コメ由来のバイオマスプラスチックを使ったごみ袋を紹介するライスレジンの奥田真司COO=6月30日、東京都港区 中東紛争による石油化学原料ナフサの供給混乱を受け、ごみ袋の素材に植物など再生可能な資源を原料とするバイオマスプラスチックを導入する動きが広がりつつある。今回の「ナフサショック」では、広範な日用品や産業資材の原料を中東産原油に頼るリスクが露呈。非化石原料の活用を広げ、中東産原油や石油由来素材への依存を減らせるかが課題となっている。
「中東紛争後は相談が3〜5倍に増えた」。コメ由来の国産バイオプラを製造・販売するライスレジン(福島県浪江町)の奥田真司COOは事業環境の変化に驚く。同社は古くなった政府備蓄米など食用に適さないコメを最大70%配合したバイオプラを年間500トン製造。ごみ袋やレジ袋などとして自治体や小売店に卸している。
北海道深川市はライスレジンのごみ袋の試験導入を検討している。きっかけは4月にごみ袋の入札参加者がゼロという事態に直面したこと。取引先から「原材料を確保できない」と説明され、これまでのポリエチレン製から素材の変更を決めた。早ければ11月からの導入を想定する。
コンビニ大手ファミリーマートは6月半ばから、店舗で使用するレジ袋について、サトウキビを主原料としたバイオマス素材の配合比率を25%から50%に順次引き上げている。原材料の安定確保に加え、石油由来のプラスチックの使用を年間約1100トン削減できる見込みだ。
バイオプラ普及に向けた最大の障壁は石油由来の製品よりコストが割高な点。ただ、中東紛争を受けたナフサ価格の上昇で、ライスレジンでは最大2倍近くあった価格差が縮小。奥田氏は「リスク分散という意味でも今後の選択肢として可能性は非常にある」と期待を寄せる。
また、「コメの消費が年々減っている中で、農業を側面支援する取り組みにもなる」と、国産原料を使用する利点を強調。深川市の担当者も「北海道有数の米どころであるため、コメを使った袋で地域の特徴を生かしていきたい」と話す。
高市政権は月内に策定する新たな成長戦略で「合成生物学・バイオ」を戦略17分野の一つに位置付け、素材やエネルギーの特定国・地域への依存を低減するため、国産バイオマスの活用を進める方針だ。中東紛争を契機にバイオプラ導入の機運が一段と高まる可能性がある。

コメを原料に使ったライスレジンのごみ袋=6月30日、東京都港区

ファミリーマートのバイオマス素材の配合比率を50%に高めたレジ袋(同社提供)