修繕中のマンション=資料 マンションの大規模修繕工事では長年、業者による談合の可能性が指摘されてきた。工事を発注する住民側は、適正価格を見極める知識が必ずしも十分でなく、業者側につけ込まれやすい構図があるためだ。
「工事後に積立金がゼロになったという相談は以前からあった」。住民でつくる管理組合を支援するNPO法人全国マンション管理組合連合会の柿沼英雄副会長は、こう語る。住民が十数年おきの大規模修繕のために集めてきた積立額を把握した上で、業者が工事費用を決めた可能性があるという。
大規模修繕では、管理組合が設計コンサルタントに、工事の見積もりや業者の選定を依頼することが少なくない。ただ、国土交通省は、談合が疑われるケースがあるとして、2017年、コンサル会社がキックバックを約束する業者に受注させたことで工事費が割高になった例を示し、管理組合などに注意を促した。
近年、資材費や人件費の高騰が工事費を押し上げているとされ、専門知識のない住民は適正価格がますます分かりにくくなっている。柿沼さんは、会社の知名度や価格の安さだけを理由に業者を選ぶのでなく、「価格は適正か、と疑う意識を持つ必要がある」と話す。
マンション管理士の重松秀士さんも20年ほど前から談合疑惑に警鐘を鳴らしてきた。過去に相談を受けたケースでは、見積もりを取った8社がいずれも予定価格約2億円の83〜101%を提示。不自然に横並びだと感じ、別の業者に同じ条件を提示すると約3000万円安い見積もりを出してきたことがあったという。
重松さんは今回、認定された談合は、ほんの一部にすぎないと指摘する。住民に十分な専門知識がない上、定期的に繰り返される修繕工事は業者側のうまみが大きいとされ、「行政の力だけで改善は期待できない。根は深い」と話した。
公取委は7月、東海地方のマンションの大規模修繕でも談合した疑いがあるとして、設計コンサルや建設会社など二十数社に立ち入り調査をしている。