〔国際女性デー50年〕女性服にもポケットを=名刺しまえず「仕事に不便」―メーカーに変化の兆しも

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2025年03月06日 15:01  時事通信社

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スカートのポケットにスマホを入れる卜沢彩子さん。ポケットが浅く入り切らない=2月15日、東京都豊島区
 女性用のジャケットやズボン、スカートにはポケットがないものや、あっても浅いタイプが多い。名刺をしまえず、仕事に不便との声も相次ぐ。ただ近年は、ポケット付きの女性服を増やすメーカーもあり、変化の兆しも出ている。

 名刺やハンカチはバッグに入れるしかなかった―。会社員の卜沢彩子さん(37)は3年前、就職した際にジャケットを購入した。ポケットは付いておらず不便に感じたが、当時は「ないのが当たり前」と思い我慢した。

 その考えは昨年1月、羽田空港で日本航空と海上保安庁の航空機が衝突炎上した事故で一変した。男性は貴重品を衣服のポケットに入れて避難できたのに対し、ポケットがない服の女性は何も持ち出せなかったことなどをSNSで知った。「生活に関わる深刻な問題だ」と感じた。

 卜沢さんは事故の2カ月後、「レディース服に『ポケットあり』の選択肢を」と題した署名活動をネットで始めた。同11月には関連イベントとして、ポケット付き女性服のフリーマーケットを東京都内で開催。日ごろの悩みを募集するコーナーでは、「自転車に乗ったらスマホが落ちる」などの声が次々と寄せられた。

 約4000人分の署名は大手アパレルなどに提出予定という卜沢さん。「ポケット付きの服へのニーズはあるというデータを届けたい」と話す。

 女性服を巡っては、メーカー側にも変化が出始めている。紳士服大手コナカ(横浜市)は、男女の体形の違いを理由に「ポケットを付けられる場所が限られている」とする一方、要望は多いとしてポケット付き女性服の企画を「積極的に進める」とする。「ユニクロ」のファーストリテイリング(山口市)も、要望は把握しており「一部の例外を除き、基本的に付ける方針」と説明する。

 文化服装学院(東京都渋谷区)の朝日真教授(61)によると、女性服にポケットが本格的に導入されたのは、欧州で19世紀後半に女性が旅行やスポーツを楽しむようになってからという。朝日教授は「女性の社会進出が進む中、女性自身が男性服との違いに気付き始めている。今後は女性服・男性服という線引きが曖昧になるのでは」と話している。

 【編集後記】数年前にあった立食を伴う取材の際、相手の女性経営者はジャケットを着ていた。ただ彼女の服にポケットはなく、名刺や財布、携帯電話を持ちながら対応してくれた。一方の私は名刺などはポケットにしまって食事を楽しんだが、その際、相手との差に何の疑問も感じなかった。

 今回の取材は、当時の無関心を恥じながら進めた。女性の声に応じて企業側も変わり始めている。男性・女性を問わず、それぞれが好きな仕事服で働ける社会になってほしいと願う。(時事通信社会部記者・小山誠司)。 


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  • 分かる!深いポケットが欲しいのよ!女こそ荷物が多いんだから。ハンカチ、口紅、生理用品や飴玉くらいポケットに仕舞っておきたいの。
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