「能登に寄り添う医師に」=地域貢献、思い強まる―被災の医大生・牧さん

47

2025年01月03日 08:31  時事通信社

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

時事通信社

撮影に応じる自治医科大医学生の牧和音さん=2024年12月4日、栃木県下野市
 石川県能登町出身の大学4年牧和音さん(23)は医師を目指し、親元を離れて自治医科大(栃木県下野市)で学ぶ日々を送る。昨年の地震と豪雨で甚大な被害を受けた古里では復興に向けた地域医療体制の整備が急務だ。牧さんは「能登に寄り添った医師になりたい」と力を込める。

 「能登の人の優しさが好き」と話す牧さんは、子どもの頃から地元で働く希望を持っていた。教師の道も考えたが、進学した石川県立能登高校の担任の勧めもあり、医師不足に悩む能登町に貢献するため医師を目指すことを決めた。

 ただ、同高では医学部合格の前例はなく、周囲の後押しが力になった。地域おこし協力隊員が講師を務める能登町の学習塾「まちなか鳳雛塾」に通い詰め、1年間の浪人生活を経て自治医大に合格した。

 昨年の地震発生時は、実家に帰省中。家族は無事だったが、想像したこともない強い揺れに見舞われ、死も覚悟した。自宅の損傷は激しく、大学に戻るまで1週間ほど車中での避難生活を余儀なくされた。両親は今も仮設住宅で暮らしている。

 当時は大学3年生で医療面で貢献できることは少なく、「もっとできることがあったかも」と悔しい思いもした。頑張る気力が湧かず勉強が手に付かない時期もあったが、時間の経過とともに「地元の役に立ちたい」との思いはさらに強まった。

 寮生活を送る仲間の支えもあり、勉強に身が入るようになったという牧さん。大学の講義を通じ、どんな患者にも対応できるよう幅広い知識を持ち、「対話を大切にできる総合診療医になりたい」と考えるようになった。

 自治医大は地域医療を担う医師の養成が目的で、授業料免除の代わりに卒業後、地方で医師として9年間働く義務がある。能登半島では高齢化が進む上、地震後に医療従事者の退職が相次ぎ、医療体制の整備が喫緊の課題だ。牧さんは「地域医療の負担を少しでも軽くできるよう頑張りたい」と前を向く。 

このニュースに関するつぶやき

  • 頭が下がります。本来なら国がそうあるべきなのに・・・
    • イイネ!5
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(29件)

前日のランキングへ

ニュース設定