売上1.7倍のサーティワン、なぜ今「ロゴ刷新」? 35年ぶり決断の背景

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2026年04月28日 06:40  ITmedia ビジネスオンライン

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ロゴ刷新の狙いは?

 B-R サーティワン アイスクリームは4月1日、ブランドロゴを刷新した。旧ロゴは大文字と小文字を併用し「Baskin Robbins」の文字が波打つように配置されていたが、新ロゴでは大文字に統一して横一列に並べた。


【画像を見る】サーティワンの新しいロゴ


 配色は、白地の背景に青文字のポップな印象から、青とピンクのグラデーション背景に白文字のデザインへと変更。中心の「B」と「R」の一部で「31」を強調するロゴは受け継いだ。


 サーティワンは、1945年に米カリフォルニア州で開業したアイスクリームチェーンだ。日本では1973年に不二家との合弁で事業を開始し、1974年に東京・目黒で1号店をオープンした。


 海外では「Baskin-Robbins(バスキン・ロビンス)」の店舗名が主流だが、国内では親しみやすさや分かりやすさを考慮し、「サーティワンアイスクリーム」の名称で展開している。


 同社はこれまでも、何度かロゴを変更してきた。開業当初は「31」を強調するデザインだったが、後に「Baskin Robbins」が目立つデザインに変更した。


 今回の刷新まで使用されていた旧ロゴは1991年に誕生し、35年にわたって親しまれてきたものだ。なお、2021年にはロゴ下部の「サーティワン」の横から「アイスクリーム」の文字をなくすマイナーチェンジも実施している。


 現在、看板が旧ロゴのままの店舗もあるが、カップやテークアウト用の箱などは新しいロゴへの置き換えが進んでいるとみられる。


●ロゴ刷新の狙いは?


 猛暑などの影響で、サーティワンの業績は直近5年間で著しく伸長している。そのため、今回のロゴ変更は業績不振に伴うものではない。


 新ロゴには「お子様から大人まで、多くのお客さまのライフスタイルに寄り添いたい」などの思いを込めたという。実際、テークアウト客や男性客も増えており、昔の店舗と比較すると大人客が多い印象だ。今回のロゴ変更はこうした変化を背景に、さらに客層を広げる狙いがある。


 2010年代のサーティワンは、売上高が200億円前後、営業利益も数億円台で推移するなど、業績は横ばいの状況が続いていた。だが、コロナ禍を乗り越えると著しく成長し、2024年度には売上高300億円を突破。2025年度は343億円に達している。


 サーティワンは店舗の9割以上をフランチャイズ(FC)で展開しており、商品売上の合計は総小売売上高で確認できる。


 決算資料によると、国内全店の総小売売上高はコロナ禍である2020年12月期に一時400億円を下回ったものの、翌年度から回復し、2025年度には679億円を記録した。店舗当たりの年間平均売上高で比較すると、2025年度の実績(6449万円)は2019年度(3775万円)の約1.7倍である。


●業績が伸びた4つの理由


 近年のサーティワンは総来店客数を公表していないが、店舗売上高の伸びは客数の増加が寄与したと推測できる。小売価格はFCオーナーが決定権を持つ。一定の値上げも実施されているが、過去6年間で1.7倍に達するほどではない。


 筆者は以下の4点が集客拡大につながったと考えている。


・気温の上昇


・店舗リニューアル


・公式アプリ「31Club」の普及


・テークアウト需要の拡大


 気温上昇に関しては周知の通り、夏だけでなく春秋の気温も上昇し、冬は暖冬傾向が強まっている。気象庁によると、東京における7月の平均気温は、2019年の24.1度から2025年の28.4度まで上昇した。


 夏の猛暑は外出控えを招く側面もあるが、それ以上に春秋の気温上昇による需要拡大の影響が大きいと考えられる。夕食後・飲酒後や、1日のご褒美として楽しむ「夜アイス」の流行も、需要を押し上げた。


 店舗リニューアルについては、2017年頃からレジ上にデジタルサイネージを導入。利用客が注文前に商品や価格を確認できるよう利便性を高めた。


 2021年頃からは大規模な改装を進めており、木目を基調とした上質で現代的なデザインの店舗も導入した。これまでは「子供っぽい」印象もあったが、改装後はカフェのような落ち着いた雰囲気に変わっている。近年、同社で大人客や男性客が増えているのは、こうしたリニューアルの効果もあると考えられる。


 なお、4月からのロゴ刷新に合わせて、また新しい店舗デザインを順次導入する。ロードサイドの店舗では温かみのある客席を重視した「LOUNGEデザイン」を採用し、商業施設内の店舗では都会的で先進的なイメージの「STUDIOデザイン」を導入する。


 台湾発のグローバルティーカフェ「ゴンチャ」のような、比較的新しいカフェチェーンを想起させる内装だ。SNSでは「Z世代、α世代に受けそうだ」といった肯定的な意見もみられる。


●アプリの普及・テークアウト需要も好調要因


 2014年にリリースした公式アプリ「31Club」は、2019年のポイントプログラム「アイスマイル」導入をきっかけに、認知度が向上した。


 1円につき「1アイスマイル」を付与するほか、来店ごとにポイントがもらえる。一定のマイルをためると割引サービスを受けられ、来店回数に応じたクーポンも配布している。


 31Clubの会員数は2025年6月に1000万人を突破した。売上全体に占める会員の購入比率は、2021年6月時点の23.5%から、2025年6月には40%を超えた。


 そして他の外食企業と同様に、コロナ禍を通じてテークアウト需要が拡大した。売り上げに占めるテークアウト比率は、以前の約20%から2024年度には約40%へと倍増。この間にテークアウト専門店「サーティワン アイスクリーム To Go」も積極的に増やした。


 アイスクリーム市場で圧倒的なシェアを誇るサーティワンだが、一部メディアで同社関係者が主張しているように、競合は「スイーツ専門店」である。加えて、デザート感覚で甘いドリンクを買えるスターバックスやゴンチャといったカフェチェーンも競合となり得るだろう。


 異業種との競争の中で、新しいロゴや店舗デザインが客層拡大につながるのか。サーティワンの今後に注目したい。


 下記の関連記事にある「【完全版】売上1.7倍のサーティワン、なぜ今「ロゴ刷新」? 35年ぶり決断の背景」では、配信していない新旧のロゴや新しい店舗デザインの画像などとともに記事を閲覧できます。


●著者プロフィール:山口伸


経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。



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