博多駅前刺殺事件 元交際相手に懲役20年判決 福岡地裁

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2024年06月28日 15:04  毎日新聞

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毎日新聞

福岡地裁=福岡市中央区で

 福岡市博多区のJR博多駅近くの路上で2023年1月、福岡県那珂川市の会社員、川野美樹さん(当時38歳)が殺害された事件で、殺人罪やストーカー規制法違反に問われた元交際相手の無職、寺内進被告(32)に対し、福岡地裁の裁判員裁判は28日、懲役20年(求刑・懲役30年)の実刑判決を言い渡した。冨田敦史裁判長は計画性は否定しつつ、同法違反に当たるつきまとい行為があったと認め「強固な殺意に基づく執拗(しつよう)かつ残忍な犯行。厳しい非難は免れない」と述べた。


 寺内被告は殺人罪を認めた一方、「待ち伏せは違います」などと同法違反については無罪を訴えていた。


 判決は、被告が事件当日、川野さんと会う前に路上にとどまったのは約3分間と短いことなどから「たまたま川野さんを見かけたことで恨みの感情が再燃し、とっさに声を掛けた可能性は否定できない」とし、待ち伏せしたとまでは言えないとした。


 一方、その後は川野さんに文句を言うなどしながら約7分間にわたってつけ回し「著しく不安を覚えさせた」と指摘。川野さんの勤務先にまで押しかけて復縁を求めていた経緯も踏まえれば好意に基づく恨みがあったのは明らかで、同法上の「つきまとい行為」に当たると認定した。


 その上で、川野さんがうつぶせに倒れた後も護身用に持っていた包丁で刺し続けており「被害者の恐怖や苦痛、無念さは多大」と非難。ただ、「衝動的に及んだ」と認定し、懲役20年が相当と結論付けた。


 冨田裁判長は最後に被告に対し「反省の言葉は表面的なもので、どうして犯罪を犯したか十分に考えが至っているとは思えない。生涯かけて事件に向き合い、被害者に償いをしてください」と説諭した。


 判決によると、寺内被告はストーカー規制法に基づく緊急禁止命令を受けていたのに、23年1月16日午後6時過ぎ、勤務先から帰宅する川野さんを偶然見かけ、つきまとい行為をした上、同6時15分ごろ、博多駅近くの路上で川野さんの頭や胸などを包丁(刃渡り約24センチ)で多数回突き刺し、失血死させた。また、殺人事件の約5カ月前にも別の被害者に暴力を振るい、約7カ月の重傷を負わせた。


 弁護側は控訴しない方針だとし、寺内被告が判決後に「被害者に申し訳ない。服役する中で被害者に対して深く反省しながら、冥福を祈り続けたい」と述べたと明らかにした。【河慧琳】


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