水俣病犠牲者の慰霊式に出席した浅尾慶一郎環境相=1日午後、熊本県水俣市 水俣病の公式確認から69年を迎えた1日、熊本県水俣市内で犠牲者の慰霊式が開かれた。患者や遺族のほか、浅尾慶一郎環境相や原因企業チッソの山田敬三社長ら660人が参列し、犠牲者の冥福を祈った。
式典では患者と遺族を代表し、祖父母と両親が認定患者だった杉本実さん(58)=同市=が祈りの言葉を読み上げた。発症後、周囲から差別などを受けても人を憎まず、子どもの前ではつらい顔を見せなかった両親らについて「苦しみ、悲しみを家族皆で力を合わせ乗り越えてきたのでしょう」とした上で、「(自分の)孫たちが大きくなって、魚釣りや海で遊んだり楽しい思い出が生きる豊かな海であってほしい」と語った。
浅尾環境相は「水俣病の拡大を防げなかったことを改めておわびする」と述べ、「水俣病のような悲惨な公害を二度と繰り返してはならない」と話した。

水俣病犠牲者の慰霊式で献花する参列者=1日午後、熊本県水俣市

水俣病犠牲者慰霊式で「祈りの言葉」を述べる患者・遺族代表の杉本実さん=1日午後、熊本県水俣市