「アンパンマンは大人に響くメッセージの宝庫」哲学者・小川仁志に聞く、やなせたかしから学ぶ人生のヒント

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2025年03月30日 13:10  リアルサウンド

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『愛と勇気とアンパンマンの言葉』(内外出版社)を上梓した小川仁志氏

 2025年3月31日から放映がスタートする、NHKの連続テレビ小説『あんぱん』のモデルになり、大きな注目を集めている『アンパンマン』。言わずと知れた、子ども向けアニメの不朽の名作だが、アニメから学ぶ大人の人生哲学をテーマに、『愛と勇気とアンパンマンの言葉』(内外出版社)を上梓した哲学者の小川仁志氏は、「実はアンパンマンには大人にこそ響くメッセージが多くあり、人生を学び直すためのヒントが隠されている」という。



 果たして、その真意はどんなところにあるのだろうか。アニメ『それいけ!アンパンマン』の膨大なエピソードの中から抜き出した名セリフの意味や想いを読み解き、さらにはそれを哲学の視点で掘り下げるという、これまでにない試みに挑戦した著者だからこそ見出した、大人のためのアンパンマンの魅力について話を伺った。


アンパンマンには立ち返るべき“基本”がある

――本書の前書きに「哲学の視点で捉えた、大人のためのアンパンマン」というテーマで打診があったとき、正直、戸惑いがあったとありました。それでも引き受けてみようと思ったのは、どんなところに惹かれたからでしょうか?


小川仁志(以下、小川):人というのは子どもの頃に大切だと思っていたことも、成長するにつれて忘れてしまう生き物なんですよね。幼い頃には当たり前に感じていたことも、大人になると見えなくなってしまう。だから、私自身も含めて、あらためて「忘れてしまった大切なもの」を『アンパンマン』を通じて見つめ直したいと思いました。


  アンパンマンが持つ「自己犠牲」「勇気」「正義」といったテーマは、私たち大人が生きていくうえでもとても大切な価値観です。それを単なる子ども向けの教訓にとどめず、大人としてどう受け取るべきか、どう実践すべきかを考えることに、大きな意義を感じました。


――アンパンマンを哲学的視点で捉え直そうという試み自体、これまでにあまり目にすることはありませんでした。


小川:たとえば、手塚治虫さんの作品やジブリ映画といった、大人も楽しめるアニメでは、その物語性やメッセージを解釈する分析書は出版されていたと思います。しかし、まったくの子ども向け作品であるアンパンマンで、哲学的な掘り下げをするという試みは、ほとんどされていなかったのではないでしょうか。


 現代のように不確実な時代では、基本に立ち返ることが重要視されることも多いと思いますが「その“基本”となるものが、アンパンマンの中にあるかもしれない」と考えたことも、この企画をお引き受けした理由です。


――とはいえ、アンパンマンのエピソード数は1600以上、登場キャラクターの数も世界最多で、ギネス世界記録にも認定されています。本を執筆するにあたり、膨大な数の作品を観ることになったと思います。


小川:膨大な数のエピソードを観る必要があると知ったときは、さすがに圧倒され、正直気が遠くなりました。けれども「アンパンマンには、大人にとっても大切なことが描かれているはずだ」という思いで向き合っていると、どのエピソードにも、これまで気づかなかった大事なメッセージが込められていることがわかり夢中になっていきました。観ているうちに、自分がアンパンマンの世界の住人になったような感覚になり、途中からは“哲学マン”として、アンパンマンたちと一緒に生活しているような気分でした(笑)。


 作中でアンパンマンがピンチに陥ると決まって流れるBGMがあるのですが、気づけば私自身も日常生活で困難に直面したとき、そのメロディーが頭の中で流れるようになっていたくらいですから(笑)。


――そうしてあらためて作品を見直すと、感動して涙を流したエピソードすらあり、大人である小川先生の心を大いに揺さぶったそうですね。この物語は大人の心にも響くことがわかった、と。小川先生はアンパンマンの物語のどんなところに心を打たれたのでしょうか?


小川:登場人物たちがそれぞれに悩みを抱えながらも、一生懸命生きているところです。その姿が現実社会を生きる私たちと重なり、強く心を打たれました。


例えば、第10章の「生きる意味」のパートで紹介しているしめじまんのエピソードは、自己肯定感が下がってしまっている現代人にぴったりの話だなと思いました。料理をふるまう際に、焦って失敗してしまったしめじまんは、まつたけまんに叱られたことで、すっかり元気をなくしてしまい、森の中へ逃げ込んでしまいます。でも、そこに現れたちゃわんむしまろというキャラクターと一緒に、秋の紅葉を楽しんだり、虫の音に耳を傾けて歌を詠んだりするうちに、ゆったりとしたひとときを過ごすことができ、元気を取り戻します。彼の詠んだ「心地よき 秋も深まる 虫の声 慌てず焦らず のんびりと」という歌が印象的です。


  きっと、自己肯定感の低い現代人たちも、しめじまんと同じように焦っているんだと思うんです。「生産性を高めなさい」と押し付けてくる社会の中で、そのようにできない自分に対して。でも、本当はそうじゃなくていいんだ、効率を追求することだけが正解じゃないんだということを、ちゃわんむしまろの歌は気づかせてくれるのです。


  また、ばいきんまんの存在も象徴的です。彼は優れた才能を持ちながらも、人との関わり方に悩み、素直になれないことで孤立しています。本書では、集団食中毒にかかってしまった子どもたちを救えるイタイノトンデケタケをめぐってアンパンマンとばいきんまんが争うエピソードを紹介していますが、二人は取り合いの末に川に流されてしまいます。その際、アンパンマンはせっかく手にしたイタイノトンデケタケを犠牲にしてばいきんまんを助け、力尽きてしまうんですが、ばいきんまんはそのあとになんと、自らの手でイタイノトンデケタケを探し出し、アンパンマンのそばにこっそり置いて立ち去るんです。思わず泣けてしまうワンシーンですね。


  そういった姿を見ると、あらためて「人は皆、それぞれの悩みを抱えながらも、もがき苦しみながら生きているのだ」ということが感じられ、そこに深い感動を覚えました。アンパンマンは大人にとっても、人がどういうことに悩み、それをどういうふうに乗り越えていくのかを教えてくれる、人生の教本になっているんです。


選んだのは、シンプルながらも深い意味を持つセリフ

――本書では、そんな魅力的なアンパンマンの物語の中から「勇気」や「正義」、「自己犠牲」や「生きる意味」といったアンパンマンらしいテーマに沿って、登場キャラクターたちの名セリフを抜き出して解説しています。


小川:セリフの言葉だけを見て、ハッとさせられるものというのは、実はそれほど多くないんですね。アンパンマンは小さな子どもでも理解できるように作られているので、セリフ自体は非常にシンプルです。だからこそ、重要になるのは、そのセリフが発せられる文脈です。本書では、シンプルなセリフが文脈とともに非常に深い意味を持つことになるシーンを中心に選んでいきました。


  たとえば、第4章で取り上げたジャムおじさんのセリフに、「自然を愛する人っていうのはたくさんいるが、ちょっと違うみたいだなぁ」という言葉があります。これだけ聞くと、どういう意味なのかすぐにはわかりませんよね。でも、これは非常に奥深いセリフなんです。


  このエピソードでは、“ふけつまん”というキャラクターが登場します。彼は掃除や洗濯をしない自分の行動を正当化するために、「何も手を加えないことが自然にとって一番いい」と主張するんです。一見すると、「確かに自然はそのままがいい」という考え方も理解できますよね。でも、人間というのは、自然の一部であると同時に、自然の摂理を超えてその体系を壊してしまっている存在です。だから、今さら何もしないことは、かえって自然を壊す無責任な行為につながってしまうのです。ジャムおじさんはそのことを指摘し、「人が汚したものを美しくすることこそが、本当の意味で自然を守ることだ」と教えてくれます。


  そうしたストーリーを汲み取って、いま一度、ジャムおじさんのセリフを見てみると、「自然を愛する」とは何なのか、 積極的に関与し、より良い状態にすることが愛なのではないかと、その本質を考えるきっかけを与えてくれていることがわかります。こうした疑問を投げかけるジャムおじさんは、私には哲学者そのものに見えました。


――本書は「大人のためのアンパンマン」をテーマに掲げています。特に「これは大人こそ深く考えてほしい」と思ったセリフ&エピソードを紹介するとしたら、どんなものが挙げられますか?


小川:バタコさんの「でも、ハッピーの押し付けはよくないわよ」というセリフが印象的なエピソードです。この話では、「もっとハッピーになりたいでしょ?」と、自分の考える幸せを押し付けてくるしあわせぼうやが登場します。


  この場面を見たとき、私たちも無意識のうちに同じことをやってしまっていないかと、ハッとさせられました。特に親や教師は、自分の価値観に基づく幸せを子どもに押し付けがちです。その結果、子どもたちが苦しみ、不登校が増え続ける今の事態を招いているのではないでしょうか。また、子どもだけでなく、大人も社会の描く「理想の幸せ」に縛られ、息苦しさを感じ、引きこもりなどの状態に陥っているのかもしれません。


  でも、このアンパンマンのストーリーでは、幸せとは、それが何かを自分自身で自由に考え、その実現のために努力することでようやく手に入ることを教えてくれます。だから、本来周りの大人は、その後押しをするために協力してあげないといけないんですね。たとえ、それが大人の考える幸福観と異なっていても。大人には、このエピソードを通じて、「あなたもしあわせぼうやになっていませんか?」と問うてもらいたいと思いました。


――確かに、親は自分の考える幸せを子どもに押し付けがちですよね、アンパンマンは親子で観る機会も多いと思うので、もしかしたら、作者のやなせさんがそうしたメッセージを親側に発していたのかもしれませんね。


小川:そうなんです。最初に申し上げたように、アンパンマンには大人にとっても大事なことがたくさん描かれているんですが、大人の目線で見ると、「このメッセージって、直接大人に向けて発せられていない?」と思うようなこともいっぱいあるんです。だから、この本はアンパンマンをお子さんと観るときの参考書としても活用してほしいなと思っています。ただ観るだけでなく、親子で「この物語にはどんなメッセージが込められているんだろうね?」と話し合うことは、子どもの考えを深めるきっかけになるはずです。本書はその手引きにもなり得ると思うんですね。


――一方で、読者にとって意外に感じるような深い意味を持つセリフはありましたか?


小川:アンパンマン自身のセリフには、そういった一見シンプルながらも、深い意味を持つものが多いんです。彼は素朴に言葉を発しますが、よくよく考えてみると、その一言に本質的な問いが含まれていることがよくあります。


  たとえば、スタイルやルックスに自信満々のソフトクリームマンというキャラクターが、アンパンマンに対して「マントがダサい」「自分の人気にはかなわない」といった言葉を投げかける場面があります。これに対して、アンパンマンはただ一言、「ふうん。変わった人だなぁ……」とつぶやくんです。これは別にアンパンマンが能天気だったり、負け惜しみを言っているわけではないんです。アンパンマンにとってみれば、容姿で人を判断するソフトクリームマンがただただ不思議でならなかったんです。


  でも、アンパンマンがこうしたセリフを投げかけると、私たちも「あれ? 確かに、見た目の良さばかりを重視する今の風潮っておかしいよな?」「本当に大切なのは見た目なのか?」とあらためて考えさせられます。そして、「本当のかっこよさって何だろう?」という問いが自然と生まれてくるのです。ある意味、アンパンマンの視点というのは、私たちが当たり前だと思い込んでいる価値観に疑問を投げかけるソクラテスのような鋭さがあります。物語の中にこうした問いを立てるアンパンマンと、物事をいつも深く考え抜いている哲学者のようなジャムおじさんが共存していることも、『アンパンマン』の哲学的な魅力のひとつだと思います。



アンパンマンの哲学的魅力

――本書では、こうした名セリフの紹介だけにとどまらず、そのメッセージや物語に対して哲学的な視点で掘り下げるという試みも行っています。たとえば、「アンパンマンは困っている人がいたら、絶対に助ける」ということを行動指針にしていて、先生はそれを“アンパンマンの信念”として、カントの格率を引き合いに解説されていました。


小川:アンパンマンのこの行動指針は、まさに正論ですよね。しかし、それは理想であって、決して簡単に実現できるものではありません。たとえば、子どもたちに「誰かが電車のホームから線路に落ちてしまったら、必ず助けなさい」と教えるべきかどうか。もちろん、それ自体が正しい行動であることに間違いはありませんが、現実には危険が伴うため、必ずしも実行できるとは限りません。では、私たちはこのアンパンマンの理想をどのように受け止めるべきでしょうか。


  私の考えでは、おそらく作者のやなせさんが伝えたかったことは、「理想を忘れないようにしましょう」ということだと思うんです。私たちは日々、現実の中を生きているので、理想がすべて実現できるわけではありませんし、時には妥協も必要かもしれません。でも、だからといって、理想を追い求めることをやめてしまうと、現実はどんどん悪い方向に流されてしまい、自分自身の心も腐ってしまいます。もしも、現実社会が良くない方向に進んでいると感じたら、「仕方がない」と諦めるのではなく、「なんとかしよう」と思う気持ちが大切です。アンパンマンの理想、つまり、アンパンマンのこの格率とは、こうした考えを教えてくれているのだと思います。


――同じく、アンパンマンでいえば、困っている人に自らの顔をちぎって与えるという、人助けのやり方も特徴的です。


小川:ここは、大人がアンパンマンを論じるときに、もっとも着目する部分ですよね。このアンパンマンの自己犠牲は、何を表しているのかというね。本書でも述べましたが、利他主義には「いい利他主義」と「悪い利他主義」の2種類があると思うんです。


 悪い利他主義というのは、自己犠牲の中で本当に自分だけを犠牲にしてしまうもの。自らも滅ぼしてしまい、結果的に誰のためにもなりません。一方、いい利他主義というのは、他人だけでなく、自分にもいい結果をもたらす、言うなれば、ウィンウィンの関係性が構築されるものです。もちろん、利他的な行為には、自分が失うものもあり、痛みも伴うわけですから、そんな関係性を築くのは簡単ではありません。しかも、少しでも自分が得をすると利己主義になってしまい、自分が犠牲になりすぎると悪い利他主義になってしまうわけですから。このギリギリのバランスが重要になってくるのです。


  では、そのバランスはどこで成立するのか。その答えのひとつが、アンパンマンの「顔を分け与える」という行為に示されていると思うんです。顔は人間にとって最もシンボリックなパーツであり、大事な機能も集中しているところです。にもかかわらず、アンパンマンはその一部を分け与えることで、自らの使命を果たしながらも、自分自身を完全に失うことはありません。私たちが相手に何かをしてあげるとき、自分も相手も幸せになれる形を模索することが大切ですが、そのお手本のあり方をアンパンマンから学び取れると思うんです。


――また、先生はばいきんまんについても「ばいきんまんは必要悪で、正しさとは何か、優しさとは何かを知らしめるために存在しているように感じる」とおっしゃっています。


小川:やっぱり、悪はなくならないというのが前提だと思うんですよね。やなせさんもばいきんまんを消してしまおうとは思ってないですよね。バイ菌なので、洗って小さくするという方向、つまり、悪さしないように抑えるといった考え方にとどめていると思います。もともと人間の体内にも常在菌がいて、すべて取り除いてしまうと、逆に生命の危機を招くことになります。同様に、人間社会でも、欲望のようなものが社会を面白くしてきた側面もあるでしょう。では、そもそも悪とは何なのか?  それは完璧ではない人間が悩む際に生まれる“揺れ幅”のことだと思うんですね。その揺れ幅が、自分にとっても社会にとっても取り返しのつかないような状態にならないように、大丈夫な範囲で収めておくことが大切。つまり、少し悪に染まってしまったとしても、また戻れるということが大事だと思うんです。


  だから、アンパンマンも悪を完全に葬り去ろうとしてるわけではなく、「お前はちょっとやりすぎてしまったから、こっちの方(正義の方)へ戻ってこい」という是正の意味で、アンパンチを繰り出しているのではないでしょうか。一見、勧善懲悪の物語のように見えますが、そうではなくて、私たちの心の中にいる、もしかしたら、アンパンマンの心の中にもいるかもしれないばいきんまん(悪)を、いかにして飼い慣らすか(共存し、コントロールするか)ということがアンパンマンの伝えたい正義なんだと思います。


――正義の話でいうと、アンパンマンはよく“逆転しない正義”を体現しているといわれます。やなせさんが戦争で「ある日突然逆転する正義」を味わったことから、アンパンマンではやなせさんが考える、献身と愛による“逆転しない正義”が描かれていると。そこにはやなせさんが苦難を乗り越えた末にたどり着いた人生哲学のようなものが込められているように感じます。


小川:よく誤解されがちなんですが、哲学というのは決して頭の中だけでやるものではないんですね。個人のあらゆる経験や体全体を総動員してやるものなんです。そもそも、哲学などというものは、人生に何か大きな悩みごとがないとやらないと思うんです。だから、現在学ばれている哲学の思想も、それを提唱した哲学者の人生や、その過程で生まれた問題意識が色濃く反映されています。その意味では、人生を苦労しながら考え抜いてきた人は、私は皆、哲学者だと思うんです。だから、やなせさんもきっとそうだったんだろうなと思うわけです。


  ただ、やなせさんのすごいところは、そうした自身の人生哲学を、アニメを通じて子どもにもわかる形で表現していることですよね。子どもだけにとどめておくにはもったいないくらいのメッセージがたくさん詰まっていると思います。


本書の視点を持てば、何気ない日常が大切な世界に見えてくる

――この本を読んだ後に、あらためてアンパンマンのアニメを観たら、どんなふうに感じ方が変わると思いますか?


小川:これまでよりも深く物語を楽しむことができるようになるでしょうし、二つの点で、これまで以上に学びを得られるようになると思います。一つは、物語の奥にあるテーマやメッセージを理解することで、「こういう視点で見ると、こんな学びがあるのか」と気づけるようになることです。そして、もう一つは、こうした視点を持つことで、他のエピソードからも新たな学びやメッセージを発見できるようになることです。本書では、アンパンマンの物語の中で重要な10のテーマに沿って代表的なエピソードを紹介していますが、それらのテーマは紹介したエピソードだけでなく、他のエピソードにも通じる内容です。同じエピソードでも、視点を変えることで違った気づきを得られるようになり、物語の中から自分自身で大事なメッセージを発見することが楽しくなるはずです。


――先ほどアンパンマンの登場人物はそれぞれに悩みを抱えているといった話も伺いましたが、この書籍はどのような人に読んでほしいと思いますか?


小川:ここはあえて、あらゆる人に読んでほしいと言いたいです。というのも、人は皆、何かしらの悩みを抱えているものだからです。自分で意識してることもあれば、意識してないこともある。もしかしたら、「いや、私は悩みはないよ」という人もいるかもしれませんが、実は本書を読んでみると、「あ、自分もこういうことあるな」っていう気づきも得られるかもしれない。だから、そういった意味で、あらゆる人に読んでほしいと思います。


――それでは最後に、現代の大人があらためてアンパンマンから学ぶべき最も重要なメッセージをお聞きして、このインタビューを締めさせていただければと思います。


小川:「身の回りにこそ、大切なことがある」というメッセージです。アンパンマンには、ギネス記録に登録されるほど多くのキャラクターが登場し、それぞれに異なる悩みを抱えながらも、一生懸命に克服していく様子が描かれています。つまり、それは私たちの日常の投影であり、私たちの身の回りにも、気づいていないだけで、学ぶべきことや生きるヒントがたくさんあるということを教えてくれているんだと思うんです。


   この視点を持つことで、何気ない日常が、自分にとって守るべき大切な世界に見えてくるかもしれません。そして、その気づきが、アンパンマンのように「誰かのために行動する」ことへとつながるのではないでしょうか。そう考えると、私たちの生き方も、きっと変わっていくはずです。



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  • やなせさんの著書の中で「ヒーローとは何か」を彼なりに答えてらっしゃって「お腹を空かせてる人にパンを与える人」とありました。私は好きです。
    • イイネ!9
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