大人の『トミカ』のたしなみ方…陥りがちな「箱から出さず」飾るだけってどうなの? 妄想はかどる世界観とは

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2025年02月26日 09:10  ORICON NEWS

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『tomica GARAGE』Lamborghini Edition
 タカラトミーの『トミカ』が今年で55周年を迎え、新たな展開を見せている。『トミカ』自体が幅広い世代に愛されている商品だが、今から10年前には“大人向け”として『トミカプレミアム』を発売。今年はさらに、“キダルト”(キッズとアダルト)向けに注目したシリーズを発表するという。とかく「飾ったまま」にしがちな大人たちだが、玩具メーカーだからこそ伝えたい思いとは?

【画像】これは妄想はかどる! もう1つのPREMIUM BLACK Edition

■55周年の『トミカ』、新作プレイセットは「大人が満足できるもの」

 今年、55周年イヤーを迎えたダイキャスト製ミニカー『トミカ』。累計販売台数は10億台を突破し、子どものころは誰もが一度は通るほど親しみある玩具として愛され続けている。そんなトミカが、今から10年前の2015年に、大人のためのトミカシリーズ『トミカプレミアム』を発表。キダルト需要を見越し、年齢軸や地域軸を拡大すべく展開して、現在では少しずつ車種も増えているという。これらは、専用の金型を用いた車のフォルムはもちろん、細かな塗装や印刷、ホイールのデザインなど、細部に至るまでクオリティにこだわり、目の肥えた大人たちを魅了していった。

 株式会社タカラトミー・トミカ事業部企画開発課の本河明広氏は『トミカプレミアム』について、「トミカを発売した当時はお子さんがメインターゲットでしたが、長い年月を経て子どもが大人になり、そして3世代に渡って楽しんでいただける状況になっていきました」と振り返る。「大人が乗ってみたい車種などを追加していき、6種から始まって今では40種が定番に。大人が本気で楽しめるもの、自ら手に入れたくなるものにこだわり、開発してきました」。

 今年は、そんな10周年を記念し、大人向けプレイセット『tomica+』シリーズを開発。第1弾として、『tomica GARAGE』(PREMIUM BLACK Edition、Lamborghini Editionの2種)を2月15日に発売した。本商品は、これまでのミニカーコレクションをスタイリッシュに飾れるガレージ。操作パネルをタッチすると、電動シャッターが本物のようにゆっくりと展開するなど、まさに大人の遊び心をくすぐられるものとなった。

 このシリーズを開発したのには、「ミニカー(トミカプレミアムシリーズなど大人向けtomica)の魅力をエモーショナルに輝かせる」という目的がある。ただその一方で、大人向け商品はそもそも「箱から出さない」ということも気になっていたようだ。もちろん楽しみ方は人それぞれではあるが、買って飾って終わり、はたまた劣化や価値の低下を恐れて箱から出さないまま…というのは、商品本来のポテンシャルを発揮できているとはいいがたいのではないか。

 「最近ではさまざまなディスプレイケースも売っていますし、大人の方が飾って楽しむ、愛でるという割合が増えてきているのはわかっていたんです。ただ、作り手側としては、ぜひ手に持って触って、質感も楽しんでもらいたいというのが正直な気持ちでした」

 では、大事に飾られたり、箱にしまわれていたりする『トミカプレミアム』を、実際に手に取ってもらうには何が必要か。それで考えられたのが、このシリーズだ。

 「ただ格好良く飾るだけではなく、もし自分の家の隣にガレージがあったら…と頭の中でイメージが広がるようなもの。こうした“ストーリー性”が加わることで、ラグジュアリー感への憧れ、愛着がプラスされ、より楽しさが増すと思ったんです」。

■大人に響くストーリー性、「他者に語り、自慢すること」でカタルシスを得る

 現実に手に入れることはなかなか難しいだろうが、自分だけの豪華なガレージがあって、その中にはお気に入りの車が鎮座している。そんな妄想…もといストーリーが生まれることで、夢は広がる。それは、大人だからこそより具体的に楽しめる遊びであり、「どんな車をガレージに置こうか」「どう並べるとカッコイイか」「ガレージも自分色にしたい」など、妄想はどんどん膨らむはず。ある種の“おままごと”のようでもあり、秘密基地を作る感覚に近いかもしれない。こうなると、もう『トミカプレミアム』を大人しく飾ったままにはしておけないだろう。

 「やはりおもちゃ会社としては、どの商品にもアソビ心を盛り込みたいという思いがあります。今回のガレージでは、とくに電動シャッターにはこだわっていますね。普通のディスプレイケースだと置いて眺めることで完結するのですが、シャッターが閉まっていると中の車が隠れて見えないじゃないですか。あえて“シャッターを上げる”というワンアクションを必要とすること。そこから生まれる特別感や期待感は、とても重要だと感じています。ちなみに、ライトはシャッターが上がりきるとゆっくり点灯するので、リアルさや奥深さも味わえます。内装のパネルも複数用意しているので、自分の好きなようにカスタムすることもできます」。

 子どもは商品そのものを手に取ると、手で触りアクションを起こすことで満足度を高められる。一方で大人には、商品にまつわるストーリーが大切で、なおかつそれを「他者に語り、自慢すること」で、カタルシスを得られるケースが多い。だからこそ、ギミックにもこだわり抜いた。

 「実は、電動シャッターを水平に上げ下げするのはかなり大変でした。本物のシャッターの動きをこの製品で表現する際、パーツを増やせば価格が上がってしまいます。『tomica+』シリーズは、クオリティと価格のバランスを大事にしていますので、試行錯誤を繰り返しながら構造をシンプルにすることで無事に商品化することができました。よりシンプルにするなど、そのあたりのバランスにはかなり苦労しました」。

 トミカ55周年の長い歴史の中で誕生したトミカプレミアムも10年を経て、この間に蓄積してきた魅力に新たなアソビ心を加えた『tomica+』シリーズ。すでに『tomica GARAGE』が発売されているほか、3月15日には『トミカプレミアムunlimited DRIFT TURN STAGE』も発売される。

 ただ飾るだけではなく、そこにどんな物語を紡げるか。双方の掛け合わせによって、本河氏が伝える「ストーリー」は無限に広がり、魅力は何倍にも膨らむだろう。

(文:磯部正和)

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