東京・葛飾区議会(手前) 欧州サッカー名門FCバルセロナを母体とするサッカースクールを巡り、区営グラウンドの優先利用権を認められた旧運営法人から不透明な資金が支出されているなどとして、東京都葛飾区議会が全容解明を求めていることが20日、区などへの取材で分かった。
関係者によると、旧運営法人は区内に拠点を置く「キッズチャレンジ未来」。区は2015年、スポーツ振興事業の一環でサッカースクール「バルサアカデミー」を招致した際、一般受付よりも先に区営グラウンドの利用予約を認める協定を同法人と締結した。協定の効力は、区と同法人の双方から異議が出ない限り、毎年度、自動更新される仕組みだった。
区議会が入手した決算書によると、同法人は経営が赤字なのに、多い年で売り上げの1割に相当する約1000万円を接待交際費として計上していた。議会の複数の議員が「交際費が多額だ」などと指摘したため、区が確認したところ、同法人は使途は遠征費などと説明。区議の一部は詳細な説明を求めたが、区は「補助金交付団体ではなく、現状以上の確認は考えていない」とした。
議会は3月、「不透明な交際費が支出されている」として、区長に対し、全容解明を求める決議を原案通り可決した。区は同月、同法人との協定を解約した。
議会関係者らによると、同法人幹部が小林宣貴副区長(56)を接待していたとの証言がある。警視庁は昨年9月に同法人を家宅捜索していた。
区などによると、同法人との協定は、小林氏が政策企画課長時代に取りまとめるなどしていた。
小林氏は時事通信の取材に対し、接待の有無や趣旨などについて「コメントしようがない」と話した。法人側にも書面で取材を申し込んだが期限までに回答はなかった。