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三菱UFJ銀行の東京都内の支店の貸金庫から金品が繰り返し盗まれた事件で、窃盗容疑で逮捕された元行員の今村由香理容疑者(46)が「他の支店への異動を控え、盗んだ現金を元通りにするため他の顧客の金塊に手を出した」と供述していることが、捜査関係者への取材で判明した。盗み出した金塊は質入れして現金化し、貸金庫に補塡(ほてん)していたという。
今村容疑者は2024年9月下旬ごろ、支店長代理を務めていた練馬支店で、男性顧客2人が利用する貸金庫から、金塊計約20キロ(時価総額約2億6000万円相当)を盗んだとして、警視庁捜査2課に逮捕された。
捜査関係者によると、今村容疑者は翌10月に玉川支店へ異動した。被害が発覚しないよう現金を補塡するため、他の顧客の金塊を盗み出したとみられる。金塊は、行内で自身の机の引き出しやキャビネットに保管。都内や千葉県の質店に持ち込んで、現金を借り入れていたという。
今村容疑者は20年4月ごろ、三菱UFJ銀行の江古田支店で貸金庫業務の管理を任されるようになった。江古田支店と合併された練馬と、次に異動した玉川の2支店での約4年半で、顧客60人以上の貸金庫から、現金は10億円以上、金塊は時価総額で7億円以上を盗み出していたとされる。
遅くとも15年ほど前から、競馬の馬券購入などで金銭を浪費。約700万円の借金を抱え、13年8月に東京地裁に民事再生法の適用を申請し、認められている。
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支店で保管していた「予備鍵」を使って貸金庫を開けており、警視庁の調べに「主に(支店窓口の)営業が終わる午後3時以降に、貸金庫室に忍び込んでいた」という趣旨の供述をしているという。
また支店内では、防犯カメラのモニターを常に監視できる立場だった。金品を盗み出していた貸金庫を利用する顧客が来店した際には、モニターでいち早く気づき、貸金庫システムの電源を切って故障を装うなどして発覚を回避していた。
事前に顧客の来店を把握した時には、別の貸金庫から金品を一時的に移して補塡し、被害に気づかれるのを防いでいたとみられる。今村容疑者のスマートフォンには、金品を盗み出す前の貸金庫内を撮影した画像約800枚が残っており、警視庁は帳尻を合わせるために記録したとみている。
今村容疑者は逮捕前、外国為替証拠金取引(FX)への投資や競馬などで約10億円の損失を出していたとされ、盗んだ金品で穴埋めしていたとみられる。逮捕後は、「いろいろな人に迷惑をかけた」と話しているという。【遠藤龍、菅健吾】
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