サントリー「特茶」発の“水”が計画比1.3倍 意外な層にも広がったワケ

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2026年04月02日 06:20  ITmedia ビジネスオンライン

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サントリーの特水、どんな人が飲んでいる?

 サントリー食品インターナショナル(以下、サントリー)が2025年10月に発売した機能性表示食品「特水」が、意外な層にも広がっている。2025年10〜12月の販売数量は、計画に対して1.3倍で推移し、その後も順調に支持を集めているという。


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 特水は、同社が2013年から展開してきた「特茶」ブランドの新製品である。特茶は、2014年以降12年連続でトクホ茶市場での売り上げが1位(サントリー調べ、インテージSRIの累計販売金額ベース)で、その系譜から初めて“水”として登場した。


 同社によると、特水には、植物由来のポリフェノールである機能性関与成分「HMPA」が含まれ、“内臓脂肪を減らすのを助ける”機能を持つという。さらに、日常的に飲めるように“ほぼ無味無臭・無色”を実現している点が特徴だ。


 約3年を要したという特水の開発背景と、これまでの反響について、同社のSBFジャパン ブランドマーケティング本部 課長の野口裕貴氏に聞いた。


●拡大する「水」市場 若者がけん引


 サントリーが特水を発売するに至った最大の理由は、「ミネラルウオーター市場」の拡大だった。全国清涼飲料連合会の「清涼飲料水統計2025」によると、ミネラルウオーター類の生産量は2020年から5年連続で前年を上回り、2024年は前年比104.1%の502万9500キロリットルと過去最高だった。


 「この理由として、『シーンや嗜好(しこう)を選ばない』『誰でも飲める』といった点が挙げられると思います。加えて、調査から見えてきたのは、『健康のために水を飲む』という人が増えていること。何も入っていないはずの水に『明確に健康を期待する』というニーズがあると考えたことから、特水の開発に着手しました」


 言われてみれば、美容・健康領域では「毎日2リットルの水を飲む」「起床時に白湯を飲む」などのトレンドがあり、「水を飲む=健康や美容に効果的」といったイメージが高まっている。


 野口氏いわく、同市場をけん引しているのは10〜20代の若年層だという。昔は「水はお金を出して買うものではない」といった価値観があったが、若年層にとっては水を買うのは当たり前であり、特に健康や美容への期待があれば、出費を惜しまない傾向があるそうだ。


 そうした背景もあり、近年は機能性を付与したミネラルウオーターが増えている。例えば、ドットミー(東京都千代田区)は、2025年5月に「食物繊維がとれる水」(希望小売価格163円)、同年7月に「たんぱく質がとれる水」(同196円)を発売。さらに、2026年4月27日には「ビタミンCがとれる水 さっぱりレモン」(同163円)を発売予定だ。


 また、食品ブランド「2foods(トゥーフーズ)」を扱うTWO(東京都渋谷区)も、機能性表示食品「2Water Ceramide(トゥーウォーターセラミド)」を2026年2月に発売した。特水同様に無味無臭を実現。発売から間もないが、「新しい肌ケアの選択肢」として、20〜30代の女性を中心に好評だという。


●開発に3年 こだわったのは「無色・無味無臭」


 サントリーが特水で重視したのは、シーンを選ばず日常的に飲めること。そのため、無味無臭・無色に限りなく近づけることにこだわった。開発には約3年を要したという。


 「特茶ブランドに配合している『ケルセチンゴールド』は、味わいに苦みがあり、黄色い色が付いています。お茶であれば違和感がありませんが、水に混ぜると、どうしても水とは別の飲料になってしまう。『あれも違う、これも違う』と約50の成分を試し、最終的に“内臓脂肪を減らすのを助ける”という機能を持つ『HMPA』を発見し、当社として初めて採用しました」


 パッケージデザインでも紆余曲折があった。世間では「水はピュアなものがいい」と考える人が多く、パッケージもそうした印象のデザインが好まれる。ただ、本製品では、機能性を付与したことを伝える必要がある。相反する2つの要素のバランスを取るのに試行錯誤したそうだ。


 「当初は、機能性を伝えるために科学的な表現(写真右)を取り入れてみたところ、多くの人から『怪しい水に見える』と指摘されてしまいました。とはいえ、従来の水のパッケージに近づけると機能性が伝わらない。最終的に『特茶ブランドの水』という位置付けにすることで、“怪しさ”を払拭しながら、機能性も伝わりやすいデザインにたどり着きました」


 実際に特水を飲んでみると、サントリーがうたっているように、“ほぼ無味無臭・無色”という感想だった。一般的な天然水と比較するとニオイと味の違いはあるのだが、慣れれば気にならない程度だった。


 希望小売価格は600ミリリットルで165円と、特茶(500ミリリットル・各198円)よりも手に取りやすい価格となっている。2025年10月から、コンビニやスーパー、自販機、ECサイトなどで発売すると、想定以上の反響があったという。


●“ネタ”的なマーケティングを展開


 発売決定後は、マスコミ向けの発表会から大々的なテレビCMや交通広告、SNSを通じた話題づくりなどマーケティング活動に注力した。「『機能性を付与した水』という存在自体が珍しいことから、小難しいことを言っても伝わらない。『特茶から水が出ました』というシンプルなメッセージだけを伝えることに焦点を当てました」(野口氏)


 例えば、「お茶(ブランド)から出た水です」というメッセージを伝え、話題を呼ぶ目的で、御茶ノ水駅とコラボ。俳優の本木雅弘さんを起用した大きなポスターを掲示するなど、ネタのような取り組みをしたところ、多くの人がSNSで話題にしている。


 また、大ヒット映画『君の名は。』に由来した「水の名は。」というキャッチコピーも採用した。同映画で声優を務めた俳優の神木隆之介さんと上白石萌音さんを起用し、品川駅や有楽町駅のほか、映画の聖地である飛騨古川駅(岐阜県飛騨市)でも広告を打つなど、“ネタ”を散りばめた。


 こうした仕掛けに反応し、SNSでつぶやく人が増え、認知拡大に寄与した。ただ、それ以上に「水に機能を付けた」という点に反応した人が多かったという。


 「他の飲料の新製品と比べて、2〜3倍ほどSNSのつぶやきが多くありました。『特茶から水が出たらしい』『内臓脂肪を減らすのを助ける水って、どういうこと?』など、機能性に注目され、話題が広がっていきました。『特茶は自分向きじゃないと思っていたけれど、水なら飲みたい』という声も非常に多かったです。運動する際や就寝前、起床時など、お茶ではなく水が飲みたいタイミングが、やはりあるんですよね」


●計画比1.3倍と好調 意外な層にも浸透


 その結果、2025年10〜12月の特水の販売数量は、計画に対して1.3倍で推移。40〜50代の男性がボリューム層となる特茶と比べると、20〜30代の若年層や女性の購入者が多かった。さらには、想定していなかった層にも広がっているという。


 「ある声優の方が、『これから声優業界で流行ります』と投稿してくださり、それが反響を呼び、声優や音楽業界の方々に広がっています。喉に気を使う業界の方々が、機能性を持つ『水』を求めているのは予想外でした。どれだけ認知を広げても、お茶では獲得できなかった層を取り込めたことが、特水の好調につながったと考えています」


 その声優とは、Xで20.5万人のフォロワーを持つ千葉翔也さんだ。該当の投稿には、2.8万の「いいね」が付き、インプレッションは約328万に達している(2026年3月末時点)。本人も想定外だったようで、この反響に驚くコメントもつづられていた。


 また、「温めて白湯にしてもいいのか」「凍らせても機能性は失われないか」といった、これまで特茶にはなかった質問も届き、サントリーでも、こうした状況に驚いているという。ちなみに、特水は加熱したり凍らせたりしても、成分に変化がないことが確認されている。


 さらには、ドバイのメディアから「日本のおもしろい製品」として取材依頼があったり、国内の自販機で同製品をまとめ買いする訪日外国人を見かけたり、といった想定外の反応もある。これから夏場にかけて、より拡大が期待できるとして、引き続きマーケティングを展開していく方針だ。


 「『水』のポテンシャルを感じています。今後は、特茶ブランドから独り立ちさせて、純粋に水に興味を持つ方々に届くメッセージを伝えたり、販売先を増やしたり、さまざまな展開を進めていく予定です」


 特茶ブランド全体としては、「エビデンスの進化」と「ラインアップの拡張」に同時に取り組んでいくと野口氏。「飲料に機能性を付与することで、喜んでいただける方を増やしたい」と締めくくった。


(小林香織)



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