関東地方に住む60代女性は、ホストにのめり込み、家を出て行った娘ともう4年も会えていない。「どうしてこうなってしまったのか」。連絡すら取れぬまま30代になった娘を案じる日々を送っている。
大学卒業後、有名企業に入社した娘は5年ほど前、会社の同僚と初めて東京・歌舞伎町のホストクラブを訪れた。やがて帰宅が遅くなる日が増え、ホストを彼氏と呼ぶようになった。
「本当に彼氏なの?」。こう聞いた女性に対し、娘は「大丈夫。店に行くお金がなくても(ホストが)払ってくれる」と信じ切った様子だった。
夜遊びは次第にエスカレートした。理由を付けて家に帰らなかったり、連絡が取れなかったりする日も増えた。反省を促そうと玄関のチェーンをかけると、家に帰ってこなくなった。電話をかけたり、SNSでメッセージを送ったりしても反応しなくなった。
しばらくして、娘の友人から「ホストに『パパ活』を勧められ、男性相手にお金を稼いでいるという話をしていた」と聞いた。性風俗店で働いているとも知らされた。店の前で待ち構えたこともあったが、会えなかった。娘はやがて、ホスト通いをとがめる友人とも連絡を絶つようになった。
パパ活の相手だという男性2人の弁護士から、払った計1000万円以上の弁済を求めるという内容の娘宛ての文書が自宅に届いた。「ホストにつぎ込んだのだろうか。こんなことをする子じゃなかったのに…」
真面目で優しい子だった。母の日にプレゼントをくれ、初任給で食事に連れて行ってくれたこともあった。「どうしてこうなってしまったんだろう。私の育て方が、あの言葉がよくなかったのか」。振り返っては自分を責め、眠れない夜を過ごした。ショックを受けると思い、娘のことは家族にも話せない。独りで抱え込む日々を送る。
逃げられたらもう二度と会えないかもしれないと、娘の働く店で待ち伏せするのはやめた。会いたい気持ちをぐっとこらえる。「もう自分自身で目を覚ましてもらうしかない。私は娘に会って話がしたい。それが一番なんです」。