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「物流の2024年問題」を知っていますか。2024年4月からトラックドライバーの長時間労働が見直され、物流が滞る可能性がある問題です。物流の停滞は消費者にとって大きな影響があります。
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スーパーやコンビニの商品が欠品したり、宅配の翌日便の対象外になる地域が増えたりといったことが考えられるためです。5月23日に都内で開かれた、全日本交通運輸産業労働組合協議会(交通労協)のシンポジウムでは、消費者の行動変容をどう促すかについて関係者が話し合いました。(ライター・国分瑠衣子)
国土交通省「トラック運送事業の働き方をめぐる現状」によると、トラックドライバーの労働時間は全産業平均より約2割(300〜400時間)長いです。それにもかかわらず、年間の賃金は全産業平均より1、2割低いのです。人手不足や高齢化も深刻な問題です。
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働き方改革で、2024年4月からトラックドライバーの時間外労働の上限は、年間960時間に規制されます。上限を超えた場合は、運送事業者に罰則が課されます。
以前から問題だったドライバーの長時間労働が是正される一方で、輸送の見直しが課題になっています。また、長時間労働でも低賃金だったドライバーの収入が、上限規制されることでさらに減ってしまうのではないかという問題もあります。荷主にとっても輸送方法の見直しが迫られています。
2024年問題は物流事業者やドライバー、荷主、消費者に大きな影響がある問題なのです。シンクタンクの推計では、ドライバー不足と「2024年問題」の影響で、2030年にはおよそ34%の輸送能力が不足する可能性があります。このため国や業界団体が対策を話し合っています。
ただ、2024年問題は、消費者に認知されているとは言い難い状況です。2022年の博報堂の調査では「物流が危機的な状況に陥りつつある」ことを見聞きした人は全体の53%でした。
消費者にはどんな影響が出るでしょうか。考えられることは、スーパーやコンビニで欠品が起こりやすくなり、遠隔地の野菜や魚介が入手しづらくなる可能性です。また、コロナ禍で通販の利用が増えましたが、希望日に荷物が届かなくなったり、配送料が上がるかもしれません。
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5月23日のシンポジウムには国土交通省や物流事業者でつくる労組の代表らが出席し、消費者の行動変容の促し方などを話し合いました。
消費者がすぐに取り組めるのが、再配達を減らすことです。タワマンは、セキュリティーの高さなどから1つの荷物を運ぶために、30分以上かかることもあるといいます。政府は再配達を減らすために、まとめ買いや宅配ボックスや置き配、コンビニ受け取りの活用を呼び掛けています。
本来、配送は送料がかかるものですが、通販サイトの多くが「送料無料」をうたっています。交通労協の慶島譲治事務局長は「『送料無料』の表記は、配送の労働への想像力を欠如させる問題をはらんでいます」と指摘しました。全日本トラック協会では消費者に現状を知ってもらうために「送料無料じゃありません!」という主張を載せたインターネット広告を掲示しています。慶島事務局長は、当日、翌日配送など過剰なサービスを見直す必要性についても触れました。
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運輸労連の福本明彦中央書記次長は「消費者にとって物流は空気のような存在で、何を運んでいるか分からないトラックがたくさん走っているように見えるかもしれません。でも、ペットボトルのお茶一つでも多くのトラックが関わっています。(2024年問題も)何とかなるんじゃないかという風潮が世間にはあるので、訴えていきたい」と言います。
トラックの代替として考えられるのが貨物列車です。JR連合の森安祐貴・産業政策局長は、人気のないダイヤを中心に貨物列車の3割は空いていると説明し、「通販ではお急ぎ便がありますが、逆の急がないという選択ができれば貨物列車を活用しやすくなるのでは。貨物鉄道の価値を世間に理解してもらうのが大事だと考えています」と話しました。
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