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茨城県の鹿島港沖で巻き網漁船が転覆し2人が死亡、3人が行方不明となった海難事故で、救助された乗組員は「網に魚が多く入ったことで徐々に船体が傾いた」と説明しているという。巻き網漁とはどのような漁法で、なぜ転覆のリスクがあるのか。
茨城県旋網(まきあみ)漁業協同組合などによると、巻き網漁では魚群の探索船や網を巻く船、取れた魚の運搬船など複数で船団を組んで操業する。事故に遭った第8大浜丸はイワシを取るため他2隻と船団を組み、網を巻き魚を囲んでいたとみられる。
巻き網漁の関係者によると、網は数キロの長さがある。網を巻く船をロープで他の船にもつなぎバランスを取るのが一般的だが、魚が多く入って転覆した事故は過去にもある。島根県沖で2014年に5人が死亡・行方不明になった転覆事故のように、網の中で魚群が動いてバランスが崩れたケースもあった。
「通常は転覆を避けるために網を緩めたり、船につながる網を切って魚を逃がしたりする」と関係者。茨城県旋網漁協の幹部によると、今回は第8大浜丸が傾き、バランスを取る役割の探索船も支えきれなかった。2隻の間のロープを切り、探索船だけ難を逃れた。
漁協によると、イワシの漁場は年末から年明けにかけて宮城県沖から、茨城県や千葉県の沖合に南下。第8大浜丸は新年最初の水揚げに臨んでいたという。
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農林水産省の統計では、22年のイワシ類の漁獲量は茨城県が全国1位、千葉県は3位で、有数の漁場となっている。【西夏生、斉藤瞳】
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