「菊池事件」の第4次再審請求審で、「不当決定」などと書かれた紙を掲げる弁護団=28日午後、熊本市中央区 ハンセン病患者とされた男性が、殺人罪などに問われて隔離施設内の特別法廷で死刑判決を受け、刑が執行された「菊池事件」の第4次再審請求審で、熊本地裁(中田幹人裁判長)は28日、再審を認めない決定をした。裁判手続きの違憲性を認めた一方、再審開始理由には当たらないと判断した。弁護団は「直ちに福岡高裁に不服申し立てをする」としている。
特別法廷での審理を巡っては、憲法違反と認めた民事訴訟の判決が確定。ただ、刑事訴訟法は憲法違反が再審理由になるとは定めておらず、裁判手続きの違憲性を理由に再審が認められるかが争点だった。弁護側は、確定判決で有罪の根拠とされた凶器や親族証言に矛盾があるなどとして、男性の無罪も主張していた。
中田裁判長は、特別法廷について「男性がハンセン病患者であるがためにされた合理的理由のない差別というべきだ」と指摘し、法の下の平等などを保障した憲法に反すると認定。その上で、「憲法違反が確定判決の事実認定に関する重大な誤認を来すとは認められない」と判断した。
凶器や親族証言についても、「確定判決の認定に合理的疑いを生じさせるものではない」などとして弁護側の主張を退けた。
男性は1952年、ハンセン病患者だと熊本県に通報した県北部の村の元職員を刺殺したとして殺人罪などに問われた。無罪を訴えたが、57年に死刑が確定し、62年に執行された。
事件を巡って元患者らが国に損害賠償を求めた訴訟の判決で、熊本地裁は2020年、特別法廷での審理について「合理性を欠く差別だった」として、初めて違憲と認めていた。
加藤和宏・熊本地検次席検事の話 請求棄却の結論は妥当と考えている。