脱線事故発生時刻に合わせて黙とうするJR西日本の長谷川一明社長(中央)ら=25日午前、兵庫県尼崎市(代表撮影) 乗客106人と運転士が死亡し、562人が重軽傷を負ったJR福知山線脱線事故は25日、発生から20年を迎えた。兵庫県尼崎市の事故現場に整備された慰霊施設「祈りの杜(もり)」でJR西日本主催の追悼慰霊式が開かれ、遺族らが犠牲者の冥福を祈った。
式には、中継会場も含め遺族や負傷者ら343人が参列。JR西の長谷川一明社長は「あの日、私どもは何ものにも代えがたい、尊い命を奪ってしまった」と改めて謝罪した。その上で、「社内では世代交代が進み、事故後に入社した社員が多くを占めるまでになった」と述べ、「風化させないことの重要性を強く認識しており、事故の悲惨さ、命の大切さを心に刻み、一層力を入れて事故の事実や反省、教訓を後世に継承する」と誓った。
長谷川社長らは慰霊式に先立ち、事故発生時刻の午前9時18分に黙とうをささげた。その後、普段よりも速度を落として現場付近を通過した快速電車の車内では、事故を謝罪するアナウンスが流れた。
中野洋昌国土交通相は25日の閣議後記者会見で、「二度とこのような事故を繰り返さず、安心して利用していただけるよう、全力を挙げて鉄道輸送の安全安心の確保に取り組みたい」と語った。
事故は2005年4月25日発生。福知山線塚口―尼崎間で快速電車(7両編成)が制限速度を大幅に超えてカーブに進入、脱線し、先頭車両と2両目が線路脇のマンションに衝突した。
JR西は事故車両の保存に向けて施設整備を進めており、今年12月ごろの完成を目指している。原則一般公開はせず、社員研修に活用する方針という。

脱線事故発生時刻近くに現場付近を通過する列車=25日午前、兵庫県尼崎市(代表撮影)

脱線事故の発生時刻近くに現場付近を通過する列車内で手を合わせる乗客ら=25日午前、兵庫県尼崎市

追悼慰霊式で「おわびと追悼のことば」を述べるJR西日本の長谷川一明社長=25日午前、兵庫県尼崎市(代表撮影)

脱線事故現場に設けられた慰霊施設「祈りの杜」で献花に臨むJR西日本の長谷川一明社長(右)ら=25日午前、兵庫県尼崎市(代表撮影)