ドミノ・ピザはなぜ「有明ガーデン」を選んだのか フードコート初出店の経緯

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2025年01月22日 08:41  ITmedia ビジネスオンライン

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ARIAKE GARDEN(筆者撮影、以下同)

 コロナ禍の真っただ中にオープンし、2025年で5周年を迎える東京湾岸エリアの商業施設「有明ガーデン」が一部リニューアルし、1月15日にフードエリア「ARIAKE FOOD STAGE」をオープンした。


【画像】ドミノ・ピザがフードコートで提供する「ピザBENTO」(740円〜)


 劇場型のイベントホール「東京ガーデンシアター」に隣接する強みを生かすため、アーティストの応援など推し活需要に着目。「アーティストを応援&ファンも応援」をキーワードに、ワンハンドで食べられるメニューを多くそろえたフードコートとしての機能とともに、ファン同士の交流なども促進させる狙いだ。


 有明ガーデンは2020年に開業した。ショッピングモールやイベントホール、ホテルなどからなる複合施設だ。もともと同年春に開業予定だったが、コロナ禍の影響で後ろ倒しに。オープン以降も外出自粛などの影響を受けたが、直近では年間の利用者数は1000万人規模となり、イベントホールの東京ガーデンシアター、ホテルの「ヴィラフォンテーヌ グランド 東京有明」ともに稼働率が高く、好調だという。


 リニューアルによってオープンしたARIAKE FOOD STAGEは全7ブランドが出店。注目はフードコート初出店で、デリバリーを行わない「新業態」の店舗を開いたドミノ・ピザだ。その他、不二家の「ペコちゃんmilkyドーナツ」が東京初出店。近隣の豊洲市場にある海鮮丼専門店「大江戸」も、すしをカジュアルにアレンジして提供する新ブランド「OEDO ARIAKE STYLE」を出店するなど、目新しいラインアップがそろう。


 一方で、もともと有明ガーデンには5階にフードコート「Ariakeダイナー」があった。なぜ、わざわざもう一つ新たにフードエリアを設けたのか。


●「推し活の破壊力はすごい」1日数千万単位の売り上げアップも


 今回のリニューアルについて、有明ガーデンを運営する住友不動産商業マネジメントの坂巻裕太氏(有明モール運営部 部長)は、同施設の客層に言及しながら次のように説明する。


 「有明ガーデンは、大きく分けて子育て中のファミリー層と、東京ガーデンシアターのイベントなど興行目的に来た層という、2つの客層が存在します。このうち後者について、近年は東京ガーデンシアターだけでなく、近隣にある東京五輪のレガシー施設で行われるイベントも増えてきており、5階のAriakeダイナーでお客さまが座席を確保しにくくなっている課題がありました」


 坂巻氏によると、東京ガーデンシアターでイベントのある日は、フードコートの席が取れず、コンビニなどで購入したものを屋外でサクッと食べているような客も多かったという。このような施設のキャパシティー面での課題を解消するために、全900席のAriakeダイナーに加え、300席超のフードエリアとして新たにARIAKE FOOD STAGEをオープンした。のんびりとした食事には前者、興行前後のさっと食事を済ませたいニーズには後者で対応していく。


 ARIAKE FOOD STAGEでは、フードエリアの増強だけでなく、東京ガーデンシアターで行うイベントとのコラボレーションも強化する。有明ガーデンでは、以前からモール内のBGMとして、興行するアーティストの楽曲を流すなどのコラボをしてきた。今後は興行と連動したメニューや、ノベルティの提供などを予定している。また、アーティストのイメージカラーに合わせた照明の調節や、エリア内の大型モニターでライブ映像を流すなど、体験価値の向上に注力する。


 「これまでも年間を通して数多くのイベントを行ってきましたが、推し活関連の消費、破壊力にはすさまじいものがあります。イベントによっては、1日に数千万円単位の売り上げアップがあったこともあり、こうした需要に今後も対応していく考えです」(坂巻氏)


●ドミノ・ピザ「フードコート初出店」のワケ


 ARIAKE FOOD STAGEの店舗で注目なのがドミノ・ピザだ。これまでフードコートへの出店はしてこなかったところ、今回初出店となった。


 ドミノ・ピザジャパンは、2033年までに国内店舗数を2000店まで拡大する方針を発表している。近年は閉店ラッシュが話題になることもあったが、従来店舗と異なる立地での出店を模索しており、10月には京セラドーム大阪にオープン。マーティン・スティーンクスCEOによると、有明ガーデンへの出店も、こうした活動の一環だという。


 その他、担当者は「店頭で生地をこねたり、伸ばしたりといった調理面での工夫をもっとお客さまに知っていただきたいと考えたのも今回出店した要因の一つです」とも話す。しかし、フードコートは国内にいくつもある。また、2024年だけでも埼玉の「エミテラス所沢」、横浜の「ワールドポーターズ」など、大型施設のフードコートがいくつも開業した。その中から有明ガーデンを選んだのはなぜなのか。


 「これまでフードコートに出店してこなかったのは、どうしても日常的に訪問するお客さまが多い特質上、ピザに飽きられてしまうリスクもあると考えたからです。一方、有明ガーデンは普段使いの方以外に、興行を目的に来訪される方も多く、客層の流動性が高い点がポイントでした」(担当者)


 今回の店舗はスペースの制約もあることから、ピザを調理する「メイクライン」と呼ぶスペースを通常店舗と比較して半分以上に縮小。デリバリーは行わず、イートインとテークアウトのみの「新業態」という扱いだ。今後はテストメニューの試験販売なども予定している。


 メニューも、1人用の「ピザBENTO」と「ドミノシェイク」などに絞った。このうちドミノシェイクは、通常の店舗でも単体で注文する人が多い人気メニューで、アイドルタイムなどに期待を寄せている。


●インバウンド率は高くないが、チャンスはある


 有明ガーデンがある湾岸・有明エリアは、コナミグループが次世代の開発拠点「コナミクリエイティブフロント東京ベイ」の建設を進めており、2025年に竣工予定だ。さらにテレビ朝日も複合型エンタメ施設「東京ドリームパーク」を2026年春に開業予定で、少々離れた台場エリアには、トヨタが「TOYOTA ARENA TOKYO」の開業を2025年秋に見込んでおり、開発はまだまだ進みそうだ。


 民間だけでなく、東京都もお台場海浜公園に世界最大級の高さを誇る噴水「ODAIBAファウンテン(仮称)」の整備を発表しており、湾岸エリア一帯は継続して盛り上がることが予想される。モールや東京ガーデンシアター、さらにホテルといった複合施設である有明ガーデンは中でも中核的な役割を担うと考えられる。


 今後は推し活だけでなくインバウンド需要もいかに取り込めるかがカギになるだろう。現状、ホテル利用者のインバウンド率は3割前後だが、都心部へのアクセスも良く、羽田エアポートガーデンへの無料シャトルバスも運行していることから、期待はできる。開業からの4年間でテナントの入れ替わりも活発といい、今回のリニューアルも含めて今後はどのような新陳代謝を行うのか、目が離せない。



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  • ここ、ゴールデンボンバーやTHE ALFEEのLIVEで行きました。スーパー銭湯にイオンがあって、本当に便利ですね���ޥ���
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