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クラシック音楽家が自主公演をした際に、日本音楽著作権協会(JASRAC)から著作権料の手続きをするように求められたとする投稿がSNS上で話題になっている。音楽家は「パブリックドメインの曲しか演奏しない」と説明したものの、「それはJASRAC側が調査する」と主張されて手続きを行い、結局は著作権料が発生しないことが判明したという。本来、演奏曲がパブリックドメインの曲のみであれば、著作権手続きは不要のはずであるが、JASRACはなぜこのような無駄に思える手続きを要求したのか。JASRACは「クラシックの曲であっても著作権料が発生することがある」と説明し、理解を求める。
日本音楽著作権協会(JASRAC)は音楽著作権を集中管理する法人で、国内で演奏・利用される楽曲について、利用許諾(ライセンス)、利用料の徴収を行い、著作権料を権利者へ分配する。著作権法に基づく著作権者の正当な権利を、委託を受けて管理しているといえる。だが、著作権料を徴収する範囲を広げていることから、不満の声も大きい。
JASRACはこれまでに飲食店やダンス教室、カラオケ店、音楽教室など、著作権料の徴収をめぐってたびたび争いが起き、JASRACの姿勢に対して批判の声も多かった。一方で、楽曲制作者の立場からは、適正な著作権料の徴収と分配によって権利が守られるとしてJASRACを擁護する声もある。
だが、それらはあくまでも著作権が及ぶ楽曲に関しての話である。
それが12月16日に、あるクラシック音楽家がX上に投稿したポストは物議を醸す内容だった。
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「1ヶ月半ほど前、JASRACより電話があり、9月の自主公演の著作権料の申請をしてください、とのこと。全てパブリックドメインですが、と答えるとそれはこちらで調べるから申請しろ、と。協奏曲の編曲者が問題になったのか?と思い、全て生没年を書き添えて提出。作曲者も編曲者も全員19世紀に没していて
ナンセンスというか、無駄な手間というか。昨日、管理曲はなかったので支払いの必要はありません、とのお達しが封書で届いた。ええ、知ってましたとも。一往復半、郵便料金かけてご苦労様です」
つまり、数カ月前に行われた自主公演に関し、著作権手続きをするように要請されたというものである。有料のコンサートなどを開催する際には、当然に著作権手続きを行うべきであるが、パブリックドメイン、すなわち著作権などの知的財産権が消滅し、誰でも自由に利用できるようになった著作物については、著作権料が発生しないため、手続きは行う必要がない。JASRACの公式サイトでも、「著作権が切れた古い楽曲のみの使用であれば手続きは不要」との説明がなされている。
ではなぜ、JASRACは今回、クラシック楽曲のみの演奏会について著作権手続きをさせたのだろうか。Business Journal編集部はJASRACに見解を聞いた。
「利用楽曲がパブリックドメインのみである場合、著作権手続きは不要です。ただし、クラシック曲であっても比較的新しい時代の作家の場合や戦時加算の対象などで、著作権が存続していることもございます(ショスタコーヴィチ・クライスラー・カールオルフ・ヒンデミットなど)。また、クラシック曲の原曲を編曲した作品の場合は、編曲者の著作権がある場合などもございます。
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そのため、クラシック曲のご利用のみというお話をいただいた場合であっても、利用楽曲のご連絡をお願いすることもございます。その際には、申請書類をお送りいただくこともございますが、メールなどでの演奏曲目のご連絡やパンフレット等でも確認をしております。
今回は個別のケースのため、詳細をお伝えすることは差し控えさせていただきますが、ご案内に至らない点があり、誤解をさせてしまったことは、大変申し訳なく思っております。
今後も、利用者のみなさまにとって安心して音楽をお使いいただける環境作りを進めて参ります」
今回の個別のケースについては詳細を控えたうえで、一般論としてはクラシックでも著作権が残っている場合があり、そのため演奏曲目がクラシック曲のみであっても無条件で著作権料が発生しないとは言えないというわけである。
明らかに違法な音楽利用は厳しく取り締まってほしいとは思う一方で、世知辛く感じる著作権料の取り立ては見たくないとも思ってしまう。
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(文=Business Journal編集部)
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