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11月19日、東京・上野にある、日本最古の博物館である東京国立博物館(以下、東博)が波紋を呼んでいた新プロジェクト「TOHAKU OPEN PARK PROJECT」について、改めて見解を発表した。
10日の発表で、同プロジェクトは《誰もが快適に利用できる開かれた博物館を実現するために、本館の前庭にある大きな池を、オープンで心地よい憩いの芝生エリアに生まれ変わらせるもの》で、’24年度に策定した「東京国立博物館 2038 ビジョン」の実現に向けた《施設面における記念すべき最初のプロジェクトとなる》と説明されていた。
公開されたリニューアル後のイメージ図では、現在の前庭の池が芝生に埋め立てられ、そこに集い、憩う人々の姿があった。
また、《新しくなった前庭を活用して、コンサートやビアガーデンなど様々なイベントを開催することで、新たな東京国立博物館の魅力を発信していきます》など、新規ターゲット層を広げる目的もあるようで、’27年3月の完成を目指して改修工事を実施するという。
都立上野恩賜公園、通称“上野公園”内にある東博の本館は、1938年(昭和13年)に開館。洋風のコンクリート建築に和風の瓦屋根をのせた「帝冠様式」の代表的建築で、2001年に重要文化財に指定されている歴史ある建造物だ。
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東博といえば、今年10月24日に所蔵する歴史文書の保存などのために寄付を募って話題となったばかり。国からの十分な予算がなく苦しい環境の中、発表された「TOHAKU OPEN PARK PROJECT」に理解を示しつつも、東博を象徴する一つである前庭を埋め立てて、歴史的景観が損なわれることに対して、Xでは《センスがない》《やめてほしい》などと、抵抗を示す声が続出した。
こうした意見を真摯に受け、東博は《 「TOHAKU OPEN PARK PROJECT」についてのご意見を受けまして》と題したコメントを19日に公式HP上で発表。改めて改修についての”真意”を丁寧に説明した。
東博は《本館とその歴史的な景観の保全を重要なことと考えて》いるといい、《その価値を損なうことのないよう、最大限配慮いたします》と表明。池の躯体や基礎は残し、《元の池に戻すこともできるよう》設計するという。
また、多くの批判が集まった《コンサートやビアガーデンなど様々なイベントを開催》という前庭の活用方法については《荘厳な本館を望む穏やかな芝生空間を基本とし、ベントについては、これまでと同様に、限られた期間・内容で実施する予定》と説明。常設のイベント会場になることは否定した。
そして、《本館前庭にある人工池は、昭和12年の設置から約90年が経過しました》といい、《近年、水質の悪化や池の壁面の亀裂、漏水などの問題が確認され、維持管理が困難な状況となっていました》と老朽していると説明。昨年12月から《安全面と環境面を考慮し》池の水は抜いた状態だったといい、《歴史的な景観の保全を念頭に、池の修繕・維持にかかるコストと、芝生エリアの創出による効果を総合的に検討し、館内での議論を重ねて、本構想に至りました》と、改修の必要性を訴えた。
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最後にたくさんの意見や寄せられた関心に感謝を伝え、《頂戴した貴重なご意見を真摯に受け止め、皆さまと共に歩む、持続可能な博物館を目指して一層努力してまいります》と結んだ。
長きに渡り多くの人から愛されてきた東博が、よりよい姿に生まれ変われることを祈るばかりだ。
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