画像提供:マイナビニュース「大学受験といえば、一般入試で学力試験を受けるもの」――そんな親世代の常識は、すでに変わりつつあります。いまや大学入学者の過半数が、総合型選抜や学校推薦型選抜、いわゆる「推薦入試」で進学する時代に。
少子化なのになぜ一般入試は厳しくなっているのか、大学はどんな学生を求めるようになったのか。『総合型選抜・学校推薦型選抜の新しい教科書』(孫辰洋 著、中山芳一 監修/SBクリエイティブ)から抜粋して紹介します。
○「推薦入試時代」の幕開け
2026年度の大学入試は、ある意味で「歴史的な転換点」になった年だったと、私は感じています。
というのも、ここ数年じわじわと進んできた大学入試の変化が、この年にはっきりと目に見える形で表れたからです。
一般入試の倍率が学部によっては大きく上がり、「共通テストで高得点を取ったのに安心できない」「二次試験まで含めると最後まで読めない」という状況が、以前にも増して強くなりました。かつてのように、「とにかく勉強して点数を上げれば、ある程度は進路が見えてくる」という単純な時代ではなくなってきているのです。
さて、ここで多くの人が不思議に思うはずです。少子化が進んでいるのに、なぜ受験を取り巻く環境はむしろ年々厳しさを増しているように感じられるのでしょうか。
現在の大学受験の本当の姿は、受験生の数からは見えません。
もちろん、受験生全体の人数自体が減っているのは事実です。
しかし、それ以上のスピードで、一般入試の募集枠が減っています。
つまり、「大学受験者数」よりも「一般入試の募集数」のほうが、もっと速いスピードで減っているのです。
では、その減った一般入試の募集枠分はどこへ行ってしまったのでしょうか?
答えは、はっきりしています。総合型選抜や学校推薦型選抜、つまりいわゆる「推薦入試」の枠が増えたのです。
実際、文部科学省の資料では、令和5年度入学者選抜において、一般選抜による入学者は47.9%である一方、学校推薦型選抜は35.9%、総合型選抜は14.8%でした。この2つの数字を合わせると50.7%となり、すでに過半数が「推薦入試」で大学に入っている計算になるのです。
「総合型選抜」とは、以前はAO入試と呼ばれていたもので、学力試験の点数だけでなく、その人の意欲、関心、活動、考え方、将来の方向性などを総合的に見て評価する入試です。選考では、志望理由書、活動報告書、面接、小論文、プレゼンテーションなどが用いられることが多いです。
「学校推薦型選抜」とは高校からの推薦を受けて出願する形式で、評定平均、つまり学校の成績が重要な条件になることが多いです。
「学校推薦型選抜」のほうは、さらに条件を満たした人が広く出願できる「公募制」と、大学が特定の高校に枠を与える「指定校制」の2つに分けられます。これが、いわゆる「指定校推薦」です。学校推薦型選抜の中でも特にわかりやすい形式で、大学から高校に対して枠が与えられ、校内選考を通過した人だけが出願できます。一般的には合格率が高いことで知られています。
○いまや「大学入試の柱」になった推薦入試
「本当に、推薦入試がそんなに広がっているの?」
このように疑問に思う人もいるかもしれません。
そこで、数字を見てみましょう。文部科学省の資料では、令和5年度入学者選抜において、私立大学の入学者のうち、学校推薦型選抜と総合型選抜を合わせた割合は58.7%でした。つまり、私立大学では、すでに6割近くが総合型選抜.学校推薦型選抜ルートで入学していることになります。さらに、国立大学でも18.2%、公立大学でも30.1%が同じルートを通っています。かつては「国公立は一般入試が中心」というイメージが強かったかもしれませんが、その常識も少しずつ変わってきているのです。
また、文部科学省の別の調査では、大学全体で実施されている選抜方法の内訳として、一般選抜が42.3%、学校推薦型選抜が26.4%、総合型選抜が17.8%というデータも示されています。つまり、制度の設計そのものを見ても、推薦.総合型はすでに大学入試の大きな柱になっているのです。
ここからわかるのは、推薦入試はもはや「頑張った人への特別ルート」でも、「こっそり使う裏道」でもない、ということです。大学入試そのものが、すでに複線化しているのです。点数で測るルートもある。人物や意欲、活動で測るルートもある。その両方が、並び立つ時代になっています。
そして、この変化はこれからさらに進む可能性があります。
大学側も、多様な学生を求めています。ただ試験の点数が高いだけでなく、自分で問いを持ち、興味関心を深め、大学での学びにつなげられる人を求める傾向が強まっています。東京大学のアドミッション.ポリシーにも、試験の得点だけを意識した狭い受験勉強に偏るより、興味.関心を生かして幅広く学び、広い視野や深い洞察力を獲得しようとする人を歓迎すると明記されています。
つまり、推薦入試が広がっているのは、単なる制度上の変化ではなく、大学側の取りたい学生象そのものの変化である、ということなのです。
○『総合型選抜・学校推薦型選抜の新しい教科書』(孫辰洋 (著), 中山 芳一 (監修)/SBクリエイティブ)
近年、大学入試において、推薦合格者の割合が半数を超えています。しかも、今後、推薦合格者の割合は7割になるともいわれています。そこで本書では、大学の推薦入試(総合型選抜もしくは学校推薦型選抜)を検討している高校生を対象に、推薦合格者5000人分のデータを分析して導き出した推薦合格のためのロードマップを解説します。「自己理解」「社会読解」「自己展開」の3つを軸にしながら、人生年表の作成や100の自問自答ワークを通して推薦入試で求められる力を養い、志望理由書・小論文・面接の各対策につなげます。