在来線より重罰化、あえて「新幹線特例法」が作られたワケ 線路立ち入りで懲役刑も

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2019年05月04日 10:41  弁護士ドットコム

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走行中の新幹線から飛び降りーー。4月14日、新大阪から新神戸の間を走行中の東京発博多行き山陽新幹線「のぞみ17号」で、大阪府内に住む男性が線路に降りたとして、新幹線特例法違反(線路内への立ち入り)容疑で現行犯逮捕された。


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検察は男性は心神喪失の状態で、責任能力はなかったと判断し、4月26日付けで不起訴にした。



関西テレビの報道(4月15日)によると、男性は非常時に新幹線の扉を開ける装置を使って飛び降りたとみられ、右足を骨折したという。反対方向の東京駅に向かう乗車券を持っており、「慌てて乗ったら下りの新幹線だった」という趣旨の供述をしていたそうだ。



新幹線特例法違反というのは、聞きなれない法律だが、どのようなものなのだろうか。岡田一毅弁護士に聞いた。



●鉄道営業法の特別法として制定された

新幹線特例法とはどのような法律ですか。



「正式名称は新幹線鉄道における列車運行の安全を妨げる行為の処罰に関する特例法といいます。新幹線が時速200キロ以上の高速度で走行するため、その特性に鑑み、鉄道営業法の特別法として制定されたものです」



特別に制定された法律なのですね。



「はい。新幹線特例法では、1964年10月の東海道新幹線開通時に、新幹線に特徴的な自動列車制御設備などへの損壊行為が新たに定められました。



鉄道営業法で定められている妨害行為についても、新幹線車両が高速度で、その妨害行為による損害が大規模なものになる可能性が高いことから、より強く禁圧すべく、刑罰なども加重されています」



●在来線よりも重罰化している

具体的には、どのような刑罰が科されるのでしょうか。



「たとえば、線路内に立ち入った場合では、在来線線路に立ち入った場合は科料に処せられるだけですが、新幹線特例法であれば、1年以下の懲役刑の可能性があるなど、刑罰が重罰化しています。



新幹線の場合、在来線よりも輸送人数が多く、速度も速いため、一度妨害行為が発生すると多数の人命や設備が損なわれたり、運行が止まってしまうと経済への悪影響が発生したりする可能性が高くあります。そういった妨害行為を抑圧するために、刑罰が加重されていています」
(弁護士ドットコムニュース)




【取材協力弁護士】
岡田 一毅(おかだ・かずき)弁護士
2013年度京都弁護士会副会長。交通事故などの交通法務に詳しく、大手損保会社の顧問弁護士も勤める。また医療法人の顧問弁護士など、医事法務についても手がけている。大の鉄道好きでもある。
事務所名:奥村・岡田総合法律事務所
事務所URL:http://www.okadalaw.com/


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  • 新幹線特例法違反での逮捕者はたとえ線路内侵入だけでも実名報道される。
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