「セブンで375円」高いのになぜ人気? オハヨー乳業「ブリュレ」が前年比2倍の理由

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2025年01月03日 06:20  ITmedia ビジネスオンライン

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特許製法で作られた「ブリュレ」が人気

 オハヨー乳業(東京都千代田区)が販売する「BRULEE(ブリュレ)」の勢いが止まらない。同商品はオープン価格で、セブン-イレブンでは375円で販売している(2024年12月25日現在)。いわゆる「高価格帯アイス」といえるが、売り上げは2023年度が前年比160%、2024年度は同200%以上に達する見込みだという。


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 急成長を支える要因の一つに、外国人観光客からの支持の広がりが挙げられる。「SNSでの話題や個別店舗の販売動向から見ても、インバウンド需要が大きく貢献している」と同社の広報担当者は語る。


 同社は当初、チルドデザートのクレームブリュレとして開発に着手した。ところが、カラメル部分のパリパリした食感の維持が難しく、一旦は開発を断念。代わりに、アイスとしての商品化に切り替えた。


 試行錯誤の末、熱に弱いアイスを瞬時に焼き上げる独自製法を生み出し、香ばしい焼き目とパリパリとした食感を実現した。カラメル部分は、20種類以上の砂糖をブレンドしているという。


 従来の常識を覆す技術は特許を取得したものの、量産化への壁は高かった。「発売当初は工場での歩留まりが悪く、不良品が多く発生した」と広報担当者は振り返る。その後は製造工程を細かく見直し、調整したことで改善に成功した。


●供給量が追いつかず一時販売休止も


 2017年4月の発売当初から反響は大きく、供給が追いつかずに10日で販売を一時休止したほど。半年後に関東限定で再開し、その後は全国へと販路を拡大した。2019年からはチョコレートもラインアップに加わった。


 2021年4月には、リニューアルを実施。焼き目を改良し、より香ばしい味わいを実現したほか、視認性を高めるために高級感のあるパッケージデザインへ刷新した。


 ブリュレの特徴は、「五感で楽しめる」点にある。容器を開ける音、スプーンでキャラメリゼを割るときのパリッという音、そして咀嚼(そしゃく)音といった音の演出に加え、香ばしい香りと、ミルクリッチなアイスとキャラメリゼが合わさった複雑な味わいを楽しめるようにした。


 乳脂肪分が16.5%と高いため、ブリュレはハーゲンダッツなどと同様に、プレミアムアイス(乳脂肪分10%以上)に分類される。


 「競合製品と比べ、五感それぞれに訴求できる商品設計が最大の強み」と広報担当者は強調する。


 その「五感体験」を極限まで引き出すため、同社は2024年7月にブリュレブランド初のキッチンカーを期間限定で展開した。その場で焼き上げて提供する試みは、国内最大級のアイスイベントで最大1時間待ちの行列ができるほど反響を呼んだ。今後、キッチンカーの全国展開も検討しているという。


●海外からのアクセスも急増し、台湾へ販売拡大


 ブリュレの人気が本格的に高まったのは、SNSでの認知拡大がきっかけだ。2020〜21年にかけて、同社はインフルエンサーマーケティングを実施し、「五感で楽しむ」体験価値が拡散を後押しした結果、口コミが広がった。


 さらに、Instagramのフォロワー数が3000万人を超える韓国の人気歌手が自身のYouTubeでブリュレを絶賛したことで、海外での認知も急拡大した。特に台湾や香港、韓国の若者層の間で、訪日時の定番商品となった。


 インバウンド客の中で認知度が高まった結果、観光地にある同商品を扱う店舗では、一般店と比べて20〜30倍の売り上げを記録するケースも出てきたという。広がりを受けたことで、同社は多言語POPを制作し、店頭への設置を進めている。


 海外からオハヨー乳業の公式Webサイトへアクセスするケースも増えた。特に、台湾からのアクセス数が前年同期比で120倍以上も伸長した。


 こうした需要の高まりを受け、同社は2024年3月から台湾のセブン-イレブンで販売を開始。テスト販売中のため目標や実績は公開していないが、約6000店舗まで販売網を拡大している。


 今後の海外戦略について、広報担当者は「さまざまな国から問い合わせを受けており、直近ではアジア圏での展開に注力している」と説明する。


●プレミアムアイス市場でのブランド確立を目指す


 アイスクリーム協会によると、国内のアイス市場は2009年から右肩上がりで伸び続けており、2023年度の販売金額は過去最高の6082億円を記録した。


 販売物量は前年比99.2%と微減したものの、付加価値の高い商品の投入により、リッター単価(1リットル当たりのアイスクリームの価格)は前年比110.8%と上昇した。


 この背景には、アイスが「甘く冷たいおやつ」という従来の枠を超え、「ちょっとした贅沢(ぜいたく)」や「ご褒美」として消費者に支持されるようになった変化がある。


 その中で、ブリュレは「五感で楽しめる」という独自の商品設計と特許技術による品質の高さを武器に差別化を図り、この新たな需要を開拓した。高齢化が進む日本でも、若い層の支持を集めており、市場の活性化に貢献している。


 一方で、課題は「国内の生産体制」と広報担当者は語る。まずは安定供給に向けた体制強化を進め、プレミアムアイス市場において、ブリュレシリーズ全体ではなく、ミルク味単品で売り上げナンバーワンのブランドへと育成していく考えだ。


(カワブチカズキ)



このニュースに関するつぶやき

  • これ買占めするくらいドはまりしてる人が居て、この前熱烈にプレゼンされた(´-`)(笑) オハヨーさんプリンで実績あるし美味しいけど価格帯がダッツより上なのがなぁ・・・(;´ω`)
    • イイネ!9
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