愛され知名度と安心感があるコンテンツは、企業や地方自治体側にとってコラボしやすいのは確かだろう。7日から長崎市で開催される『Pokemon GO ワイルドエリア:長崎』は、8月に開催されることが告知されると「長崎市内のホテル予約はすぐに満室、キャンプ場やレンタカーの予約まで埋まる状況になりました」と説明。さらに「ホテルが満室ということもあり、旅行の延長としてキャンプ場で過ごす人もいるそうです。お隣の佐賀県や福岡県でホテルを予約し参加する人もいるそうで、長崎県だけでなく九州全体で盛り上がりを見せるイベントになると感じています」と反響に驚きを見せた。
仙台、福岡、そして長崎。『ポケモン GO』と地方自治体が協力したイベントが成功した理由については「『ポケモンGO』は知名度も高く、また多くの人に愛されているゲームですので、公正性が求められる自治体が企画協力しやすいということがあります。また、イベントを開催する際は1つの会場で行われるイメージですが、今回の『Pokemon GO ワイルドエリア:長崎』の場合は地域全体が1つの会場になります。当然、盛り上がりの規模が違いますし、市内の飲食店などにもご協力いただきやすくなります。この“みんなで協力して盛り上げる”というのが、『ポケモン GO』のゲーム性とマッチし発表直後から盛り上がっているのだと思います」。