おもちゃと侮るなかれ! レトロな画面&レバー搭載タイプライター風キーボード「EPOMAKER Glyph」は実用性抜群の“しごでき”モデルだった

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2026年05月26日 16:10  ITmedia PC USER

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EPOMAKER「Glyph」。実売価格は2万円前後

 皆さんは、外付けキーボードに何を求めていますか。キータッチ、静音性、携帯性──人によって答えは違うことでしょう。


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 さて、ここにあるEPOMAKERの「Glyph」は、ルックス最優先といえるキーボードです。タイプライターをモチーフにした丸型キーキャップ、1950年代のキャリッジリターンを再現したサイドレバー、日時や接続状態を表示するデュアルディスプレイ。一目見れば、「こんなの、おもちゃだろ」と切って捨てる人がいるかもしれません。


 だが、少し待っていただきたい。目を止めていただきたい。


 奇抜な外見だけで中身が伴わず、長期間キーを打ち続けるには厳しいモデルは今までにもありましたが、Glyphは見た目のレトロさとは裏腹に、キータッチも、接続性も、カスタマイズ性も、ちゃんと使えるキーボードの水準を満たしているのです。「おもちゃだろ」と食わず嫌いでいるのは、正直もったいないキーボードです。


●タイプライターと80年代PCが合体したような、唯一無二のルックス


 Glyphを真上から眺めると、丸いキーキャップやディスプレイエリア、横長のスリットや左側のレバー、右側のボリュームなど、数多くのデザイン要素がぎゅっと集まっていることが分かります。写真だけ見ると、まじでおもちゃ感がマシマシです。サイズは約347(幅)×207(奥行き)×57(高さ)mmで、重さは約1178.8gです。


 スリットはスマートフォンやタブレットを差し込んで立て掛けられるホルダーになっています。ある程度の深みがあるので、縦向きでも横向きでも固定できます。Glyphはスマホやタブレット用のキーボードとして使ってもいいし、接続せずにニュースやメッセンジャー、SNSなどの通知エリアとしたり、作業中にちらりと横目で見るための動画ディスプレイとして活用するのも一つの方法でしょう


 キーキャップはフローティングタイプです。これもまたタイプライターらしさを具現化した部分ですね。しかしフレームはご覧のように樹脂です。金属、または木をフレームに用いていた古き時代のタイプライターの素材感をそのまま再現したら、重さも価格も跳ね上がること確実でしょうから、その選択は分からなくもないです。


 そして、どこか懐かしい既視感があります。ツートーンのクリームカラーのボディー、角の丸いフォルム。Apple II……いや、ディスプレイがあることを考えると、NECの「PC-8201」やエプソンの「HX-20」といったハンドヘルドPCでしょうか。


 1980年代のデバイスをほうふつとさせるたたずまいなのです。当時を知る世代には懐かしさを、知らない世代ならば「キッチュだけどなんかレトロでかっこいい」と感じるかもしれません。


●ギミックは飾りじゃない。レバーもノブも、ちゃんと使える


 左奥には、Glyphの最大のギミックといえるレバーが備わっています。上に回すとEnterキー、下に回すとBackSpaceになります。タイプライターで紙送りをする時のキャリッジリターンの動作を落とし込んだアイデアです。


 実際に操作すると“グニっ”とした手応えなのですが、それがまた本物らしく感じられるのです。文章を書く作業中、Enterキーの代わりにこのレバーを引くと、妙な充実感が生まれて、なにこれ楽しい。


 右奥には、初期設定ではメディアコントローラーとして機能するシルバーの円筒形ノブがあります。回転させると音量調整、押し込むと再生/一時停止ボタンとして機能します。


 側面から見ると、スイッチがむき出しに近い状態であることが分かります。ほこりは入りやすい構造ですが、エアダスターで吹けば簡単に掃除できるため、実用上の問題はそれほど大きくありません。むしろフローティングデザインの軽やかな印象を視覚的に強調していますね。


 華やかな光を発するLEDは、キースイッチ下部に組み込まれています。キーキャップは光を通しませんが、傘となって光を反射し、スイッチ面全体を間接照明として照らします。輝度はかなり明るめ。暗い部屋でも楽に扱えます。


 背面には、充電/有線ポートや接続モード切り替えスイッチに加えてこちらにもLEDが組み込まれています。こちらの輝度も高く、光らせておくとかなり派手な印象になってきます。


 底面はシンプルな平面です。4隅に小さなゴム足が配置されています。滑り止めとしての機能は十分で、タイピング中に本体が動くことはありません。


 「チルト調整はないのかな」と思ったら、底面に取り付けられたゴム足パーツを上下逆向きに差し替えることで、キーボードの奥側がわずかに持ち上がる仕組みになっています。なお通常状態で約1度、差し替え後で約2度です。数字だけ見れば、ほとんど変わらないし、触れてみても違いを感じにくいですね。


 これなら固定でよかったのではとも考えましたが、Glyphはタイプライターをオマージュした遊び心満載のデザインキーボードです。そもそも機能対コストの物差しだけで真面目に評価しようとすること自体がナンセンスではないかと感じてきました。


 効率や合理性とは別の軸で設計されたキーボードゆえに、1度か2度かという差を真顔で議論するより、「こういうギミックがある」という事実を楽しむ方が良いでしょう。


 なお底面上部中央には、2.4GHzワイヤレス接続用のUSBドングルを格納できるスペースがあります。フタ部分はヒンジなどで本体とくっついているのではなく、マグネットだけで固定されています。USBドングルって紛失しがちですが、専用の収納場所があるだけで安心感がぐっと上がります。


 デザインに振り切ったキーボードに見えて、こういう実用的な気配りがさりげなく盛り込まれているのもGlyphの良いところです。


●実は「しごできキーボード」 キータッチは良好


 キーキャップはタイプライターのキーそのものを模した丸型です。近づいて見ると、下部がスカートやカーテン、ケーキの型のようにふんわりと広がっています。


 遠目にはレトロなデザインの一部として目に入るだけですが、接近するとその造形の丁寧さに気付きます。細部まで一つの美意識のもとにまとめあげようという意思が、このキーキャップの輪郭線から伝わってきますね。


 キーキャップの天面を指で触れると、微妙な円形のくぼみがあることに気付きます。浅く湾曲したこの形状は、指の腹が自然とキーの中心に収まるよう設計されたものです。見た目の演出だけでなく、キー入力時の指の安定感にもきちんと貢献しています。


 実際に手を置いてみると、指がふわりとキーに吸い付くような感覚があり、ポジションを意識しなくても手が落ち着くのですよ。


 カーソルキーにも触れておきましょう。上下/左右の4キーが、他のキーと全く同じサイズのキーキャップで並んでいます。居場所がなく追いやられてしまい、小さく作られているモバイル系キーボードとはわけが違う。押し間違いはありません。


 肝心のキータッチはどうでしょうか。搭載されているWisteriaリニアスイッチは、しっとりとした滑らかさが持ち味です。反発力とのバランスが良く、軽めのタッチでも確実に反応します。キーを押し込む過程でのブレも少なく、1打1打がきちんと意図した場所に収まります。


 底打ちしたときのノイズも控えめ。オンラインミーティング中にノイズキャンセリングを有効にした状態でタイピングしてみたところ、タイプ音が相手側に届くことはありませんでした。見た目のインパクトから打鍵音も派手なのではと身構えていると、いい意味で裏切られます。


 遊び目的のキーボードに見えて、実は打ち続けても疲れにくく、オフィスで使っても十分な仕上がりなのです。“しごでき”なキーボード、といってもいいでしょう。


●手が小さい人は付属のリストレストを使いたい


 Glyphには交換用キーキャップ&スイッチ、有線接続&充電用のUSB Standard-A→USB Type-Cケーブル、2.4Ghz ワイヤレスレシーバー、そして専用のシリコンリストレストが付属します。


 このリストレストがまた気持ちよくてですね。Glyphはやや背が高いキーボードですが、チルトスタンドがないためにちょっと疲れやすい、と思っていましたが、シリコンリストレストを使うと手首を柔らかく、それでいてしっかりと支えてくれるので、入力のしやすさが一段と向上します。


 また、あくまで梱包(こんぽう)のためなのでしょうが、Glyphの形状にマッチした透明のカバーが付属します。重ねたときの姿はジャストフィット! 掃除しやすい構造とはいえ、普段はこのカバーを使ってホコリの侵入を抑えたいところです。


●8bit時代の表示の懐かしさと、現代のTFTディスプレイが合わさる


 2系統の表示部があるのも、Glyphの特徴です。一つは左側のドットマトリクスディスプレイです。年月日をじんわりと表示するそのフォントは、8bit時代のPCを想起させるもの。意図してそのデザインを選んでいるのは明らかで、レトロなキーボード全体のトーンと絶妙に調和しています。実用情報を表示しながら、それ自体がデザインの一部になっていますね。


 もう一つは右側の2.79型カラーディスプレイですね。初期状態では時刻/接続モード/入力モード/CPU使用率/曜日/バッテリー残量が表示され、レバーとノブを組み合わせて別の表示に切り替えることもできます。


 キーマップやカラーディスプレイに表示するグラフィックアニメーションのセッティングには、Windows/macOS用に提供されている「Epomaker Driver」を使います。なお現時点で日本語には未対応です。


 ディスプレイの解像度は決して高くないのですが、人物写真やキャラクター画像、アバターなども表示できますよ。仕事中にチラ見したいグラフィックを配置しておけば、気分転換のタイミングが自然と生まれるかもしれませんね。


●見た目もキー入力も楽しいキーボード


 タイプライターを模した外観、8bitフォントのディスプレイ、キャリッジリターンのレバー。どれをとっても「遊び」の要素に見えますが、キータッチは「長年使ってもいいかも」と思える実用レベルですし、接続性もカスタマイズ性も申し分ありません。不思議です。よくこんなに面白くも、現場で使えるキーボードが生まれたものです。


 見た目が楽しいキーボードは数あれど、見た目もキータッチも楽しいキーボードはそう多くありません。Glyphはその希少な一台です。あえてオフィスで使ってみたい。デスクの上に置いておくだけで同僚との会話が生まれるでしょうから。



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